447話

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*第447話:薄闇の村のディナータイム(-3) 真後ろの異変を華麗なジャンプで回避、テーブルの上へ着地する。 目の前には悲鳴を上げる眠ってた子と、目を丸くして固まっているビビ。 からんからんとお鍋のふたが床を転がり、からからからんと倒れる。 わたぼうはついさっきの自己紹介の笑顔のまま、くるりと辺りを見回してもう一度話しかける。 「あはは、ゴメンゴメン。ちょっと失敗しちゃったみたい。  えーーっと……改めておはよう! 僕はわたぼう、よろしくね。君は?」 「あ……ターニアです」 「よろしく、ターニア! それで、僕の作ったスープ……はどうだった?」 「え、えと、とっても個性的な味だったけど、ちょっと…味が強すぎるかな?  あっ、そんなことより! お鍋、片付けないと大変!」 言い終わるより早くターニアは無惨な状態のお鍋の後片付けに取り掛かった。 とりあえずビビに頼んでかまどの火を消してもらい、そこらにあった布を雑巾代わりにこぼれた液体を拭き取っていく。 なんとか作業に見切りをつけてからテーブルの上を見たターニアはただ呆然とするしかなかった。 真っ黒くなるまできっちりと火を通した炭、じゃなくてお肉。(さらに元はほしにくだったことが後で判明) あるものを適当にボウルに放り込んだサラダ、のようなもの。複数の色で構成されたドレッシングのような何かが危機感をあおる。 後ろで説明を始めたわたぼうは自信満々。 「えへん。スープはだめになっちゃったけどあとはすごい出来だよ!」 「そ、そう……材料はここにあったの?」 「うん。そこらにあったお肉とか、油とか、草とか。テリーもやってたけど料理って楽しいね。  スープだって我ながらどんな魔法使いにも負けないかいしんの作り方だったんだけどなぁ」 「そ、そうなんだ……」 すでに食品としてカウントしたくないお肉は残念ながらあきらめる。 甘くて、刺激的で、妙に油っぽいドレッシングとパンやチーズやお漬物や見たことない葉っぱが入ったサラダは 大丈夫そうなところを見つけて三人で少しずつ食べることにした。 それから、もう一度スープを作ろうと三人はばたばたと準備に移る。 改めて火を点したかまどの上でお鍋の中の水が少しずつ熱されている。 日常を思い出させるどこかのどかな風景を、無慈悲に黒く塗りつぶすよう放送が流れた。 「……ワルぼう」 「嘘だよ。また、嘘だ。フライヤに、ベアトリクス? 嘘だ!」 「……ランド? バーバラさん……?」 落ち着いた声のわたぼう、叫ぶビビ、うわずって呟くターニア。三者三様に感情を声にする。 それからやってくるのは沈黙。明るい要素のない嫌な空気。 いつの間にか煮立っているお湯だけが独特の音を立てている。 ワルぼうは森にいた。自分が埋めてあげた。 だから、結果もわかっていたし覚悟だって。 けれど目の前の二人は違う。ひどく悲しいことをいきなり告げられてしまったのだ。 閃くようにアレフの姿が見えた。 「ダメだよ、いくら悲しいからって死んだりしちゃ!」 「「は?」」 わたぼうの、突然の極端な発言の真意を量りかねる二人。 「悲しいのは分かるけど、それで自分まで死んじゃったら悲しいだけだよ。だから…」 「だ、大丈夫よ、わたぼう。私もビビ君も死んだりしないから」 「そ、そうだよ。そんなこと、しないよ」 「本当だよ? もうあんな悲しいことはいやだから……一緒に行こう?」 なぜだか関係が入れ替わっている気がするけれど、重い空気は少しずつ和らいでいtった。 ただ、スープが出来上がるのにはまだもうちょっとかかりそうだったけれど。 「あいつがつけていた耳飾りに、指輪。それからナイフ。  わがままだけどよ、強力な武器でもないし…こいつらは形見に俺が貰っていいか?」 「はい、それでいいと思いますよ」 「ありがとよ。ザックは開けちまってくれ」 「では。……これは、きっと魔法使い用の杖ですね。