418話

「418話」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

418話」(2008/01/31 (木) 23:55:26) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*第418話:立場逆転 サックスとカインの追いかけっこは続く。 森であった風景が砂漠へと変化したころ。状況はカインに有利になってきた。 それは、サックスの体力が残りわずかであったから、そして足場が砂であるため、スピードが出しにくいからだ。 このままではカインがサックスに追いつくのは時間の問題。 サックスはラケットを振ってみるが、負傷した体で走りながら撃っても当たるはずもなく、カインの周りの砂を巻き上げるにとどまった。 何かないかと考え、袋を見ると、何やらラッパのような機械がある。拡声器。 もし近くに人がいれば、助かるかもしれない。 「助けて下さい!!!」 彼は渾身の力を込め、叫んだ。 ルカ達は、テリーが見えたということで、北西方向に向かっていた。 ハッサンはどうせ自力では動けないため、タカの目を使って周りの偵察を続けていた。 ちょうど西の方向で、雷が落ちた。あれは雷鳴の剣による落雷ではないだろうか。 ますますテリーのいる可能性は高まった。そのとき、 「ねえ、何か聞こえなかった?」 「悪い、聞こえなかった。どうもこの技を使っていると音を聞き取りづらくなるんだ」 「ヒャッヒャッヒャ、確かに聞こえましたねぇ。誰かがオタスケーって言ってましたよ」 「どっちの方向だ?」 「東の方でしたねぇ。行くんですか? …北西に行くって自分で言っておいて、反対に向かうなんて、何て自分勝手なんだ!」 ケフカの愚痴は基本的に無視することにしている。まともに反応していると、身が持たないからだ。 東の方向へと視点を移動させた。剣士風の男が、騎士風の男に追われている。それもかなり近くだ。 何故か速さはあるらしいのだが、よろよろとしている。危なっかしい走り方だ。 もう一度だけ西を見る。距離があるので、何が起こっているのかは分からないが、静かだ。 もう限界だった。加速装置のおかげで速さだけはまだ維持できているが、足が保たない。 イクサス、サラマンダーと戦闘の連続だったのだ。おまけに毒をくらっている。このまま走り続けるのが無理なのは明らか。 ついに足がもつれて転んでしまった。 「そろそろ年貢の納めどきだな」 「くっ…」 実はまだ方法はあるのだ。チョコボのいかりを使えば、相手を倒して切り抜けることが出来る。 ただ、チョコボの怒りは湯気を発するチョコボの像だ。目立ちすぎる。引きつけ、油断させないとかわされてしまうだろう。 サックスはカインに気付かれないよう、そっとザックに手を滑り込ませる。 カインが槍を振り上げた。相手はすでに勝利の笑みを浮かべている。この一瞬、完全に油断している! (今だ!) パン! パン! 「「なっ!?」」 どこからともなく銃声が響く。 そしてその直後、カインは槍を持っていた手に衝撃を感じ、思わず槍を手放してしまった。 サックスは想定外の展開に、アイテムを使わずに終わってしまった。 (当たっちゃった…) (おいおい、気を付けてくれよ…) 銃を撃ったのはルカ。彼は牽制のつもりで、カインから少し離れた位置を狙って撃ったのだが、 初めて扱うために狙いが大きく逸れて、カインの持っていた槍の先に弾が当たってしまったのだ。 だが、これはこれで好都合。 「二人ともそこを動かないで。変な行動を取ったら、当てるよ」 ルカはウィンチェスターを構える。 もちろん実は当たる可能性は無きに等しいが、カインもサックスも動けなくなってしまった。 マズすぎる。一人でも逃がせばカズスでの計画は不成功に終わるかもしれないというのに、目撃者が四人に増えた。 しかも、道化師風の男は実力が未知数、他はかなりの使い手のようだ。 どうする? このまま戦いを挑むか? それとも逃げるか? どちらにしても大幅に不利になる。 「待て。俺がゲームに乗っていると考えているなら、それは誤解だ。  確かに俺はこの男を殺そうとした。だが、それはこいつが殺人者だからだ」  ゼルという男から聞いた。仲間のフリをして、隙を見て怪我をさせたり、子供を一人刺し殺したそうだな」 剣士がサックスだという証拠はどこにもなかったし、フルートと組んでいる程度にしか聞いていないが、賭けには勝ったようだ。 剣士の目が見開かれる。間違いない。こいつがサックスだろう。 「仲間を装う殺人者はタチが悪い。ヘタに関係を持つとここぞというときに裏切られる。  そうして殺されたやつを俺は何人か知っている。再びそんなことが起こらないよう、すぐ殺しておく必要があったわけだ」 嘘はついていない。確かに裏切られた人間は何人も知っている。自分が裏切ったのだが。 「違う!」 サックスは否定する。かなり焦っているようだ。 「もう一人仲間がいるはずだ。フルートはどこにいる?」 「誤解だ! 僕もフルートさんもゲームに乗ってはいない!」 相手は必死に否定している。思った以上にうまくいった。 自分は窮地から脱せたうえに、他の3人は少なくとも自分を疑うことはあるまい。 逆に、話の転び方次第では、相手を殺すことすら正当化できる。 相手に話をさせる隙を与えぬよう、まくし立てる。 「強情な男だな。否定するのは構わないが、俺を含めて少なくとも八人はこの事実を知っている。  いい加減認めたらどうだ?」 他の三人はどちらを信じればいいのかが分からないようだ。 