プロトビースト計画、それはロノス=インダストリーが進めていた非公式計画。
市民IDを持たないニューマンや偽名で引き取ったニューマン孤児を施設へ収容し
それらを媒体に数え切れないほどの人体実験の後に生み出された人造生命体

「プロトビースト」。キャストに替わる奴隷にとしてアンチキャスター派の高官達や

初物好きな好事家からも影からの支援もあり計画は順調に進んでいった。
元来人工的に造られたニューマン種を研究しそれに動物組織や遺伝子情報改造
を組み合わせ用途は重労働や軍事転用、愛玩用、外見はハーフニューマンから
マニア向けの動物のパーツ付まで培養成功した。
 培養から完成体までは1ヶ月ほどで、それから3ヶ月学習訓練期間の後に
クライアントのもとに出荷される。
オーダーメイド製でクライアントの要望により初期外見年齢設定ができ、
出荷後ほとんど身体的成長が無く、繁殖器官はあるものの商品という性質上
繁殖能力自体は削られている。
 体は頑丈で過酷な労働環境に耐えれるが素になった人工生命体ニューマン
以上に種としては非常に脆く、わずか5年前後で死期を迎えてしまう。
また生命活動停止時には体内の再生ナノマシンのリバース活動により体組織
分解が始まりわずか十数秒で塵となり即座に証拠隠滅される。
短命な件については「寿命が短ければリピーターの注文サイクルも増える」
との上層部の一声により寿命改良案は見送られている。体に仕込んである
ナノマシンで短命にしているのではないかという噂も後をたたない。

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 培養研究も計画通り一段落し、プロトビースト生産が軌道に乗りかけた頃
「人に危害を与えない、主の命令を遂行する」等従順に関するプログラムや
戦闘や炊事から夜伽まで多彩なクライアントが望む技能の学習プログラムを
洗脳する「スリコミ」と言われるプロセス中にその事故は起こった。
 イヌ科学習ブロックでマシンフリーズによりスリコミ中だった狼型プロト
ビーストが逃走、近くの研究者達を殺し次々と仲間達を解き放った。
放たれた洗脳不完全のビーストは暴走し本能の赴くまま手当たり次第に暴れ
自分達の創造主をを殺してまわった。
 騒ぎの発端となった狼型は混乱を利用し研究所から計画通り脱出する事に
成功していた。体に放電能力を組み込まれた彼は従順なフリをし油断させて
マシンをフリーズさせる機会を窺っていたのだ。

最終更新:2006年08月16日 11:55