472話

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*第472話:アンタッチャブル 歩きながらできる暇潰しといえば、雑談くらいしか思いつかない。 という訳で、ルカとハッサンとアンジェロ、二人と一匹は話していた。 最初の話題は新参アンジェロについて。 ここでようやく、本当のマスターがリノアという少女であることが判明した。 ついでにスコールはリノアの恋人だという事も。 ルカは通訳なので忙しい。 「そういえばスコールの兄ちゃんに会った時、真っ先にそのこと聞かれたね。ねぇハッさん」 「そーだったかぁ? 覚えてねぇなぁ」 「もー、にわとり頭なんだから」 「トサカじゃねぇぞ、これはモヒカンだ」 もちろん髪型ではなく記憶力の事だったのだが。 「……そうだね、もひかんだね」 本人がまるで気付いていないようなのでこのネタは流す。 にわとりは三歩で忘れるが、ハッサンは昼間から一歩も歩いていない。 (……リノアって名前、聞き覚えあるんだけどな。テリーに聞いたのかな) と、ルカ。昨夜、テリーが再会する前に一緒に行動していた中の一人だろう、と結論づけた。 実際にそうなのだが、なにぶん教えられた名前が多すぎてハッキリ覚えていない。 (そう。スコールはリノアの事を心配してくれていたのね……) と、アンジェロ。それはつまり、スコールはリノアに会えなかったという事になる。 それでも、スコールの胸の中にリノアがいる事が、なにより嬉しかった。 (にわとり……肉が食いたくなってきたな) と、ハッサン。でも鶏肉よりは牛肉の方が食べたかった。 「恋人かぁ。ハッさんいる?」 「!!! な、なにがだ!?」 ハッサンは見なくてもわかるくらいに動揺した。うっかり爆発しなければいいが。 一応、ルカとアンジェロは数歩離れた。 「だから今、恋人とかいるの? まさか結婚してる?」 「か、関係ねぇだろ。別に恋人くれぇ一人や二人っ!」 「二人いたらおかしいよね」 『そうね、二股ね』 ちなみにハッサンは現在恋人募集中。だからといって過去にいた訳でもないと思われる。 「なんで呪われてるアイテム装備しちゃうかな」 「ただならぬ事情ってぇのがあったんだ。もう自爆覚悟だったんだがよ」 ハッサンの爆発の指輪の話。 この話題に至るまでにも色々と話題を経由したが、本当にくだらないので省略。 「ハッさんみたいにイカツイ人だから、何度も爆発に耐えられてるのかもね」 「フン、まぁな」 「俺だったら、きっと一回も爆発に耐えられないよ。そもそも装備しようとしないけど」 「よせ、照れるじゃねぇか」 褒めてない。 『ある意味、ハッサンのハッサンによるハッサンのためのアイテムね……』 シャナクの巻物を持つテリー達は、もしかしたら北側に移動しているかも。 という事を、ルカは口に出さなかった。 ハッサンも口では言わないが、きっと呪いを解きたくて仕方ないと思ったから。 大きいほうのテリーにしても、小さいほうのテリーにしても、その名前を出せばやきもきさせてしまう。 だから言わない。もちろん心配だが、それでも言わない。 更にテリー達がカズスに向かっている可能性もある。心中で、別の場所に行っていてくれと祈った。 「……けどさ、ハッさん。俺が砂漠を通らなかったらどうするつもりだったの。移動とか」 「さぁなぁ、どうにかなってただろ」 「ならないでしょ」 このゲームの参加者で、ハッサンを運べる手段を持つ人は少ない。とルカは考える。 揺らさないように巨漢を背負って運ぶのは、大の大人であろうと、まず無理。 ケフカが使っていたレビテトも、足を動かさないと進めないというデメリットがある。 ハッサンを荷台か何か乗せて、レビテトをかけて引っ張る。という方法ならば可能かもしれない。 その引っ張り役も、かなり体力がいるが。 「……うーん、台を引っ張って、足を引っ張られる……」 「何の話だ?」 「なんでもない」 次にマーダー情報の交換。おそらく一番重要。 「アリーナっていう若い女と、名前は知らねぇが銀髪ロンゲのスカした野郎はマーダーだ。  特に本物のアリーナには気を付けろ。コピーは改心させたから平気だぜ!」 「意味不明なんだけど」 当然のツッコミを頂戴し、ハッサンは一からアリーナについて説明する。 と言ってもアリーナ本人から貰った情報が全てなのだが。 