51話

「51話」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

51話」(2008/01/30 (水) 14:11:58) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*第51話:蘇った命 恐ろしいほどの殺意を込めた目で、ただその男を睨み続けるミンウ。 だがその男のほうはそれを臆することもなく、ミンウを冷めた目で見返していた。 「…白魔道士ミンウよ…勘違いをするな。私はこのゲーム、無差別に人間を殺すつもりはない」 「嘘を吐くな…!現に貴様は今その男を殺しただろう、皇帝!」 そう。男――皇帝マティウスの足元には、背中に巨剣を突き刺した男=バレットが倒れていた。 誰がやったかなど、一目瞭然である。しかし、肝心のマティウスは表情を崩すことなく淡々と述べていく。 「これは自衛の結果だ、いきなり殴りかかられて黙っている訳にもいかぬのでな」 ミンウはわからない、といったふうに首を振った。 「…わからない、貴様の目的は何なのだ!」 「目的…か。そうだな、敢えて言うならば…」 マティウスは口元に手を当て、少々考えるような仕草をしてみせてから、言った。 「…知りたいな。何故また、私が蘇ったのか…  悪である筈の私が何度も蘇ることができるのはやはり、力こそ全て、それだけが正しいことであるからか?」 「ふざけるな、貴様と反乱軍の私どちらが正しいか…今ここで私が貴様を葬る!」 ミンウは支給品である槍、ビーナスゴスペルを構えた。 …槍なんて数回しか握ったことがない、これで倒せる訳がない、しかし。 「まさか、私に勝つつもりなのか?その愚かさを理解した上での行動だろうな?」 「黙れえええッ!」 ミンウは構わずに飛び込んでいった。 ビーナスゴスペルが風を切る音が何度も響く。 ミンウの攻撃は、ビーナスゴスペルに埋め込まれたスピードマテリアの影響で通常よりも数倍は早い。 しかしミンウは魔道士だ、元々武器攻撃は得意でない。マティウスは涼しい顔で攻撃を避け続けている。 ―――狙い通りだ。 (皇帝にとっては直ぐにでも私を殺せる状況…完全に油断している。まさか詠唱には気付かないだろう) そう、ミンウは飛び込んでいった時から数十秒間、攻撃の手を緩めることなく究極呪文の詠唱を続けていた。 通常、詠唱というのは動きを止めた状態で集中し行うものだ。攻撃や防御をすればそこで集中が途切れ、魔法は中断される。 しかしミンウは確かに究極魔法の詠唱を続けていた。白魔法を極めた彼だからこそ成せた技かそれとも、皇帝への憎しみ故か。 ―――完成した。あの時、封印を解いた時と同じように、全ての魔力を使ってでも――― ミンウは瞬時に間合いを取り、ビーナスゴスペルを投げ捨て…魔力を一気に放出する―――! 「―――アルテ「フレアー!!」 アルテマの呪文は、完成することはなかった。 ミンウの身体は皇帝の炎呪文を真正面から受け前のめりに倒れた。真っ白なローブは焼け焦げて黒くくすんでいる。 (………何故だ…?何故?倒せるはずだった、のに…) 朦朧とする意識の中、また皇帝の炎呪文を唱える声が聞こえてきた。今度は至近距離で。 (…駄目だ、立てない。ああ、私は、また…) その思考を最後に、ミンウの身体は一切の機能を停止した。 「貴様の単純な思考が、私に読まれないとでも思ったのか?」 マティウスはミンウの死体を見下ろし、苦笑いを浮かべた。 マティウスは、詠唱を続けているミンウに気が付いていた。皮肉なことに。 ミンウは、マティウスの詠唱には気がつかなかった。それだけの違いだった。 「折角蘇った命、貴様のようには散らせたくないものだな。…白魔道士ミンウよ」 マティウスはそれだけ言い残し、バレットの死体から、かつて自分を死に至らしめた剣を引き抜くと去っていった。 【マティウス 所持品:ブラッドソード  第一行動方針:落ち着ける場所を探し移動→見つけ次第そこで待機(非好戦的だが不都合のある相手は殺す)  最終行動方針:何故自分が蘇ったのかを知る】 【現在位置:レーベ南西の山脈地帯最南部→移動】 【バレット 死亡】 【ミンウ 死亡】 【残り 124名】

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。