愛知県瀬戸市立萩山小学校での防災教育活動報告書

実施日:12月12日
対象:小学校6年生2クラス
時間:4コマ目(11:35~12:15)、5コマ目(13:35~14:15)各クラス1コマずつ
メンバー:大西、伊原、長神、村田、為季


スケジュール(40分)

  • 自己紹介 (3分)
  • 地震・津波のメカニズムについて (7分)
  • 模造紙を使い、プレートの発生から地震・津波の発生までを時系列で説明。説明文は子供たちに読んでもらう。適宜、東海・東南海地震についての補足を加ていく。ねらい:実際に読んでもらうことで、メカニズムを時系列で理解してもらう。
  • 防災について (5分×2=10分)
  • 写真とその模型(3グループに分け、グループに1つずつ)を見せ、地震が起きたときの危険、対処法を子供たちに考えさせた上で、挙手で答えてもらう。(→こちらで意見を整理、補足しながら用意した模造紙に書き込んでいく。また、模造紙と模型1つはクラスに残していきたい。)次に、模型を揺らし、実際にどんな事が起こるのかを見て、体験してもらう。それらを踏まえた上で、実際に行われている防災対策を紹介していく。以上を、家の中、家の外の2ケース行う。
  • ねらい:実際に地震が起こった時の事をロールプレイング的に考えてもらう事で、日頃から防災について考えるきっかけをつくる。
  • 災害の体験談 (13分)
  • 主に阪神・淡路大震災の写真を用いて、被害の様子や家族で話し合い、地域での助け合いの大切さ等を、実体験を交えながら説明。ねらい:実際の体験談を聞いてもらう事で災害の怖さ、防災の大切さを感じてもらう。
  • まとめ (7分)
  • 最後に、上記の事を簡単にまとめた模造紙を用いて復習し、参考資料を配布。派逸不物の1面目に「自分でできると思った防災」、2面目に「一番印象に残った事」を書いてもらい、三角柱を作ってもらう。残った3面目は、帰宅後に家の人と相談した上で、「家族で話し合って決めた避難場所」を書いてもらう。
  • ねらい:我々が伝えたかった事を簡潔にまとめ、記憶に残りやすくする。三角柱とまとめの資料を持って帰ってもらい、家族で防災会議をしてもらう。

報告

全体を通じて

子供達の反応・アクシデント・対応策・質問事項など

 子供達は、想像していたよりも興味をそそられたようで、防災教育に対して真剣な態度を示してくれた。食い入るようにスクリーンを見たり、我々の話に相槌をうってくれたりと、突然の外部からの訪問者の話にも楽しく取り組んでくれた。時折、数人が雑談を始めてはいたが、インパクトのある写真等が出れば雑談をやめスクリーンに目をやる、といった光景も見られた。右前先頭に座っていた生徒の一人は熱心に授業に参加してくれたので、非常に授業がやりやすかった。
 特に大きなアクシデントはなかったが、プロジェクターの調子は悪かった。準備中、5分に1度の割合で自動的に再起動してしまうので、「授業中に再起動してしまったらどうしようか?」と、授業前に緊急に話し合い、「再起動が終わるまで、なんとか話をつなぐ」という結論に至った。幸い、授業中にプロジェクターが再起動したのは1回のみ、それもパワーポイントを使用しないメカニズムの説明中だった為、影響は無かった。
 実際に子供達と向かい合ってみて、彼らの集中力を考えると、40分が妥当な授業時間であると認識させられた。又、まとめを多少盛り上げる方向にもっていかねば、最後に注意が散漫になる事もわかったので、次回までに改善策を挙げるつもりである。
 質問事項は、事前に予想していた質問とは違い、子供らしい率直な疑問が多かった。「震度5で、実際に模型のような被害が起こるのか?」という質問に対しては、必ずしも倒れるとは限らないが、倒れてきたら危ないので、タンスを固定したり、背の高い家具が無い部屋で寝るようにしよう、と回答した。「地震発生時に足がしびれていたらどうする?」という質問は笑いを誘ったが、ここも真剣に、這ってでも逃げるしかないと回答。どんな状況にあっても、諦めずに何とか自分の身を守らないといけない、ということを強調できたと思う。2組目では、「マントルはなにでできているの?」という質問が挙がった。メンバーの一人が「岩石のようなもの」と回答してその場は収まったが、簡単に思える質問に的確に返す難しさを実感した。

