本編

獣の皮を幾重にも重ねて補強した簡易な盾。
初代で最弱の盾として登場し、以来Ⅴで【おなべのふた】が登場するまで最弱の地位を堅持、
それ以降もブービーに君臨し続ける、とても頼りになるとは言い難い盾である。
しかし、この盾は多くの冒険者の序盤のお供として長らく愛用されている。
その甲斐あって、盾では唯一シリーズ皆勤賞を果たしているのだ。
なぜ皮の盾は愛されるのか。今日はロングセラー商品の人気の秘密に迫ってみよう。

皮の盾が愛用される理由の大きなものとして、歴代主人公は一人も盾を持って旅に出た事が無い事が挙げられる。
ほうほうの体で放浪の旅に出ざるを得なかったⅣやⅧはともかく、世界を救う使命を帯びて旅立ったハズのⅠ~Ⅲの勇者が最低限の盾すら持っていないというのはいかがなものだろう?
とにかくその状態で防具屋のレパートリーを見たプレイヤーは、まず開いている防具を埋めようと思うハズだ。
そしてそこには「これを使え」と言わんばかりに皮の盾が置いてあるのである。
価格はⅠ~Ⅳが90G、Ⅴ~Ⅷが70Gと武器と比べて安価であり、初期資金と少しの稼ぎがあれば購入可能である。

そして重要なのが守備力の数値。
あまり知られていないが、実は皮の盾は初登場から23年間ずっと守備力4だったのである。
DQシリーズは同じ名前の武器や防具でも、作品によって攻撃力や守備力の数値が異なる事がほとんど。
皮の盾だけがひたむきに守備力4を続けたのはなぜなのだろうか?

DQのダメージ計算式は「攻撃力÷2-守備力÷4」に多少の乱数を掛けたものとなっている。
簡単に言えば、守備力が4上がると1ダメージ減るようになっている訳だ。
先述の通り主人公は盾を持って旅に出た事が無いので、皮の盾を装備すると守備力が4上がり、ダメージが1減る。
スライムやらドラキーやらとの戦闘では1ダメージの差は非常に大きく、その効果をかなり実感できるハズだ。
皮の盾は「盾を買えばダメージが減るよ」ということをプレイヤーに教えてくれるのである。

同じく初期装備がない防具といえば頭部防具。
こちらは【かわのぼうし】が同じ時期にほぼ同額で店売りされているが、こちらの守備力は2~3であり、こちらは装備しても「確実にダメージが減る」訳ではない。
皮の盾を購入するとダメージが確実に減り、皮の帽子を購入するとそうでもない。
すなわち、皮の盾はDQの防具の優先順位が盾>兜であることを無言の内にチュートリアルしてくれているのである。
実際同時期のアイテムでも兜より盾の方が守備力が上回ることが多く、
ストーリーが進むにつれて盾に特殊効果を持つものが多くなってゆくのは、DQをプレイした事がある人ならよく分かっているだろう。

皮の盾は人知れず守備力4を守り通し、歴代勇者の軽装にも助けられて「盾の有用性」と「兜より盾」であることを新人冒険者に伝え続けてきた。
しかし2009年7月、ドラゴンクエストⅨが発売されると共に皮の盾界に衝撃が走る。
価格が昔年の90Gに戻る一方で、なんと守備力が3になってしまったのだ!
ここまで読んで下さった暇な方なら守備力が4を下回る事にどんな問題があるのかお分かりいただけるだろう。
多くの盾に設定されている【盾ガード】率すら設定されておらず、過去作の皮の帽子程度の地位にまで落ちてしまった感がある。
Ⅸは1人のキャラクターが装備する防具の箇所が増加したため、防具一つ当たりの守備力が過去作に比べて低下しており、そのアオリを食った格好である。

次回作でも守備力3を続けるのか、あるいは守備力4となって己の任務を思い出すのか、今後の動向が注目されるアイテム。
自らの存在価値を探し求める皮の盾の、明日はどっちだ!!
その結果、こうなりました

トルネコシリーズ

1と2に登場。守備力は低いものの二つの効果を併せ持つ優秀な盾。
第一の効果は装備している間お腹の減り方が半分になる効果。
他の盾と異なり金属製ではないから軽い、という事なのだろう。
その割に盾を持っていない時よりも腹の減りが少ないがツッコまない事にしよう。
もう1つは金属製でないために錆びない効果。
これも中々優秀で、【くさったしたい】【硫酸】で弱体化させられる事がない。
元々の守備力の低ささえどうにかすれば非常に優秀な盾である。
特に1のもっと不思議では【ハラヘラズの指輪】【メッキの巻物】も登場しないため、他の強力な盾と並んで有力なメイン盾候補となる。
2では他の盾にとりあえず合成しておこう。
GBA版のもっと不思議などは食糧事情が厳しいので、とりあえず皮の盾(を合成した強力な盾)を手に入れることが当座の目標となる。

最終更新:2013年08月23日 08:41