アリーナが分裂した事、コピーアリーナは残忍だが更生した事、オリジナルアリーナはネコ被った邪悪である事。 余談だがミネアとの出会いにまで遡っていたので、説明がかなり長くなっていた。特にミネアの美談。 ルカとアンジェロは大人しく話を聞いていたが、後半になるにつれて表情が変わっていった。 「……し、信じられなーい」 ルカの感想第一声。ケフカの真似である。あまり似てない。 「信じらんねぇのも無理ねぇが、世の中には、こんな狡猾で計算高くて血も涙もねぇやつがいるってこった」 「じゃなくて、ねぇ」 『そうねぇ』 ルカとアンジェロは、更に離れてハッサンを見つめた。じっとりとした視線で。 「な、なんだその目は!」 「だって。目の前で殺人したばっかの人の話を、そのまま信じるってのも、なんか」 『良く言えば、純粋ね』 「んだと、今の話のどこが疑わしいってぇんだ! えぇ!?」 「えー、どこって」 ハッサンの怒鳴りにも怯まずに指折り数え挙げていくルカは意外と肝っ玉座ってる。 「本当に、会ったのがコピーで会ってないのがオリジナルなのかなー、とか。  本当に、そのアリーナって人は反省したのかなー、とか」 ルカに合わせてアンジェロは頷く。 「本当に、会ってない方は悪者なのかなー、とか。  本当に、分裂なんてしちゃったのかなー、とかさ」 「あいつはミネアさんを殺したことを後悔してるっつったんだ! 心から!」 興奮して、ハッサンは拳をわなわなと握り締めた。もちろん怒りで。 「それも嘘だっつぅ気か? 自分で聞いたのか? わかったような口聞くんじゃねぇ!!」 そして案の定、爆発した。 ハッサンの身はもちろん心配だが、やっぱり離れていてよかったと、子供と犬は安堵した。 「…………けっ」 爆発した事で興奮が冷めたのか、ハッサンは大人しくなる。 「ハッさん、俺は俺の思った事を言っただけだからね」 あくまでルカは考えを述べたまでで、押しつけたり否定したりをしたいわけではない。 「思うのは勝手でしょ。なんだっけ、そーぞーのじゆう?」 ハッサンは顔をフイと背けた。大人しくなった代わりに、口を聞こうとしなかった。 大人気ない。 「……ナナメだよ。機嫌が」 『しばらくは触れない方がいいわね。精神的には』 「身体的にもだけど」 ルカは溜め息を吐いてアンジェロを見下ろした。彼女も首を横に振る。 「……俺の話はあとでいっか。進もう」 ハッサンは何も答えない。 スライムナイトの事や、ギードから教えられた「銀髪はやばいのが多い」事などを伝えたかったが、こんな状態では無理そうである。 ハッサンを連れながら、ルカとアンジェロは適当に話をする事にした。 『恩人のミネアという女性が絡んでいるから、アリーナという少女を信じたいのかしら』 ハッサンが怒ったという事は、少なからず疑いを持ったという事。 それでも感じたのは、信じたいという願望。ルカは、そんな気がした。 「どうなんだろ……もう何を信じたらいいのか、わかんないね」 『そうね。この世界にいると、全てを疑いたくなってしまうわ』 「そんなのいやだよ」 ルカは一瞬だけ淋しそうな表情を浮かべるが、すぐにしっかりとした目付きに変わる。 「俺は、アンジェロのことは信じてるからね」 『ありがとう。私もよ』 雲に乗った仏頂面の巨漢と、犬と、それと会話する子供。 見た目だけでも妙な組み合わせの三つの影は、ただひたすら草原の中を進んでいった。 何が嘘で何が本当なのか、今はまだわからない。 何が嘘で何が本当なのかわかるときが来るのか、それもまだわからない。 何を信じて何を疑うか、結局は、自分自身で決めるしかない。 【ルカ  所持品:ウインチェスター+マテリア(みやぶる)(あやつる) 風のローブ  シルバートレイ ひそひ草 様々な種類の草(説明書付き・残り1/4)  第一行動方針:アンジェロをスコールに会わせる  最終行動方針:仲間と合流】 【ハッサン(HP1/10程度、危機感知中)  所持品:E:爆発の指輪(呪) ねこの手ラケット チョコボの怒り 拡声器  第一行動方針:ふてくされる  第二行動方針:オリジナルアリーナと、自分やルカの仲間を探す/呪いを解く  最終行動方針:仲間を募り、脱出 】 【アンジェロ 最終行動方針:スコールに会う】 【現在位置:カズス北の草原】

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