良かった点・悪かった点

自己紹介時から我々に対する食いつきがよく、メカニズム、模型、伊原さんの話とすべて興味をもって話を聞いてくれていた。感想としてはとても楽しかったというものが多く、やはり普段の先生ではなく、我々大学生の行う授業というものにも、大きな意味があると感じた。実体験の話や、実際に目で見ることができる模型などは、生徒・教師共にとても好評で、校長先生にもまた機会があればぜひやって欲しいとの言葉を頂けた。又、早めに到着したおかげで、準備に十分な時間がとれ、授業を早めに始めることが出来たなど、時間に余裕が生じたのは良かった。

しかし、生徒がどこまでついていけたのかという不安がある、とは校長先生の方から指摘された。最後のまとめ部分で告げたKIDSの説明に対しては、正直ポカンといった表情の子供が多かったのも事実である。最後はなにか盛り上がって終わるほうが良いかもしれない。又、時間を延ばすことが可能であれば、もう少しまとめをしっかりした方が良いだろう、という意見も挙がった。

改善策・次回に生かせること

今回は、予行演習、役割分担、実際に起こるかもしれないことの予測など、段階を踏んでしっかり準備をしたおかげで、授業もスムーズに行うことができた。ただ、時間の管理には改善する余地があると思われるので、その点は次回につなげたい。また、出発前日の深夜まで作業をしていた上に、当日の朝出発が早かったために、十分な睡眠がとれず皆若干疲れていたように感じる。デジカメ一つバスタオル、スチノリなどの忘れ物があり、作業自体に全く支障はきたさなかったとは言えそのあたりにも余裕のなさが見えた為、もっと準備を前々からすすめて、出発前日はもう少し余裕を持とうと思う。

前述した通り、早めに小学校に到着するという点は次回にも活かしたい。先生との事前打ち合わせもできる上に、早めに準備に取り掛かることが出来たのは非常に良かったためである。次回は学校側と連絡を取り、早めに準備を始める事ができるよう交渉する方向で進めたい。

最後に、今回は予行演習を4回行った事はかなり役立ったと思われる。予行演習を重ねることで内容が収斂されていった事は間違いない。また、本番でリラックスできたのもこれのおかげである。次回も予行演習は欠かせないだろう。

メカニズム

子供達の反応・アクシデント・対応策・質問事項など

全体的には、非常に静かに、真面目に聞いてくれた。とても明るくにぎやかなクラスだったにも関らず、私語・後ろを向く等のジェスチャーもほとんどなく、話す側としてはとても有難かった。給食・掃除の時間に親密になった子等とは頻繁にアイコンタクトがとれ、理解度を測る目安になった。ただやはり、発言を多くしてくれる子は、固定されがちであった。又、内容的に難しいとの指摘を後に新聞記者から受けたように、話し終えたあとの反応から見て、子供たちの間で理解度の差があったように思える。生徒に読ませた後のこちらの簡単な説明、および黒板に貼った絵には集中する様なので、やはり視覚的要素と口頭での噛み砕いた説明が、メカニズムに関しては一番効果的なのだろう。文章を更に短く、もしくは簡潔にする必要があると思う。また、単語や読み仮名が難しいところもあったようであり、ちょっとつまってしまう場面も見られた。

東海・東南海地震の説明時が、一番反応は良かった気がする。自分の住んでいる地域に実際どのような影響が出るか、興味はあるようだった。

これと言ったアクシデントは発生しなかったが、模型の箱に触らないでとの注意は効果がないことはわかった。やはり相手は小学生であり、休み時間は走り回って机にぶつかる上に、興味を示せば触れてくるし、話をしている間も寄りかかったりなどする。模型の強度・安定度を高めることで対応するのが得策だろう。

質問事項:マントルはなにでできているの?→岩石のようなもの

良かった点・悪かった点

(1組)生徒の感想の中には、地震の起こり方がよくわかったというものも多くあり、大体としてはこちらの伝えたいことの大部分は伝わったと思う。日本の小学生は既に地震の発生過程を知っていると想定していたが、実際にはそれほど知識はなかった様なので、もっと説明や単語を簡単なものに変えたほうが良いだろう。新聞記者の方にも、メカニズムの説明はちょっと難しかったのでは、もっと詳しく(直下型地震等)説明してもよかったのでは、とのご指摘を受けた。