ゼルから伝え聞いたことをそのまま、相手に伝える。 決定打となったようだ。よほどショックが大きかったのか。 この様子だと、フルートに利用されていたのだろう。気の毒だが、自分には関係のないことだ。 「さあ、もういいだろう。ラクにしてやる」 再び槍を取ろうとした。しかし。 「ちょっと待ってよ。サックスさんの話も聞かずに片づけるのはちょっと早すぎるよ。誤解かもしれないでしょ」 子供が制止する。お人好しどもだ。まあ、サックスの今の表情は、殺人者のそれとはかけ離れすぎているかもしれない。 「フッ、甘いな少年。ここは戦場だ。その甘さが命取りになるぞ」 「でも、サックスさんも嘘を付いているようには見えない。話を聞いてもいいと思う」 ここで有無を言わさず殺しても、こっちが怪しまれるだけだ。適当に喋らせておいても大丈夫だろう。 それに、こいつらはあとあと利用できそうだ。 サックスが話し始める。その話では、フルートがかなり美化されているように感じたが、それはまあいい。 フルートは特殊な性格の人物で、決してマーダーではないということ。 サックスはフルートを守るために仕方なく子供を殺したのだということ。 ゼル達にはすべてのことが誤解されて伝わっていること。 そしてフルートは、自分を助けるために犠牲になったということ。 以上四つが聞き取れた。そこまで誤解が大きくなるかと疑問にも思うが、この状況だ。あり得なくはない。 どちらにしろ、利用させてもらうに越したことはあるまい。 「どうにも信じにくい話だが、まあいい。そういうことにしておいてやろう。  だが、俺はお前を信用したわけではないのでな。武器になるようなものは預からせてもらう」 サックスは支給品を差し出す。当然、この状況では断れまい。 こうして、まんまと相手の持ち物を奪うことが出来た。 惜しむらくは、独り占めできなかったことだが、それは仕方のないことだろう。 サックスは、ケフカが簡単に治療した。 だが、あまり魔力を消費しないようしているのもあって、完全には回復していない。 このまま自然に死ぬことはないだろう、という程度だ。 簡単に自己紹介を済ませ、カインが話しかける。 「日没時に村で仲間と待ち合わせをしていてな。どうだ、あなたたちも来ないか?」 ハッサンが答える。 「行きたいのはやまやまなんだが、先に会っておきたいやつがいるんだ。  テリーといって、俺のもとの仲間なんだが、ちょっとややこしくてよ。  もしかしたら敵になるかもしれないし、殺さないといけないかもしれない。  ルカとケフカと…サックスか、みんなを連れて先に村に行ってくれないか?」 テリーという名前を聞いたが、ルカは同名の人間だと思ったのだろう。別の疑問を投げかける。 「ねえ、ハッさん、その雲はまっすぐにしか飛べないよ。どうするつもり?」 「追い風を起こすんだ。これである程度は調整できるだろ」 まあ移動手段は何とかなるか。だが、別に不安要素はあった。 「…ねえハッさん、ここはカインさんとケフカさんに行ってもらおうよ。  ハッさんは怪我してるし、さっき起きたばかりでしょ。もしものことがあったら大変だよ。  カインさんは強そうだし、ケフカさんは色々出来るから、何かあってもうまく対処できると思う。  二人がいいって言ってくれたら、の話だけどさ」 カインがサックスを疑っている可能性があると考えたこと、サックスの怪我が治っていないことなども パーティー分けの要因にあるが、それは伏せておいた。 「日没までに戻れるなら、俺は構わないが」 「私もいいですよ」 カインが、そして珍しくケフカがまともに返事を返した。 相変わらず考えていることの真意は読みとれないが、彼なりにつき動かされるものでもあったのか。 さすがに彼らの好意は断り切れず、ハッサンは承諾した。 「悪いな。移動していなければ、テリーは今、西の山岳地帯の麓あたりにいると思う。  青い帽子をかぶった銀髪の男だ。雷を使う可能性がある。目がまだ赤かったら注意してくれ。  それから、アンタの仲間には俺から言っておくよ。名前は? 「フリオニール、エッジ、リュカ、スミスだ」 「分かった。その人達を見つけたら、伝えておくよ。じゃあ、よろしく頼む」 【サックス (負傷、軽度の毒状態 左肩負傷)  所持品:水鏡の盾、スノーマフラー  最終行動方針:ゲームを破壊する。アルティミシアを倒す】 【ルカ(浮) 所持品:ウインチェスター+マテリア(みやぶる)(あやつる) 、風のローブ、シルバートレイ  行動方針:ギードたちと合流する】 【ハッサン(HP 1/5程度)  所持品:E爆発の指輪(呪)、ねこの手ラケット、チョコボの怒り、拡声器  行動方針:オリジナルアリーナと自分やルカの仲間を探す、特にシャナクの巻物で呪いを解きたい  最終行動方針:仲間を募り、脱出 】  【共通第一行動方針:カズスで休む】 【ケフカ(浮、MP消費) 所持品:ソウルオブサマサ、魔晄銃、ブリッツボール、裁きの杖、魔法の法衣  最終行動方針:ゲーム、参加者、主催者、全ての破壊】 【カイン(HP5/6程度)  所持品:ランスオブカイン、ミスリルの小手、えふえふ(FF5)、  この世界(FF3)の歴史書数冊、加速装置 草薙の剣、ドラゴンオーブ  最終行動方針:殺人者となり、ゲームに勝つ】 【共通第一行動方針:西(テリー、アリーナ2,ラムザの戦場跡)へ行き、テリーと接触】 【現在地:カズスの村から西の砂漠】

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。