90話

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*第90話:平穏は束の間に過ぎず 五人とも満腹になったところで、支給品を確かめてみようということになった。 ラグナもピクニックセット以外、何が入っているのか探していないという。 ――果たして、自分の袋にマトモな武器は入っているのか? 期待と不安に胸の鼓動を高鳴らせつつ、最初にエーコが袋を開けた。 「何これ、金の髪飾りかな? エーコのとはデザインが違うけど」 取り出されたアクセサリを見て、マッシュが口を開く。 「俺の仲間が使ってた物と同じだ」 彼によると、その髪飾りには魔法を使うときに消費される魔力を抑える力があるらしい。 白魔法が得意なエーコにとっては、当たりアイテムといっていいだろう。 それから銀色のお盆も出てきた。これは盾代わりに使えそうだ。 最後に出てきたのは竪琴だった。 精緻な細工が施してあり、一目で高級なものだとわかるが、武器にはなりそうにない。 エーコが要らないといったので、吟遊詩人の修行を積んだことがあるというマリベルに譲られることになった。 「吟遊詩人ねぇ」 「何よマッシュ、文句あるの? 一曲歌ってもいいわよ、のろいの歌でよければ」 マリベルは竪琴を構える。マッシュは「悪い悪い」と苦笑いしながら手を横に振り、自分の支給品を探り始めた。 そして彼が取り出したものをみて、全員が眉を潜める。 出てきたのは、剣士を模した人形に、何の変哲もないモップ。――どこからどう見ても外れだ。 「結構かわいいかも、これ」 「掃除に使うモップよね、これって。チャンバラごっこには使えるかもしれないけど……」 肩を落としたマッシュに、女性陣の感想が止めとなって突き刺さる。 その二つが、並みの剣など比べ物にならない力を秘めていることには誰も気付かない。当たり前の話だが。 さて、ラグナの袋から出てきたのは、きらきらと輝く宝珠だった。 どういう仕組みなのかはわからないが、輝きの中に竜の形の紋章が浮かんでいる。 きっと、売れば高値がつくのだろうが……これも戦いには役立ちそうにない。 「ピクニックセットに宝石か、掛け値なしに外れだな」 スコールの言葉に、ラグナは引きつった笑いを浮かべながら、袋を奪い取った。 「そう言うお前のは何なんだ、見せろよ」と、逆さにしてぶちまける。 「なんだこりゃ?」 中世の貴族が着ていそうな服と、髪飾りのようにも見える兜。服はともかく、兜はいかにも軽そうで、誰でも身に着けられそうだ。 しかし、ためしに被ってみたラグナは、十秒もしないうちに外してしまった。 「おいおい、重すぎるだろコレ! こんなもんかぶってたら首が折れちまうぜ」 「え? そんなに重そうには見えないけどな」 そう言いながらマッシュが着けてみたが、ラグナ同様すぐに外す。マリベルやエーコも、スコールでも同じだった。 「何か呪いでもかかってるのかしら? 持つだけならそれほど重くないのに」 どちらにしても、こんな兜を身に着けるわけにはいかない。さっさと袋の中に仕舞い込む。 「スコール、こっちの服なら着れるんじゃないか? 仮装パーティの出席者みたいで、意外と似合うかもしんないぞ」 「なら、あんたが着ろよ」 仮装を楽しむ趣味も余裕も持ち合わせてはいない。スコールは冷ややかな目で、笑いながら貴族の服を差し出すラグナを睨みつけた。 五人の中で、一番まともといえたのはマリベルの支給品だった。 三つ全てが武器といえそうなもの……ラケットにナイフに鞭だったからだ。 「あーっ、エーコが前に使ってたラケットじゃない!」 「セイブ・ザ・クイーン……キスティスの物が、なぜここにあるんだ?」 せがむエーコにラケットを渡しながら、マリベルは「知らないわよ」とスコールに言う。 「この鞭があれば、ナイフの方は別にいらないんだけど……」 マリベルは武器を持っていないラグナとスコールを見た。 「俺はいいよ」 ラグナが辞退したので、それなら、とマリベルはスコールにナイフを渡す。 ――その時だ。 「ぅわぁぁぁああああっ!!」 甲高い叫び声が遠くから響いてくる。そう思った時には、一人の少年がものすごいスピードで向かってくるのが見えた。 「ど、どうしたんだ?!」 只ならぬ様子に、マッシュが少年に向かって声をかけた。