(2組)給食と掃除の時間が、非常に良い方向に働いたと思える。当初は、慣れすぎてしまって、子供たちが集中しないのではないかとの懸念もあったが、逆にいざ授業が始まれば、想像以上の真剣さで臨んでくれた。親密になる時間を事前に設けた分、真剣に語る場とのギャップができ、それが子供たちの興味をひいたとの見方もできると思う。こちらとしても、先に打ち解けておくことで、全体的な雰囲気や注意すべき子を把握できたし、緊張を抑えられた。又、絵を貼る流れなどを事前にリハースした事で、説明も滞ることなくスムーズに進んだと思う。メカニズムの絵は、後々数名から非常に好評だった。悪かった点としては、前述した様に、メカニズムの文章による説明が少々難しかった事が挙げられる。名札が読みにくかった事と、手を挙げる特定の数名を無視できない事から、どうしても指名する子が固定されてしまったのも、残念な点ではある。

改善策・次回に生かせること

状況を見て後ろの方の子も指名する、対話を増やす、などの工夫をしていくべきかと思う。時間的には今回の配分で適当だと思うが、その時間の中でより一層の理解を得るため、内容を簡単かつわかりやすくする必要がある事は、前述した通りである。絵は丁寧で反応も良かったため、是非次回も引き継いでいくべきだろう。目立つ子と目立たない子の差(前に出てきて読んでもらう、質問に答えてもらう等)をどうやってうまく解消するか。今回は名簿をうまく使えていなかったので、名簿順に当てていくなどで改善をはかるべきか。

模型

子供達の反応・アクシデント・対応策・質問事項など

予想以上の食いつきだったといえる。部品などの細かい点を気にしてはいたが、基本的に模型自体にも興味をもってもらうことができた。全員からの発言を得ることはできなかったが、それでも数多くの意見が挙がり、成功だったと考えられる。となりのグループに負けじと意見を一生懸命考える子供たちの姿も見られた。ただ、前の方に座っている子供たちがはしゃぎすぎていたために、後ろの方に座っている子が少し見にくそうにしていた。

模型の完成度が多少低いため、最初から崩れている部分がある・電柱が倒れない等のアクシデントもあり、その都度適当な対応策はとれたが、事前準備徹底の必要性は痛感した。出発前日の作業は模型の採集確認くらいにできるよう、次回はもっと早めに完成させておきたい。人の模型は少しの振動で倒れてしまったが、時間に制限があったため、そのまま授業を進行した。又、屋根の瓦の部品が、授業終了時に無くなる問題も発生。恐らく子供たちが持っていったと思われる。子供達の視線を模型に集中させようという考えから、模型中に歌丸師匠のフィギュアを置いたが、模型よりも歌丸師匠に集中してしまったことも失敗であった。模型を見せた時点で子供達は興味を示していたため、小細工は必要ないのだろう。

質問事項
震度5で、模型のような被害が起こるのか?→必ずしも倒れるとは限らない。でも、倒れてきたら危ないので、タンスを固定したり、タンスとかが無い部屋で寝るようにしたりしないといけない。
地震発生時に足がしびれていたらどうする?→這ってでも逃げるしかない。とにかく、なんとかして自分の身を守らないといけない。

良かった点・悪かった点

地震の事を考えながら楽しんでもらう、という目的は大いに達成できたと思う。感想の約8割が模型に関することであり、地震が起こったらどんなことが起こるかよくわった、模型がすごかった等の感想をもらえた。丁寧に作ることはやはり重要であろう。また写真を用いることで模型の理解スピードの向上につながった。特に、萩山小学校付近の写真は、子供達に親近感を与えることができたと思う。ある程度の時間で説明・意見・実践のパートを区切ったため、だらだらすることはなかった。

