42話

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*第42話:血の臭い (うう…何で僕が、こんなゲームに…?) 森の中を青ざめた表情で震えながら歩く兵士が一人。ピピンは、この殺人ゲームにびくびくと怯えていた。 自分は戦士とはいってもあくまでも兵士である。単独での実戦経験はないに等しかった。 訓練のときは常に他の兵士と一緒。戦いの旅はリュカ様達とご一緒。 そんな自分が、戦い慣れしていると思われる戦士達と普通に戦って勝てるはずもなく。 おまけに支給品はとてつもなく大きな剣と使ったことのない弓で、どちらも上手く扱うことができなかった。 「はぁ…」 溜息のひとつも出る。選ばれし選手達って…どんな基準なのさ。何で僕が? それにあんな可愛い女性を、あんな見せしめみたいに殺すなんて!ゆるせな…い―――? 「! なっ!」 ピピンは目を見開いた。ふいに、視界の端に映ったその存在に気が付いたのだ。 少し先の茂みに女性が倒れている、そして…これはまさか、血の臭い? 「だ、大丈夫ですか!?」 だっ、と駆け寄り…目の前で思わず立ち止まる。 女性の怖いくらいに真っ白な顔は、間違いなく死体のそれだった。既に絶命していたのだ。 (そんな――…酷い、こんな) ピピンは、怒りと恐怖に震えながらもゆっくりと女性に近づく。 最初の部屋で見たのと同じ真っ赤な血が、周囲の緑を赤く染めていた。 そっと、死体を抱き上げる。…とても美しい顔立ちの女性だった。埋葬してあげなくては… (……あれ?) うつむいているピピンはふと気が付いた。…なんだ、これ? キラキラと光る何かが地面に…氷だ。氷が辺りに散らばっている。 気が付かなかったが、良く見ると女性の足元にも氷が着いている。まさか、冷気系の呪文で――― 「―――ブリザガ!」 突如、男の声と共に魔力の波動が降ってきた。 すぐ後にピピンは、氷が砕けるような音を聞いた。足元が凍っている! (上!?何で、何で…まさか、死体を囮にして…!?) 足が動かない、両手は使えるが武器を持っていない。不慣れな武器はザックの中だ。 (…くそっ、動けない!) ピピンは見た。頭上の木の枝が大きく揺れて…一瞬後、自分の背後に着地した赤いマントの少年を。 (ちくしょう―――リュカ様―――レックス様―――!) それが、最後だった。 ギルダーは、兵士が絶命したのを確認すると、もはや動くことのないその身体からライトブリンガーを引き抜く。 兵士の死体は前に倒れ、先程殺めたばかりの女性の死体に重なった。心臓の辺りから広がっていく血がまた緑を赤く染める。 ギルダーは目を細めてそれを見つめる。ふと、いつの間にか出てきていた嫌な汗に気づき袖で拭った。 (くそ、気分のいいものではないな) ただ実感が湧いてくる。刺した…罪のない人間をこの手で殺めた、と。 「……大丈夫だ…約束は守る」 空を見上げ、自分に言い聞かせるようにつぶやく。 気分が悪いなんて今更だ…。それを覚悟の上で、帰ると決めたんじゃないか。 もう殺すことでしか戻れないのだ。 ギルダーはピピンのザックを開けた。剣と弓。剣のほうは自分にはとても使えなさそうである。 弓もあまり得意ではないが、まあ邪魔にはならないだろう。 そう思いミスリルボウだけを抜き取ると、ザックは先程と同じように茂みの中に投げ捨てた。 (…もう、移動するか。ここは血の臭いが酷い) 【ギルダー 所持品:ライトブリンガー・雷の指輪・手榴弾×4・ミスリルボウ  第一行動方針:獲物を探して移動 最終行動方針:生き残りサラの元へ帰る】 【現在位置:アリアハン北の橋より東の森→移動】 【ガーネット 死亡】 【ピピン 死亡】 【残り 128名】

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