160話

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*第160話:嵐の前の レーベの村で一番背の高い民家、その上に降り立つ影がひとつ。 ふわり、と音をたてず華麗に着地する様だけならば、いつもとなんら変わりない。 しかし、竜のよう着地した彼はそのままふらつき、口を抑え激しくせきこんだ。 月明かりに照らされる、病人のように青い頬を伝わるのは冷たい汗。 普段は高い誇りと強い精神を持つ彼も、今だけは、まるで傷ついた竜のように。 「げほっ、げほ…く、くそっ…」 ――死体や、殺人現場を見たこと事態にはもちろん抵抗などない。 ただ、あまりにも異常なアレは。 アレが引き起こした、あまりにも異常な出来事は。 どうにも、気分の悪さが収まらなかった。 (駄目だ、こんなことでは…) そう思う。しかし、おぞましい声は呪いでもかけられたかのように耳から離れずに、心に圧力をかけていく。 (これが…人間であることを捨てた、アレの力なのか?) 自分は人として人を裏切り、罪を犯す。 しかしアレは違う。すでに人ではないので、人としての罪を負わないのだ―― (…?) カインはふと立ち上がり、東の方向へと目を向けた。ふいに、風に乗って届いたのは声き覚えのある声。 「…エリア、レナさん、ちょ、ちょっと…待って…はあ、はあ…」 「…ギルバート。なんであなたが私より疲れてるの…」 「ふふ。もう少し体力をつけるべきかもしれないわね」 (ギルバート王子か…) 一見すると三人組の女性にも見えるが、カインはその内の一人を知っていた。 もっとも、彼はセシルと仲が良かっただけなので、カインと直接会話したことは数えるほどしかないが。 三人は屋根にカインがいることなど全く気付かずに、会話を交わしながら民家へと入っていった。 (……いいんだ。ここは人が集まる。チャンスはまだまだある…今は、) 静かな夜風に身を預けて、汗が乾くのを待とう。 ――ただ、逆に気がかりなのは今のこの静けさだ。 嵐が目前に迫っていなければいいのだが。 【カイン 所持品:ランスオブカイン   第一行動方針:気分を落ち着かせる 基本行動方針:殺人者となり、ゲームに勝つ】 【現在位置:レーベの村・レナたちのいる民家の屋根上】

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