問題としては、司会を中心にという授業体系を維持することができず、ふたつのグループがわかれてしまったことが挙げられる。予想以上に危険や対処法の意見が出た為、時間的に全部の意見を採用することはできなかった。常に発言してくれる人を無視することはできないが、状況に応じて、後ろに座っている子達にも問いかける必要性があるとも感じた。適切な判断が求められるだろう。また、模型を揺らしたとき時に、タンスが倒れなかったり、本棚が逆に倒れてきたりと、こちらの思惑通りにならない点も多々あった。こうした細かい点も子供たちは見逃さず、「タンス倒れなかった~」などと指摘していた。ただ完璧な模型を作るのは困難なため、揺らし方、口頭説明でカバーしたい。

改善策・次回に生かせること

次回からは、司会が中心となる授業体型を維持したい。模型に関して言えば、重量感を増す、完成度を更に向上させるなど、改善の余地は沢山あるといえる。又前記した通りに、積極的な子とそうでない子を満遍なく当てる、といったこちら側の対処の仕方にも改善点はあろう。消極的な子供をいかに授業に参加させてあげるか、というのを考えてみることが大切だと感じた。比較的静かな女子を前に、発言をよくしてくれる男子は多少後ろの方にする、など、方法は話し合って決めていきたい。

今回の子供達の反応をみるからに、模型は次回やる時も重要なつかみになると思う。ただ、模型を見せる際の方法(模型の数を増やして模型1つあたりに集中する子供の数を減らす、など)を少しずつ改善していく必要があるだろう。また、模型自体のアイデア練り、完成度を少しずつでも高めていければ、次回はもっと良い物が出来上がるのではないだろうか。

体験談

子供達の反応・アクシデント・対応策・質問事項など

思ったより食いつきがよく、真剣に話を聞いてくれた。とりわけ、倒壊写真には驚いた表情をみせていた。ほぼリハーサル通りのプレゼンができ、時間的な問題はなかった。2,3人集中できていない生徒がいたが、今回は特に注意もせず、無視する方向で進行した。その生徒に話をふることで対応できると思われる。質問事項は特になかったが、その分こちらの話に集中できていたようだ。

良かった点・悪かった点

子供が真剣に話を聞いてくれたこと、震災の怖さをわかってもらえたこと、こちらの問いかけに対し、積極的な応答があったこと等、あげていけばきりがない。今回の授業で、一番子供達の印象に残る箇所であったといえよう。やはり視覚的効果は絶大だと実感した。

敢えて問題をあげるならば、集中しきれてない生徒に話をふる余裕が、話し手になかったこと。ただ全体的には聞いている生徒のほうが多かった上に、このセクションの性質上、流れを寸断して注意するのも適当ではないと感じるため、これは致し方なかったかもしれない。又、全体的にこちらが話す時間が長かったことも、双方向性という意味では改善の余地があるといえる。挙手をしてくれたのが一部の生徒だったことは他のパートと同じだが、「救援物資」など彼らになじみのないもの、イメージしにくいものを、口頭のみで説明してしまったことも、反省する点である。

改善策・次回に生かせること

双方向性を取り入れるため、もう少し生徒に問いかける内容を増やしたい。時間に余裕があれば、随所に生徒への質問を取り入れる、など対処法は今後の話し合いで決めていきたい。全体としての話の流れをまとめる、という意見も反省会で挙がったため、担当者は今回の内容の並び替えなどに留意してほしい。その過程で写真を増やす等してパワーポイントをよりわかりやすいものにしていけばよいのではないか。

アンケート結果・子供たちの感想

[Q1]自分でできると思った防災は何ですか?

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全体的には、部屋の中の危険を想定している子供が多かった。「その他」には、授業で紹介した「ガラス飛散防止フィルム」、授業で紹介していない「消火器の準備」についての意見が含まれる。

[Q2]一番印象に残ったことは何ですか?

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「模型を用いた授業で、どんな場所が危険か、どうすればいいのかがよく分かった」「地震がくると建物があんなふうに倒れたり、壊れたりするなんてビックリした」など模型、体験談に関する回答がが多かった。

[Q3]感想(何でも好きなことを書いて下さい)

「B紙(模造紙)でプレートがどのようにできているかよく分かった。」
「もっと大きな震度(瀬戸では5強までだが)ではどんなことが起きるか知りたい。」
「少年消防クラブで教わらなかったことを教わり、勉強になりました。」
「これからは家族と話合って、防災についてよく考えてみようと思う。」
「地震のとき、どうすればいいかとかが分かった。また来て欲しい。」

