23話

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*第23話:エンジニアの集中力 デッシュは大陸に辿り着いてからずっと、その支給品に夢中になっていた。 自分の世界では見たことの無い形状の武器と、水晶のような玉。 見たことも聞いた事も無いそれの仕組みを完全に理解したいと思うのは、自分がエンジニアであるが故か。 既に最低限の使い方は付属の説明書でわかってはいるのだが… ちなみに説明書の方は主催者のご丁寧な配慮か、上のほうに黒インクで"安易版"と書かれていたが…デッシュには余計なお世話であった。 武器のほうは拳銃、名前はウインチェスターという名の…いわゆる遠距離戦専用武器らしい。 水晶のような玉のほうはマテリアといい、凝縮した魔力を宿しているという。 そして、マテリアは専用の武器にはめないと扱うことが出来ない、と。 (といっても俺は元々、基礎魔法も使えないからなあ…術者に魔力が無くても使えるのか?) (…こっちは、ここに…攻撃の元となる弾をセットしていくのか。それでこの引き金を引くとここのグリップが動いて…なるほど) (何でマテリアは単独では扱えないんだ?媒体が必要ってことは武器を通じてしか魔力を通せないってことか…) 随分長い間それらとにらめっこをしていたデッシュだが、考えに一区切りがついたのか息をつき、顔を上げた。 それと同時、現実に引き戻される。…こんなことしてる場合じゃないって。 「やばいな…すごい無防備だ…はは」 空笑い。このゲーム、戦闘力の無い自分はいつ死んでもおかしくないってのに…何でこんなに落ち着いてるんだか。 「まあ、俺は俺なりのやり方で精一杯やってくってことで」 誰に言うでもなく呟き、参加者の証であるその首輪に触れてみる。金属の冷たさが指先に伝わってきた。 (首輪の仕組みにも個人的に興味があるしな。やってみる価値はあるだろ) 【デッシュ 所持品:ウインチェスター+マテリア(みやぶる)(あやつる)  第一行動方針:首輪の研究を試みる】 【現在位置:アリアハン城下町、勇者の自宅二階西側の部屋】

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