442話

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*第442話:風の中の「声」 47度の満月の後、幾百、幾千の星たちが、天を覆わんばかりに降り注ぐ、星降りの夜が訪れる。 その夜、世界中のモンスターマスター達は一同に集い、その腕前を競い合う。 それが「星降りの大会」。 前の大会では、主催国タイジュの代表、テリーが決勝戦でマルタ代表を破り、優勝を果たした。 その時は出場できなかったが、必ず次の大会ではルカかイルがマルタの代表となると目されていた。 『絶対にあたしが代表になるんだから! お兄ちゃんだからって容赦しないからね!』 おてんばで、勝ち気で、生意気なイル。 『へっ、そんなんでテリーに勝てるかよ! イルの方がよっぽど見込みがあるワル』 いたずら好きで、邪魔ばっかりして、口が悪いワルぼう。 でも…… どんな魔物にも、分け隔てなく深い愛情を注ぐ、優しいイル。 本当は仲良くしたいのに素直になれない、不器用で寂しがり屋のワルぼう。 「ちくしょおぉぉ……! うおぉぉぉ……!」 ハッサンはギリギリと拳を握り締めた。 指輪が爆発しないのが不思議なぐらい、悔しさと怒りで体が張り裂けそうだった。 忌わしい魔女が告げたのは、バーバラの名前だけではなかった。 伝説の武器をも鍛えてしまう鍛冶屋の娘サリィ。 イザを本当の兄のように慕っていたというランド。 ミレーユやアモスに続き、巡り合えぬ内に命を落としていた同じ世界の仲間達。 ようやく見つけたテリーも、連れてきて欲しいと頼んだカインとケフカも、未だここに戻っていない。 このままでは、イザ達とも会えぬまま、永久に別れるような事にもなりかねない…… 「諦めねぇぞ! まだ終わる訳にはいかねぇんだ!」 自らを奮い立たせるように叫んだ瞬間…… ぐらり、とハッサンの体が大きく揺れた。 「うあああああ! なっ、何だあ?!」 体力消耗ゆえの目眩か、強い風に煽られたものか…… いや、違う。体が急に沈み始め…… 雲が消えていく?! 「か……勘弁してくれよぉ!」  慌てて必死でバランスを取り、体を立て直す。 「おーい、ルカぁ! どうなってんだ?! 大丈夫なのかぁ?!」 どうにか無事に地面へ着地したハッサンは、数十メートル先に声を掛けた。 だが、返事がない。 「ルカ! 危ないぞ! このままじゃあ……」 もう一度叫んだハッサンは、途中で言葉を切った。 「……ルカ」 吹き荒ぶ風の向こう、バーバラの眠る墓の前に、うずくまるルカの小さな影が見えた。 非凡の才能を持つモンスターマスターは魔物に殺された。 マルタの国を守る精霊は自分の身を守れなかった。 『リノア!』 空に向かい、アンジェロは吠えた。 二度と会う事はないと……会いたくもないと思っていた姿に向かって。 『嘘でしょう?! なぜ、あなたが死ななければならないの?!』 消滅すべきは、あの魔女――アルティミシアの方であるはずなのに! なのに、あの女は生きて……微笑みながら、死者の列にリノアの名を加えると言うの?! 喉から絞り出すような咆哮が辺りに響き渡る。 『スコール、あなたは……』 最愛の女性に先立たれた男。 その絶望はきっと、図り知れない程に深く、重いものに違いない。 せめて、側にいてあげよう……いや、自分の方が寄り添っていたいのだ…… 涙を振り切り、走り出そうとした、その時―― 『……だ……嘘だ……』 アンジェロは、風に漂う「声」を聞いた。 『……嘘だ……あいつが……簡単に死ぬ訳ないじゃないか……!』 「言葉」ではない。 人ならざる者のみが感じうる、心の「声」。 『泣いている……誰か……スコール? ……いえ、違う……』 アンジェロはじっと耳をすませた。 『……ワルぼうさえいれば……何とかなると思ってた……  イルとマルタへ帰って……牧場を手伝って……バトルに出て……時々魔物たちと旅をして……  何もかも、元のまま……元通りになるって……信じて……ずっと、信じて……なのに……どうして……』 まだ若い……いや、むしろ幼い男の子のようだ。 そんな年端も行かない子供が、こんな無慈悲なゲームに連れてこられていたなんて。 『……もう帰れない……たとえ生きて帰っても……  父さん、母さんに……カメハに……魔物達に……何て言えばいいんだ……  ……イルが……ワルぼうが……もうこの世にいないなんて!』 直接心に突き刺さるような、純粋な魂の慟哭。 思わず、こちらまで体が打ち震えるような…… 『テリー……ギード……トンヌラ……早く俺を見つけてくれよ……動けないんだよ……  俺……このままじゃ……どうしていいか……分からないよ……』 『テリーですって?!』 アンジェロは驚愕した。 あの血なまぐさい甲冑の男――カインは、テリーを探している人物がカズスにいると言っていた。 だとすれば…… 『彼がハッサンなのかしら』 カインの話から、もっと大人の男を想像していたのだが。 『それはいいんだけど……』 何かおかしい。 彼……ハッサンは、テリーがどうなったのか、まるで知らない様子だ。 カインはラムザ達と別れ、とっくにカズスに到着している時間のはずだが、まだその事を伝えてないのか。 それとも…… 『あの男、やっぱり怪しいわ……』 アンジェロは遥か前方を見据えた。 もうじき、砂漠も終わる。カズスまではあと一息だ。 『スコール、ちょっとだけ待っていて……リノア……その間、彼を守ってちょうだい……』 ハッサンは、訳あってカズスから動けないらしい。 それでも、テリーの行方、ラムザの事、そして……あの男を簡単に信じてはいけない事を、彼に教えなくては。 離れていても、これだけ心が伝わってくる相手だ。 たとえ「言葉」はなくとも、こちらの気持ちも伝わるだろう。 アンジェロは再び、砂を蹴って走り出した。 風の中に消え去りそうな、心の「声」に導かれて。 【ルカ(浮) 所持品:ウインチェスター+マテリア(みやぶる)(あやつる) 、風のローブ、シルバートレイ  第一行動方針:今は何も考えられず  最終行動方針:仲間と合流】 【ハッサン(HP 1/10程度、危機感知中)  所持品:E爆発の指輪(呪) 、ねこの手ラケット、チョコボの怒り、拡声器  行動方針:オリジナルアリーナと自分やルカの仲間を探す、特にシャナクの巻物で呪いを解きたい  最終行動方針:仲間を募り、脱出 】 【現在地:カズスの村・ミスリル鉱山入り口付近】 【アンジェロ   第一行動方針:ハッサン(?)にテリー達の事を教える  最終行動方針::スコールに会う】 【現在位置:カズス西の砂漠・東端→カズスへ】

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