先生・記者の感想

「子供たちがついていけたかという不安はあるが、とてもよい教育をしてくれたと思う。ありがとう。やはりいつも先生が教えているだけではなく、難しい内容でも大学生などがきてくれて教えることには大きな意味がある。また機会があればぜひ来てほしい。」
「実際の写真や、家の中の模型、体験者のお話など、子供達にとって、自分の生活と結び付けて考えることができたようです。避難訓練はしても、なかなか”現実に起きたら”というところまで伝えきれていないのが現状です。子供たち達に考えさせる授業でとても良かったです。ありがとう。」
「とてもわかりやすく、楽しい授業だった。模型を実際に揺らしてその被害を実感することができたのはとってもよかった。実体験の話を聞けたこともとても大きなことであると思う。今日のことが頭の片隅に残って、実際に地震にあったときに役に立つだろうと思う。」
「メカニズムはちょっと難しかったのではないか。もっと小さい地震がどうして起こるとか、直下型地震についても説明した方がすべてが頭の中でつながるからわかりやすくなるのではないだろうか。」

メンバーの感想

  • 長神新之介(ちょーじん)
とても楽しかった。実際に授業をするまでにみんなでいろいろ考え、工夫し、教材を作り、ようやくこの授業ができたと思う。KIDSの全メンバーにとても感謝している。
今回は日本での防災教育ということもあり、実際に活動を終えてみると「日本の小学生」ということに過敏になりすぎていたかもしれないと思う。「日本の小学生」でも小学生であり、知識はまだ少なく、僕らのような大学生や模型にも興味を示し、真剣に話を聞いてくれるということが実感できた。これからも日本での防災教育があると思うが、もうちょっと「日本の小学生」に対するイメージをやわらかく持ったほうがいいと思った。その上でさらに対話を増やすことも必要であると思ったし、子供を選択する際の基準というものももう少し考えなければいけないと感じた。
10割の子供が100%楽しみ、そして理解する、というのはとても難しいことであると思うが常にそのことを目標として考えていきたいと思う。

  • 大西則仁(のり)
少ない時間を気にして教育を行ったため、多少の焦りは感じられた。しかし、内容は伝わったのではないか。与えられた時間内で十分な教育はできた。また子供たちの集中できる時間を考えるとちょうどよい時間であったように思える。
村田が事前に学校訪問をしていたことが非常に良い結果につながった。先生方との話し合いがスムーズにいき、防災教育がしやすかった。給食、掃除の時間はよかった。子供たちと親密になれて、楽しく防災教育が行えた。自分たちの特徴が生かせるような分担になっていたと思う。

  • 伊原健郎(けん)
今回、感じたことは視覚的効果が絶大であるということ。模型においても倒壊写真においても同様のことが言える。その意味で今回用意したパワポはまだまだ改善の余地があると思う。
全ての項目において一枚以上の写真があればよかったと思った。例えば、水や救援物資の話は口頭説明と文字のみのパワーポイントだったため、退屈だったかもしれない。文字をほとんどいれない写真メインの簡単なパワポでおよそのイメージを与えさせ、口頭説明でより細部まで理解させるというスタイルを確立させることが次回までの目標と考える。

  • 村田庸介(よーすけ)
僕にとっては、初めての防災教育活動だったのですが、一番の感想としては、嬉しかった。この言葉に尽きます。僕たちが一生懸命作りあげた授業に対して、あんなにはっきりとしたレスポンスが返ってくるとは正直思っていませんでした。子供たちの、一生懸命話を聞こうとする姿、元気な姿を見ていると、僕たちもやった甲斐があったし、これからも頑張ろうという気にさせられました。
こんな素晴らしい経験が出来たのも、萩山小の皆さん、そして、一緒に活動を行った同士達のおかげです。ありがとうございました。あとは、この防災教育がどんな形であれ、少しでも何かの役に立って欲しいと願うだけです。

