219話

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*第219話:モンバーバラの妹 彼が、果報は寝て待つもんだぜ、と言ってからどのくらいが経つだろう。 彼は本当に寝てしまった。でも私には、眠れない夜。 闇がこんなに怖いなんて。夜がこんなに恐ろしいなんて。 …でもここは、静寂じゃない。 彼のイビキが、完全な静寂を防いでいる。 …少し、ありがたい。 寂しさに包まれることも防いでくれるから。 独りじゃない、と感じることが出来るから。 …姉さん、私、凄い弱虫かもしれない。 やっぱり、独りは耐えられないと思う。 いつだって姉さんが隣にいて、それに慣れてしまっていた。 今、彼がいなくて、本当に独りだったら。 ――私、きっと、泣いている。 眠れぬせいで時間を持て余し、カンテラの明かりの下、参加者名簿に目を通す。 今まで開きもしなかったそれには、嘗ての仲間が幾人も載っていた。 ――ブライとトルネコは、黒ずんだ赤い線によって名を消されていたけれど。 目を閉じる。 亡くなった仲間達に冥福を祈り。 姉さんが参加していないことを感謝し。 ソロや他の仲間達とともにこの狂気を打ち破ることを夢見て。 きっと、ピサロさんも仲間になってくれるはず。 彼は、抑え付けられるのを嫌うから。 強制的に参加させられたとなれば、プライドが許さないから。 あの日の仲間達が集えば、きっと… 「…?」 閉じているはずの瞼の裏に、一瞬何かがよぎる。 「…アリーナ?」 瞼の裏のアリーナは、いつもは見せない暗い表情をして。 自分の後ろを、指差した。 そこにいたのは、もう一人のアリーナだった。 ただ、普通じゃなかった。 その手は、服は、髪は、血に塗れて。 不気味な笑みを浮かべて。 「…!」 耐え切れなくなって、目を開けた。 相変わらず闇が辺りを覆っている。 「…何?」 占い師としての才覚が、私に見せたもの。 「アリーナが、二人?」 …血塗れのアリーナ。それはアリーナでは無いみたいで。 「…夢?」 額をちょっと右掌で押さえ、何度も瞬きをして。 「きっと、そうね…」 拭えない違和感をそのままに、自分への言い訳を口走ると、私は名簿を仕舞う。 自分の占いの才覚が不完全である事を、生まれて初めて祈った。 そして、血塗れのアリーナの姿も虚構である事を。 ――彼のイビキは、いつのまにか聞こえなくなっていた。 【ハッサン(HP残り1/8+α、睡眠)  所持品:E奇跡の剣 E神秘の鎧 E爆発の指輪(呪)  行動方針:指輪を外す 最終行動方針:仲間を募り、脱出】 【ミネア 所持品:いばらの冠 嘆きの盾 悪魔の尻尾  行動方針:ハッサンの指輪を外す】 【現在位置:いざないの洞窟西の山岳地帯】

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