544話

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*第544話:魔王と助手 ザンデは決断した。 どうやらアリーナの捜索から手を引かざるを得ない、と。 カナーンの町。 夢で見たなどという曖昧な情報を手がかりにここまでやってきたのは、 マティウスの協力を得るため彼の目的に同行する必要を認めたためであり、 またザンデ自身メモに記されていた魔力が無いというアリーナの首輪に興味を抱いたからだ。 しかし。 目的地カナーンはこの世界のほかの場所と同じように無活力に静まり返っていて、 それでいて起こった火災の赤い光が暗闇を彩っていた。 話に聞くに、アリーナとやらは相当なトラブルメーカー、 本当に彼女がここにいたのならば何がことが起きていても何もおかしくは無い。 故にこそ、一行はカナーンの町へ躍り入ると時間を惜しんで彼女の捜索を開始した。 結果だけを言うと、 少なくはない時間が費やされたというのにアリーナはまだ発見されていない。 すでに町を離れている可能性もある、という対象側の理由もあるだろうし 一行の中に潜む亀裂のために一塊で行動せざるを得なかったというこちら側の理由もある。 だから、ザンデは決断した。 今、彼らは街の中央部――ピエールとザックスが交戦し、ファリスが命を落としたあたり――にいる。 ザンデは『ある予測』に従ってこの場所で一行を停止させていた。 この場所は大きな四角形をしているカナーンのほぼ中心に位置し、 町のどこに移動する必要が生じようと短時間での行動を可能にするだろう。 旅の扉。 ザンデが実験の目標としている、魔女が配置する魔法のゲート。 その旅の扉が、もうすぐ訪れる朝の放送と共に配置される。 前回の傾向からいって、ここカナーンにも一つはそれが配置されるはずである。 ザンデの目的は青い光の転送円、旅の扉への術式介入であり、 最終的に想定している結果を導くためまずはいくつか試さなければならないことがある。 移動中にもいくらかの脳内での予測を重ねてはいるがやはり不足している。 触れることができる時間も限られているのだ、 だからこそ、事前に術の展開や場の構成、実験行程について可能な限り練りこむ必要性を認識していた。 捜索の方がいつ終了するか見込みは立たない(発見さえできない可能性も相当にある)以上、 ザンデはもはやそれに付き合うことはできなかった。 考えねばならない問題が一つある。 ピサロとケフカの間の亀裂のことだ。 何が彼ら二人を反目させている原因かは明確に分析できないが(ライブラでも)、 性格面など個人の資質の問題とすれば容易に解決できるものではないだろう。 直情径行の傾向があるピサロと、狡猾しかしどこか非論理非合理的で読めないケフカ。 抑止力――ザンデとマティウスの存在があるからこそ今は衝突していないが、 それが無くなれば不測の事態がいくらでもありえることは誰でもわかる。 そういえば、捜索途中においてカナーンで誰とも会わなかったわけではない。 捜索中断の直前にまだ若い男に遭遇し、これを捕らえている。 「アリーナという女を知らないか?」という問いに不自然な反応を見せていた。 ただ怯えているとも、何かを隠しているともとれる様子ではあったが、 最終的に何らかの情報源になる前にピサロによって気絶させられ担がれている。 ピサロのこの行動の原因はザンデも察知している。――ケフカが何かの素振りを見せたから、だ。 反目の一表出。あるいはピサロの取り繕い、ともいえるか。 ともかく、この程度のことはザンデの決断にはなんら影響を与えない。 「時間をとらせた、まだ待っていることに感謝しよう。  マティウス、残念だが私には別の準備がある。  荷物以外、さっきの男を持っていっても構わないが、しばらくは別行動だ。  頼みを聞いてくれるなら奴の首輪を取ってきて欲しいが、無理強いはせん。  