  • 為季あずさ(あずさ)
想定していた以上の反応と子供たちの人懐っこさには、大変救われた。短時間の交流だったとは言え、あの様な可愛い子供達が、たった一度の地震/津波災害で命を落とすことなどない様に、と本活動の意義を改めて実感するに至れた。「知識の伝達」という本活動の一目的の説明は、子供達には少々理解し辛かったかもしれないが、彼らの反応をざっと見た限りでは、予想以上の効果が期待できそうだとは感じた。
小学生を相手にする防災教育というのは、やはり理屈どうこうよりも、まず興味をもってもらう事が何よりも重要だと実感した。これは国内・国外を問わず、興味に沿って純粋に行動・思考する年頃の子供を相手にしている以上、共通する事項だと思う。今回の、視覚的効果を狙った模型や写真の上映などは、その意味では非常に良い役割を果たしたのではないだろうか。
説明の簡略化や対話を増やすことなど、反省点・改善点は多々あれど、国内活動の初回としては、良いスタートが切れたのではないかと思う。事前準備と受け入れ校の協力が鍵となったのは明白である。今一度、萩山小の方々とKIDSの各員に感謝したい。「教える」という行為は、相手があって初めて成立するものである故、今回の子供たちや先生方の反応を存分に吸収した上で、より理解しやすい防災教育実現へ取り組みたいと思う。

本活動を終えて(メンバー感想のまとめ)

試行錯誤して授業を構成したこと、メンバーの一人一人が事前に学校訪問をしていたおかげで話し合いがスムーズに進んだ事、アンケートや交流時間に関するお願いを先生方が快く聞き入れてくださった事など、事前準備と受け入れ校の協力が、今回の成功の鍵となったのは明白である。給食、掃除の時間を通じて子供達と親密になれたのも、とてもよかった。今一度、場を設けてくださった萩山小の方々と、KIDSの各員に感謝したい。

今回が初の国内での防災教育ということで、「日本の小学生」の理解度・反応等を推測するところから始まったが、実際に瀬戸小学校での活動を終えて、「日本の小学生」であっても知識はまだ少なく、インドネシアの子供達同様、興味がわけば真剣にこちらの話を聞いてくれるのだとわかった。小学生を相手にする防災教育というのはやはり理屈どうこうよりも、まず興味をもってもらう事が何よりも重要なのだろう。興味に沿って純粋に行動・思考する年頃の子供を相手にしている以上、これは国内・国外を問わず、どこで防災教育を行うにしても共通する事項である。今回の、視覚的効果を狙った模型や倒壊写真の上映などは、その意味では非常に良い役割を果たしたのではないだろうか。ただアンケートによれば体験談はとても好評であったが、この視覚的効果の重要性を再認識した今は、あのパワーポイントにはまだまだ改善の余地があるように感じられる。全ての項目において一枚以上の写真があればよかったのではないか。文字なし・写真メインのパワポでおよそのイメージを与え、口頭説明で理解させるというスタイルを確立させる方向で、次回からは進めていこうと思う。

又、学校側の迷惑にならないよう、時間配分には相当に気を使って授業を構成したため、内容や進行に多少の焦りが生じていたのは否めない。ただ、40分という限られた時間と、子供達の集中力を考慮にいれた場合、今回のペースで適当かと思われる。教える側としては、伝えたい事は挙げていけばキリがないが、内容を厳選して伝える技術も求められる。内容を簡略化することも必要だが、これは内容を薄くするのではなく、より理解しやすくするために言葉を砕くという方向で実施していきたい。全員に全てを完璧に理解してもらう、というのは非常に難しいことであるのは承知しているが、我々が目指す地点が子供達の身の安全を守ることである以上、妥協はするべきではない。双方向性をもっと取り入れた方が良いと意見も挙がっているため、もっと全体的に生徒を当てていくなどして対応したい。

上記のような反省点・改善点は多々あるが、国内活動の初回としては、非常に良いスタートとだったといえるだろう。インドネシアに同行しなかったメンバーにとっては今回が初めての実活動であったが、想定していた以上の反応の良さと子供たちの人懐っこさには大変救われた、というのが全員一致の感想である。やり甲斐を感じた、こちらとしても楽しみながら授業ができた、本活動の意義を改めて実感するに至れた、次回に対する意気込みが強くなったなど、非常にポジティブな感想ばかり挙がっており、短期間の交流だったとはいえ、こちら側も子供達から受け取るものが多かったのだと実感している次第である。「教える」という行為は、相手があって初めて成立するものである故、今回の子供たちや先生方の反応を存分に吸収した上で、より理解しやすい防災教育実現へ取り組みたいと思う。
最終更新:2008年06月15日 18:00