25話

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*第25話:ある忠臣の思考 イルは逃げた。 訳もわからぬままこのゲームは始まり、とにかく兄を捜そうと決めた。 しかし「イル」と「ルカ」では、出発の時間に差が出る。 彼女が「兄を捜す」という行動方針を捨てなければならない事態は、 多分まだルカが出発する以前に起きてしまったのだった。 その時、全くの偶然に、イルは他の参加者がフィールドに降り立つ場面に出くわした。 そしてその参加者は魔物だった。 モンスターマスターとしての素質と経験を十分に持つイルは、相手が魔物だからといって怯みはしない。 むしろ全く知らない大人でなかった分安堵したくらいだ。 心を開けば魔物とも分かり合えるというのは、彼女にとってごく常識的なことである。 だがそれが、油断だった。 その魔物は、野生モンスターではないのだから。 イルの姿を認めるなり、ピエールは袋の中にある鋼鉄の剣を取り出し、それを振るった。 間一髪、イルはそれを避けたが、目の前で行われていることが信じられない。 彼女の中で、魔物は直接人間を襲うものではないのだ。 それでも、ピエールが第二撃の攻撃態勢に入ったことで、イルは理解することを放棄して、 とにかく生命維持を優先することを選んだ。 イルは逃げ出した。 逃げて、逃げて、体力のある限り駆ける。 しかし、スライムナイトは諦めることなくイルを追い続け、ついに回り込まれた。 「…お兄ちゃん…」 イルは兄を呼び、そしてそれが最後に口にした言葉となった。 所持品の回収を終えた後、ピエールは己が仕留めた少女の死体を、物悲しげに見下ろした。 もしかしたら、彼の主君の最愛の娘の姿とダブらせていたのかもしれない。 しかし、ピエールは、そうせねばならなかったのだと自分を納得させる。 このゲームに勝ち残れるのは一人。 生き残るのは、リュカ様であってほしい。 その為には、リュカ様の敵になる可能性を持つものを、一人として生かしておく訳にはいかないのだ。 そこまで決意して、ピエールはこの世界に降り立った。 そしてすぐ目の前に少女がいた。自分はためらいなく彼女を葬った。その行為は間違っていない。 生き残るのは一人。 レックス様でもなく、タバサ様でもなく、ビアンカ様でもなく。リュカ様であってほしい。 もしタバサ様に会っても、私は彼女らを殺す。 もしタバサ様達とリュカ様だけが生き残った場合、リュカ様に己の家族を手にかけるようなことは させたくない。 あの方はお優しいから。 だから私が全て殺し、そして最後に自害しよう。 そうすれば、リュカ様は生き残れるのだから…。 【ピエール 所持品:鋼鉄の剣 ロングバレルR 青龍偃月刀 祝福の杖 いかずちの杖 魔封じの杖  第一行動方針:リュカ以外の参加者を倒す】 【現在位置:レーベ南部の森】 【イル 死亡】 【残り 133名】

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