ケフカ、貴様は私と一緒にここに残れ。  どうも貴様は勝手が多い、ここは従ってもらうぞ。  ……そしてピサロ、貴様は――マティウスに同行したければ行ってもいい」 数分ほどの熟考の後、ザンデはこのように指示を出していた。 腕組みをして立っていたマティウスはピサロから受け取った男を担いで無言のまま歩き出し、 別に積極的にやる気もなかっただろうにケフカは軽い調子で不平を言葉に乗せ、 選択をゆだねられたピサロは不動のままザンデを睨みつけていた。 すべては、ザンデの予想の範疇――いや、予定通り。 さて、ゲストの二人にはおとなしく時を待ってもらうとして私は――、 と、必要な思考に移る前にザンデはもう一つやっておくべきことに気付く。 いかに術者がザンデとはいえ、永続的に魔法を持続させることなど出来ない。 タイムリミットは必ず、来る。 ポケットの中の、彼女。 余計なタイミングで場を乱されるよりは早いうちに処理しておいた方が良いだろう。 『ミニマム』。小さな彼女をつまみ出しながら低音で小さく詠唱する。 ネコミミとシッポをつけたエルフの少女が元の大きさを取り戻し、 ピサロがわずかに色めき立つのが目端で見て取れた。 おろおろとあたりを見回す彼女、ロザリーを脇に措いてザンデはピサロに話しかける。 「心配か? ファファ、私の誠意のとして一つ保険をかけておくぞ。  だから、黙って大人しくしておけ」 言いながら、ニヤニヤと興味深げにしている道化も眼で圧する。 それから、『リフレク』……薄い光のヴェールがロザリーを覆いそれからまもなく消える。 これで、魔法を用いて彼女をどうこうすることは困難になる。 「さてエルフの少女よ、思えばその荷物を改めていない。  私は魔力を秘めたものを求めていてな、そういうものがあるなら渡してもらいたい」 「え、あ……」 どうしていいか分からないとばかりにうろたえる少女であったが、 少なくとも現在争うような状況にないことを察し、 さらに不動で見守ってくれているピサロに励まされるようにして自分を取り戻す。 「はい。わたしが持っているのは……」 悪くはない。 ザンデは、少女の荷物から出てきた宝石類に目を細めていた。 期待はしていなかったがこれらは十全に触媒として使えるだろう。 「お役に立てるでしょうか?  この……本の結界を作るときには十分に役に立ちましたけれど……」 「魔術書……そういうものも支給されているのか」 続けて差し出される『世界結界全集』と題された本を数ページめくる。 それからザンデは鋭い光を含んだ目でロザリーをじっと見た。 何故そんな目で見られるのか分からず不安がる少女に、ザンデは問う。 「……作った、と? お前が結界を?」 「あ、はい。ええと……治癒の結界を二回くらい……ですけれど。それが、何か……?」 「ほう」 確認するようにエルフの少女と手元の本を交互に見る。 悪くはない。ザンデは少女に対し、そう評価を下した。 テキストと、触媒たりうる道具が偶然あったからといって結界は容易く作れるものか。 いや、そうではない。 とするならば、それはこの少女に「才能がある」ことを示している。 人であろうと、我らのような存在であろうと、エルフであろうと魔法の才能はあり得るのだ、 別に目の前のエルフの少女に魔法の才能があったとてなんら驚くことではない。 彼女の言うことが嘘で無いとして(嘘を言う合理的な理由も考えにくい) 結果から分析される答えは一つ。 「才能がある」のだ。 「結界術師――エンチャントレスといったところか? 面白い分類だ」 「?」 ザンデの言いたい事を察することが出来ずなお不安げにしているロザリーを見下ろし、 もう一度しげしげと眺める。 駆け出しどころかまだ駆け出してもいないレベルではあるが、 実際の実験に入るまで均衡の問題でゲスト二人を動かせない以上 これくらいでも助手としては有用。 そのように、ザンデは人質としてしか価値の無かった少女に新しい価値を見出していた。 