それに驚いたのか、足が縺れたのか、少年は派手に転んでしまう。 ラグナが慌てて彼の元に行き、抱え起こした。 「おい、大丈夫か?」 「リチャードが、リチャードがぁっ……」 少年はラグナにしがみついて泣き出した。余程怖い思いをしたのだろう。 錯乱しきった少年をなんとかなだめ、事情を聞き出す。 少年――イクサスの話は要領を得ないものだったが、だいたいのことはわかった。 山の中で若い二人組に襲われたこと。リチャードなる人物が、身を呈して助けてくれたこと。 彼を襲った人物の片方は緑の髪をした女剣士で、片方は茶色の帽子とコートを身に付けた男だったということ。 全てを聞き終わった時、エーコは恐怖に身を震わせ、マリベルは憤り、 マッシュはやりきれない思いを抱えるように拳を握りしめていた。 ラグナは青ざめた顔でスコールを見、スコールは怒りとも悲しみともつかぬ険しい視線を山に向けていた。 「緑髪の女……」「なぁ、スコール。帽子の男って……」 スコールは答えず、袋から参加者リストを取り出し、ぱらぱらとめくる。 そしてアーヴァインの名前と写真が載せられたページをイクサスに見せた。 少年は目を見開き、「こいつだ! こいつがリチャードを!」と、写真を指差して声を荒げる。 マッシュも同じようにリストを、ティナのページを見せた。イクサスは首を縦に振った。 「悪い。俺、行かなきゃならねえわ」 「知り合いだったの? その、ティナって人」 横合いからリストを覗いていたエーコの言葉に、マッシュは頷く。 「仲間だ。あいつは、人なんか殺せるような奴じゃない。  けど、本当に人殺しなんてバカなことをしてるなら、力ずくでも止めないと」 「俺も行こう」 「スコール!」 「アーヴァインは確かにキザで軟派で気弱で臆病な奴だ。だが、決して悪人じゃない。  ゲームに乗るには理由があるはずだ。それを聞きに行く」 そしてスコールは踵を返し、走り出した。マッシュがその後を追う。二人の姿は、すぐに見えなくなった。 「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」 我に返ったマリベルが慌てて叫ぶ。けれども、走り去ってしまった二人には聞こえないだろう。 「もう、これだから男ってのは! いつだって後先考えないし、自分勝手なんだから!」 苛立ちを声に変えながら、マリベルは自分の荷物を大急ぎでまとめ始める。 「マッシュやスコールの気持ちはわからなくないけど、広い山の中で相手に会える確率がどれだけ低いかわかってないの?  相手と入れ違ったり、道に迷ったりして戻れなくなったらどうすんのよ。  第一、この下らない最低のゲームに乗ろうって奴が、ちょっと知り合いに説得された程度で『はいそうですか』って大人しく言う事聞くわけないでしょ!  ボウガンと大剣持ってる殺る気満々の連中相手に、使えない兜とただのナイフに玩具にモップでどうやって戦うっていうのよ!」 「マリベル……」 「悪いけど、あたし二人を連れ戻してくるわ!  どんな理由があったって、勝算も何もないのに行くのは、勇気と無謀を履き違えた大バカよ。  それに、このまま放っておいて返り討ちにされて死なれたりしたら、後味悪すぎるのよ!」 そしてラグナとエーコに「その子のことは頼むわ」と言い残し、マリベルも森の奥へと駆け出した。 【スコール 所持品:天空の兜、貴族の服、オリハルコン(FF3) 【マッシュ 所持品:ナイトオブタマネギ(レベル3)、モップ(FF7)  行動方針(共通):アーヴァインとティナに会い、二人を止める 【現在位置(共通):アリアハン東山脈中央部の森→山脈へ】 【マリベル 所持品:セイブ・ザ・クイーン(FF8)、アポロンのハープ  第一行動方針:スコールとマッシュを説得して連れ戻す、戦いは極力避ける 【現在位置:アリアハン東山脈中央部の森→山脈へ】 【ラグナ 所持品:ピクニックランチセット、ドラゴンオーブ 【エーコ 所持品;金の髪飾り(FF6)、シルバートレイ、ねこの手ラケット 【イクサス 所持品:加速装置 状態:錯乱  行動方針(共通):イクサスを守りつつ、その場に待機 【現在位置(共通):アリアハン東山脈中央部の森】

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