83話

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*第83話:焦り アリアハン城門前、暗い表情で地図を眺める男が一人。拳法着に身を包んだ青年、ジオだ。 彼の心は重い。 ゲーム開始早々攻撃を仕掛けられ、南に逃げ出したジオの目に留まったものは、平原からさらに南にあるアリアハンの城だった。 (城…目立つな。危険だが…もしかしたらあいつもいるかもしれない) そう考えたジオは、アリアハン城を目指しさらに南へと走った。 しかしこの決断は、彼にとっては良くない結果をもたらす。 もしもこの時、城に気付かずに橋方面に向かっていれば、求めている人に会えただろう。 しかしそれは運命の悪戯か、不幸な偶然か。ここで二人が出会うことは無かった。 「どこにいるんだ…アルカート…」 ぽつりと呟く。この街に来るまでの平原一帯と、この街はもう探し尽くした。 道中、知らない人間なら何人も見た(ゲームに乗っていなさそうな人間にはアルカートの事を聞こうかとも思ったが、やめた。 また爆弾を投げつけられてはたまったものではないし、この状況でもなお自分一人で探し出したいという気持ちもあったからだ)。 しかし、やはりと言うべきか、その中に彼女の姿を確認することは出来なかったのである。 ジオは焦りを感じ始めていた。 一刻も早く見つけないと…ゲームに乗っている人間が、危険な人間が、間違いなくいるのだ。 (頼む、無事でいてくれ) 彼は守るべき人がここにいるかもしれないという望みをかけ、アリアハン城内へと早足で入っていった。 「なんだ、近くで見ると思ったよりも小さいんだな」 ジオが城内へ入ってほどなくしてから、尻尾の生えた少年―――ジタンが、ジオと同じように城門前に立った。 城を見上げ様子をうかがってみるが、ここに仲間がいるか…あるいは危険があるかどうかも、もちろん外からではわからない。 (ダガー…ビビ、みんな…ここにいるのか?) 彼もまた、焦っていた。 サラマンダーの事も気がかりだし、それ以上にダガーが心配だ。 それに、この大陸も小さいけど狭くはない。もしもみんながみんな全く反対方向、東側にいたら。そんな心配もあった。 (みんな…そんな簡単に死ぬようなやつじゃないのはわかってるけど…ダガー…) …ジタンは知らない。ガーネットは、既にいなくなっていることを。 (大丈夫だ、ダガーもみんなもきっと無事だ…) 自分に言い聞かせるかのように、そう思いながら。 ジタンも城内へと走っていった。 【ジオ 所持品:ミスリルナイフ、ドリームパウダー×3  第一行動方針:城内でアルカートを探す 第二行動方針:アルカートを探し、守る】 【現在位置:アリアハン城一階】 【ジタン 所持品:英雄の薬、厚手の鎧、般若の面  第一行動方針:城内で仲間を探す 第二行動方針:仲間との合流】 【現在位置:アリアハン城一階】

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