「ふむ……ではロザリーよ。  細かい事情を知る必要はないが、単純に言えば手が足りん。  拒絶の選択肢は無いが、そうだなピサロのために――とでも思えばいい。  助手として少し働いてもらおう」 一方的に決定されて言われたことを飲み込めていないロザリーを飛び越えて、 続けて相変わらず鋭い視線でやり取りを監視しているピサロへと目を向ける。 言いたい事もあるだろうが動揺することもなく、不動で睨み続けるままのピサロ。 そのピサロとザンデを数回交互に見て、小さな声が尋ねる。 「助手、ですか?」 「そうだ。拒絶の選択肢は無い」 自信、いや自分のなさの現われか、ロザリーはうつむいてザンデから視線を背け 勝手に了承していいものかといわんばかりにちらちらとピサロを気にする。 「自信が無いか?  自分にはできない、と? だが心配するな。  私が認めたのだ、だから問題はない。  それとも、言われた事を理解することが出来ぬほど愚鈍だとでも?」 「い、いえ……」 ザンデはこの返答に顎に手を添えて満足げに頷き、 その後ゆっくりと顔を上げて大きな声で告げる。 「ピサロよ、そういうことだ。  付け加えれば、私は有用な存在には優しい。  だから……黙って見ていろ」 「ボクちんには仕事は無いんですかあ?  退屈しすぎるとボクちんは死んじゃうんデスヨ」 「ならば待つことが仕事だと思え、ケフカ。  始まれば忙しくなるのだ、今のうちにゆっくりしておくがいい」 「さて……」 ピサロとケフカへの注意を完全に外さずに、ザンデは手元の本へと再び目を落とす。 助手として、徴用されたばかりのロザリーはその傍でまず何をするのかをドキドキしながら待っていた。 しかしザンデは何も言わずページをめくっていく。 「あのぅ」 「読み終わるまで黙って待っていろ。それが最初の仕事だ」 「……はい」 【ピサロ(MP1/3程度) 所持品:天の村雲 スプラッシャー 黒のローブ  第一行動方針:ロザリーの扱いに目を配る  第二行動方針:ザンデ・ケフカを強く警戒】 【ケフカ(MP2/5程度)  所持品:ソウルオブサマサ 魔晄銃 ブリッツボール 魔法の法衣  アリーナ2の首輪  第一行動方針:「こいつらをできるだけ上手く利用する方法」を考える  第二行動方針:「こいつらをできるだけ楽に殺す方法」を考える  最終行動方針:ゲーム、参加者、主催者、全ての破壊】 【ザンデ(HP 4/5程度)  所持品:シーカーソード、ウィークメーカー、ルビスの剣、  再研究メモ、研究メモ2(盗聴注意+アリーナ2の首輪について) 、世界結界全集、  アルガスの荷物(ももんじゃのしっぽ 聖者の灰 カヌー(縮小中)、皆殺しの剣、妖精の羽ペン)  第一行動方針:実験準備  第二行動方針:ケフカとピサロの衝突を抑える  基本行動方針:ウネや他の協力者を探し、ゲームを脱出する】 【ロザリー(リフレク) 所持品:守りのルビー、力のルビー、破壊の鏡、クラン・スピネル、E猫耳&しっぽアクセ  第一行動方針:助手としてザンデを手伝う  最終行動方針:ゲームからの脱出】 【現在位置:カナーンの町、サリーナ宅裏】 【マティウス(MP 1/3程度)  所持品:E:男性用スーツ(タークスの制服) ソードブレイカー 鋼の剣 ビームウィップ  第一行動方針:アリーナ(2)を見つけ出し、ゴゴの仇を討つ  基本行動方針:アルティミシアを止める  最終行動方針:何故自分が蘇ったのかをアルティミシアに尋ねる  備考:非好戦的だが都合の悪い相手は殺す】 【アルガス(気絶中)(マティウスに担がれています)  所持品:インパスの指輪 E.タークスの制服 草薙の剣 高級腕時計  第一行動方針:様子を見る  最終行動方針:脱出・勝利を問わずとにかく生き残る】 【現在地:カナーンの町】

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