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常識の嘘2

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地動説を初めて思いついたのはコペルニクスではない

ギリシアのアリスタルコスが初めて思いついた。

コペルニクスは地動説について書いた著書「天球の回転について」に
アリスタルコスの説を引用したが、
自分の独創性が弱まるのを嫌がり、後で削除した。

アリスタルコスが地動説を唱えた当時は、
常識外れの説として誰も相手にしなかった為
彼の本は現存しない。
彼の説はアルキメデスの本の中で珍説として紹介されている。

参考:
、I.アシモフ(星新一編訳)、新潮社。




英語の「トランプ」は日本語の「トランプ」ではない

「トランプ」は「切り札」を意味する英単語。
日本で言う「トランプ」は「(プレイング・)カード」。

スペイン人もしくはポルトガル人が南蛮貿易で
プレイング・カードを日本に持ち込んだ際、
トランプという言葉を連呼していたので誤解が生じ、
プレイング・カードがトランプと呼ばれるようになった。

プレイング・カードで遊ばれるゲームの中には
「トリック・テイキング・ゲーム」と呼ばれる一群のゲーム達
(ブリッヂが有名。日本では他にナポレオン、
ツー・テン・ジャックが有名)がある。
「トランプ(切り札)」はこれらのゲームの多くで使われる用語で、
通常の札よりも強い札の事を指す。

なおトランプという言葉はトライオンフ(勝利)というゲームに
由来する。

参考:
「トランプものがたり」、松田 道弘、岩波書店、1979年11月。他。




タロット・カードは占い用の札ではない。

タロット・カードを主として占いに使うのは日本とアメリカくらいで
ヨーロッパではトランプと同じくゲーム用の札として用いる。
遊び方は日本で言うナポレオンに近い。

ちなみにナポレオン、ツー・テン・ジャック(そしておそらく大貧民)は
日本で生まれたゲーム。欧米のホイストというゲームに起源を持つ。
イギリスにもナポレオンというゲームはあるがこれは別物で
日本のナポレオンが名前を拝借しただけ。

参考:
「トランプものがたり」、松田 道弘、岩波書店、1979年11月。他。




本来の「ババ抜き」ではジョーカーを使わない

日本以外ではジョーカーを使わない。
日本でも元々はジョーカーを使わないもの(ババ抜き=old maid)と
使うもの(鬼抜き)を分けていたが、いつのまにか混同された。

本来はジョーカーを使わず、代わりに4枚あるQの札のうちの
一枚を取り除いてからゲームをする。
3枚のQのうち、ペアになった2枚は捨てる事ができる。
最後に残った1枚のQを持っていた人が負け。

ジョーカーを使わないのは当然で、ババ抜きが発明された当初は
まだジョーカーというものが存在しなかった。


参考:
「トランプものがたり」、松田 道弘、岩波書店、1979年11月。



「七並べ」(fantan)の元々のルールでは最初に7の札を並べない

7の札を持っている人が自分の番になった時、7の札を出す。

参考:
「トランプゲ-ム事典」、東京堂出版、松田道弘、1988年12月。




ジョーカーの起源はタロット・カードの愚者(fool)ではない

まして日本で発明されたという説は論外である。
本当はイギリスのユーカーというゲームに使う
「ベスト・バウアー」という札がジョーカーの起源。

ヨーロッパのゲームには7からAまでの32枚しか使わないものが多いが、
ユーカーではこれら32枚に加え、クラブの2を使い、
これをベスト・バウアーと呼ぶ。

ユーカー(Eucker)が訛ってユーカー→ジュカー→ジョーカーとなった。

参考:「トランプものがたり」、松田 道弘、岩波書店、1979年11月。




「ロボット」は元来は人造人間を指す言葉

「ロボット」という言葉を始めて用いたのは、
チェコ・スロバキアの作家カレル・チャペックであるが、
チャペックのいうロボットは今で言う人造人間の事である。

チャペックがロボットという言葉が使ったのは
「R・U・R、ロッサムのユニバーサル・ロボット」という戯曲。
ロボットという言葉を作ったのはチャペックの兄で画家のヨゼフ。
「労働」を意味するチェコ・スロバキアの「ロボータ」という言葉から。

チャペックに人造人間を意味するよい名前を求められた時、
ヨゼフは絵を描いている最中で、口に絵筆を加えながらもごもごと
ロボットという名を提案した。

「R・U・R」のあらすじは以下の通り:
R・U・R社は人間そっくりのロボットを労働用に販売していた。
ある時一人の人権主義者の女性がロボットの境遇に同情し、
ロボットに心を持たせる事を提案した。
ロボットの開発者たちはこの女性にほれていた為、
この言葉に従い、ロボットに心を与えた。
しかし心を持ったロボット達は人間に反抗し、人類を滅ぼす。

この際ロボットの生産方法が失われてしまった為、
ロボットは増える事ができない。
ただ一人生き残った人間がロボットを第二の人類にすべく、
ロボットの生産方法を研究する。
研究の為、彼のそばにいた男女一体ずつのロボットのうち
一体を破壊して詳しく調べようとする。
しかし二体のロボット達は互いに相手をかばいあい、
相手ではなく自分を実験に使ってくれと彼にせがむ。
これにより彼は第二の人類たるロボットに愛の感情が
芽生えた事を知り、神に感謝する。

参考:
、カレル・チャペック(千野栄一訳)、岩波文庫。




「ロボット三原則」はロボット工学者が決めたものではない

SF作家アイザック・アシモフが世界初のSF推理小説
「わたしはロボット」で「ロボット三原則」を提案した。

「ロボット三原則」は「ロボットは人間に逆らうべきではない」など
ロボット生産における倫理的規範を定めたもの。

小説中では犯人達がロボットを使って犯罪を犯す。
ロボット三原則を破らずにいかにロボットを用いるかが
トリックのポイントとなる。

アシモフがSF推理小説を書こうと思ったのは、
SF雑誌「アスタウンディング・サイエンス・フィクション」誌の
編集長ジョン・キャンベル・ジュニアの言葉に触発されての事。
キャンベルが「SFは自由なジャンルであるからSF恋愛小説や
SF西部劇などどんなものでも書けるが、その自由性があだとなって、
論理を必要とするSF推理小説だけは例外的に書けない」という趣旨の
事を言ったのに反発したのである。

参考:
、アイザック・アシモフ、創元SF文庫。



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