69話

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*第69話:戦いを求める者 ハイテンションを通り越して躁状態になっていたヘンリーだったが、ようやく落ち着きを取り戻したようだ。 「思ってたより遠かったな」 平原の向こうに目的地である村の影を認めて、ヘンリーは小さくつぶやく。 記憶の混乱も治まったらしく(G.F.の効果ばかりでなく、頭を打ったことによる面も大きかったのだろう)、 あれから妙なことは言っていない。 こうして普通にしていれば、王族に相応しい理性と威厳を感じないこともないのだが…… 第一印象を拭い去り、ソロの評価を改めるには到底及ばない。 それどころかギャップが激しすぎて、『ちょっとアレな人』という確信を高めるだけで終わっている。 「気をつけてくださいね。どこに敵がいるかわからないんですから」 「どうせ会うなら、敵よりも妻や弟や親友に会いたいんだけどな」 「あれ、奥さんなんているんですか? そんなこと一言も……」 「忘れそうになったが、なんとか思い出せた」 「……」 もう、これ以上深く考えるのも追求するのも止そう、とソロは思った。 その時、ヘンリーが唐突にソロを見た。 怪訝、とも険しい、とも言える表情である。 一瞬、考えを見透かされたのかとソロは狼狽したが、すぐに違うと気付かされた。 「おい、何か聞こえないか?」 ヘンリーの言葉が終わらない内に、ソロは走り出していた。 彼にも聞こえたからだ。剣を切り結ぶような、そして何かが燃える音が。 テリーは不満と空しさを覚えていた。 (こんな腑抜けしか集まってないのか?) いっぱしの戦士に見えるこの男、前に殺めた中年二人よりは楽しませてくれると思っていたのだ。 だが、期待はずれもいいところであった。 確かに、虚ろな目をこちらに向けてはいる。斬りつければ盾で受け止める。 だが、それだけだ。武器がないから戦えないとかそういう次元ではない。 素手で戦おうとも、呪文を使おうとも、逃げようとすらしないのだ。まるで、心を持たない機械人形のように。 これでは壁に切りつけているのとかわらない。 (もういい、終わりにしてやる) 苛立ったテリーは、神速の突きで盾と地面との間に剣を滑り込ませ、勢いよく跳ね上げた。 白銀の輝きが宙に舞い、鋭い切っ先が、それでもなお能面のように顔色一つ変えぬ男へ迫り―― けれども斬られたのは男ではなく、虚空であった。 甲高い音を立てて、後方から投げつけられたもの――鉄扇が跳ね返り、地に落ちる。 「止めなさい、テリー!」 アークボルトと雪山で会った冒険者たちの一人。テリーの赤い瞳にはそうとしか映らない。 青年は力と引き換えに、力を求めた理由も自分の姉の姿さえも忘れてしまったのだから。 「ふん……こいつよりは斬る価値がありそうだ」 テリーは笑った。ミレーユの記憶にある笑顔とはかけ離れた表情で。 「止めてほしいなら、力ずくで止めてみせろ!」 地を這うような低い斬撃が走る。ミレーユは扇を拾い上げ、力の方向を逸らして受け流す。 そして体勢が崩れたところを狙って薙ぎ払うが、呆気なくジャンプでかわされてしまう。 (やっぱり、剣や力では敵わない) そう判断したミレーユは、素早く距離を取って大きく息を吸い込む。そして一気に吐き出した、燃え盛る火炎に変えて。 「何っ!」 驚愕の相を浮かべる青年の姿が、赤い炎に飲み込まれる。ミレーユは間髪いれずに呪文を唱えた。 「ラリホーマ!」 ――攻撃呪文を選ばなかったのは、テリーを殺したくないという気持ちがあったからだ。 自分の命はどうなっても構わないが、弟には正義を取り戻し、そして生きてほしい。 だがその思いは、彼女が想像しなかった結果をもたらした。 炎の向こうで、何かが緑色に輝いた。そう思った瞬間、ミレーユは強烈な睡魔に襲われた。 (え? ……どうして……私が?) 「なるほど、この指輪は呪文を反射する力があるみたいだな」 ミレーユの瞳に、弟の姿が映る。無傷だったことに疑問は感じない。真空の剣で炎ごと断ち切ったのだとわかったからだ。 「火炎の息に受け流し、どれも子供だましの技だ。それで俺に勝てるとでも思ったのかよ」 テリーは冷酷に言い放つ。相手が誰なのか、未だに気付かないがゆえに。 かつての思いを見失い、力と引き換えに正義を失ったがために。 (私は……止めないといけないのに) ミレーユは悔やんだ。なぜ、ラリホーマなど使ってしまったのだろう。 攻撃呪文を使っていれば、まだチャンスはあったのだ。 弟を殺したくないという思いが――それが、自分の首を締めてしまったのか。 とめどない後悔と睡魔に、彼女はついに意識を手放してしまった。 けれども、テリーはミレーユを手にかけはしなかった。 思い出したわけではない。 彼が姉を殺さずにすんだのは、新たな闖入者が現れたから。それだけの理由だった。 「その人から離れろ」 年齢に似合わぬ覇気を備えた若者が言う。 その隣で、貴族風の身なりをした男が剣を構えている。 テリーの目は、その剣に吸い寄せられた。 「……雷鳴の剣」 それはかつて、彼自身が愛用していた剣だった。 シャープな切れ味を誇る刀身に、荒れ狂う雷を呼ぶ力を備えたアークボルトの至宝。 「おもしろい。今度こそ、戦い甲斐がありそうだな」 テリーは三度剣を構え、地を蹴った。 【フリオニール 所持品:天空の盾 状態:感情喪失 行動方針:静観?】 【ミレーユ(睡眠) 所持品:月の扇 エルメスの靴  行動方針:命に換えてもテリーを更正させる】 【ヘンリー(オートリフレク) 所持品:G.F.カーバンクル(召喚可能・コマンドアビリティ使用不可) 雷鳴の剣 【ソロ 所持品:さざなみの剣 水のリング  行動方針:テリーを倒し、ミレーユを助ける】 【テリー(DQ6) 所持品:クリスタルソード イヤリング 鉄の杖 ヘアバンド 天使の翼 リフレクトリング  行動方針:自らの力を試す=ゲームに勝利する】 【現在位置(全員共通):レーべの村中央部】

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