182話

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*第182話:迷いの剣 無数の星が散らばる星空の下で、剣と剣が交わっていた。 耳を劈くような金属音が、闇の中に幾度となく響く。 「くっ……」 レオンハルトの息遣いは若干荒くなっていた。 それでも、相手の女は顔色一つ変えることなく、冷たい表情のまま剣を振り下ろしてくる。 (このまま続けば・・・長くは持たないな…) そう判断したレオンハルトは、防御から攻撃に転じた。 女の剣を受け止めたと同時に、そのまま足を強く大地に踏み込み、腕に力を込め全体重をかけた。 女も同じように力を込め、踏み止まる。 互いに自分の持つ全ての力を込め、剣と剣が押し合う。 両者とも、大地を揺るがすようなすさまじい気迫での睨み合いが続く。 だが、ここは男性と女性の腕力の差であろうか。 キィン、と軽く剣が唸ると同時に女の体勢が崩れる。 (――今だ!) レオンハルトはすかさず剣を振った。 普通なら、これで勝利は決まっていただろう。 だが女は崩れた体勢のまま、レオンハルトの剣を受け止め、すぐに体勢を立て直した。 それは、並の人間では到底出来ない、まさに神業と呼ぶに相応しい鮮やかなものだった。 百人斬りのベアトリクス。そう呼ばれた彼女の強さは、剣術だけではなかった。 (なんという騎士だ…これほどの騎士を狂気に満ちた殺人鬼にしたくない。 なんとしても止めないと…) そう思う内に、ベアトリクスの剣が妖しく光っていた。 すると次の瞬間、その光はレオンハルトの体から溢れ出る。 気が付くと、レオンハルトの背中は大地についていた。 ロングソードは、手の届かぬところへ。 ――聖騎士のみ使える聖剣技、ショック。 皮肉なことに血を求めている残虐者となった騎士が、聖剣技を繰り出してきたのだ。 ベアトリクスは倒れているレオンハルトに、剣を向けた。 月光により、剣は嫌味に輝く。 (…これまでか) 死を覚悟したレオンハルトは、静かに目を閉じた。 レオンハルトは素直に受け入れようとした。これが、自分の罪に対する裁きなのだから。 そう思っていたが、不可思議なことに何時まで経っても剣は自分に振り下ろされなかった。 レオンハルトは目をゆっくりと開けると、そこで見たのは今にも振り下ろしてきそうな剣を持つ右腕を震わせている女。 さらに、今までの冷たい表情は失い、まるで追い詰められているような表情だった。 かつて、主君に仕えていたとき。 彼女は主君の言うままに動いていた。罪のない者を殺す。そんな騎士として、以前に人として有るまじきこともしていた。 もちろん彼女は人を殺すために技を磨いてきたわけではない。 ――散々、迷った。だが、彼女は決められなかった。 そんな中、同じ主君に仕えていたもう1人の騎士は、己の意思を優先していた。 その騎士のおかげで、自分は間違っていた道から抜け出せたのだ。 ――そして今もまた、自分は間違った道を走ってるではないか。 同じ過ちを、二度と繰り返したくない。 炎のごとく熱い意思を持つ彼女は必死で自分自身と戦っていた。 騎士としての誇りを味方にして。 「待て、そこの女!」 ふと、闇の中から声が響き渡った。 目線を上げると、前から2人の男と、その2人から少し離れている方向にもう1人の男が此方に向かって来るのが見える。 「……くっ!」 ベアトリクスはそう一言残すと、剣を鞘に納め、踵を返して走り去った。 やりきれない思いを携えながら。 【レオンハルト(負傷) 所持品:消え去り草  第一行動方針:ベアトリクスを止める 第二行動方針:死を待つ】 【現在位置:レーベ西の平原】 【ベアトリクス(呪いによる精神支配・暴走) 所持品:血のエンゲージリング 君主の聖衣 アルテマソード  第一行動方針:逃げる 第二行動方針:参加者を見つけたら殺す】 【現在位置:レーベ西の平原】 【ロック 所持品:キューソネコカミ クリスタルソード  第一行動方針:レオンハルトの場所へ 最終行動方針:ゲームをぶち壊す】 【フリオニール(感情半喪失) 所持品:銅の剣  第一行動方針:レオンハルトの場所へ】 【現在位置:レーベ西の平原】 【ギルガメッシュ 所持品:厚底サンダル 種子島銃  第一行動方針:レオンハルトの場所へ 第二行動方針:剣が鍛えあげられるのを待つ】 【現在位置:レーベ西の平原】

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