こっちは強力な力を感じる盾、と……草?」 デールが持っていたアイテムを検分しながら闇に包まれた村をソロとヘンリーは歩く。 「あとは…懐に抱えていたこいつか、なんだろう? こう持って、引き金に…こうか?  あいつが使っていた武器になんか似てる、かな。多分武器だろ」 「なんでしょうね。…そうだ、バッツさんの持っていた剣にも似た引き金があった気がします」 「なら後で聞いてみるかなぁ。とにかく何にも分からないんじゃどうしようもない」 「ですね。………向こうはどうなっているでしょうか」 「何にしろすぐに解決するようなもんじゃねぇよ。時間が必要だ」 立ち止まった二人の視線の先、その方向にはすでに闇に沈みつつおぼろげに建物の輪郭が浮かんでいた。 遠目には何も変わりなく見える。 だが、リュック、バッツ、そしてレナはどうしている、どうなっているだろう。 放送では、大丈夫だったろうか。 しばし足を止めて夜風に吹かれる。 「バッツに任せるっつったんだ、行こう。ビビやターニアの方も心配だ」 「…そうですね。平穏に済むなら、割って入れるような間柄じゃないですし」 「しかし、ショックがでかすぎて二人とも放送を全部覚えてないってーのは…あー、カッコ悪いな」 「仕方ない、は言い訳ですね。とにかく僕らがしっかりしないといけないのに」 「……そうだな」 それきり会話は途絶え、ただ足音だけを鳴らして宿屋へと向かう。 外からは黒一色のその建物の入り口にたどり着いたところで急にヘンリーが口を開いた。 「なあソロ。実はさ、デールから貰ったものがもう一つある」 「? なんです?」 「デールを看取った時だ、今までもあった力のほかにもう一つなんか力が俺の中に入ってきたんだよ。  本当のところは、これもG.Fって奴だと思うんだ。似てるっつーか同じ感じだからな。  でもよ、俺にはなんだかデールの奴の魂のかけらっていうのかな、なんかなあ。  なんか、デールが俺の中から見守ってくれてるって気がする」 「受け継いだ魂……ですか」 「はは、ロマンチックが過ぎたか? あー、あんまり他人には言うなよ。恥ずかしいからな」 「27人かぁ……冗談きついよ」 魔法屋の入り口の段差にぺたりと座り込んでリュックはすっかり夜に移り変わって閉まった空を見上げる。 ユウナも、ティーダも、アリーナも、テリーも、告げられた中には名前はなかった。 そのことだけを抜き出せば確かに安心もしたし嬉しいことなのだが、 全体で見れば楽しくなることなんか何もないとても酷い現実が進行している。 (エリアとバッツは助けられたけど…) 思い返してみれば一体自分にどれほどのことが出来ている? (前の世界の森で会った人たちはあたしたちにはもうどうにも出来なかったしー…  アレフだって…目の前で。レナも……大丈夫かなー……) 闇に慣れてきた目で隣の防具屋を見る。今のところ異変はなさそうだ。 まだレナは起きていないのかもしれない。 (ん? そいや、ファリスって……あー、誰だったっけー? 絶対聞き覚えあるのにぃ) ただ、彼女を見つめその目覚めを待ち続けていた。 唐突に部屋が、世界が揺れた。 それから、逃れることの出来ない三度目の悲しい報せが告げられる。 ローグが呼ばれることは分かっていた。 けれど、バッツを打ちのめしたのはその後の名前。 『ファリス』 一瞬頭の中が白くなる。 その白い中に記憶の中の彼女の姿が浮かび、そして消える。 勇敢で、優しい、レナの姉――…レナ? 慌てて眠っているはずのレナを見る。 同時に、彼女の唇が今しがた呼ばれた姉の名を呟くのを聞いた。 そしてバッツは、そこに起こった望まざる事態を理解した。 全てがだるい。重い。暗い。 世界を揺るがせた力が彼女を半分だけまどろみから引き上げた。 今醒めた悪夢の内容は悪夢だということ以外はすぐに思い出せない。 遠くから何かが聞こえる気がする。 ―――「D…uba」…「Bi…ka」…「Gil…ar…」… ギル…ギルバート? ああ、そうだ。なんだか知っている人を夢で見てたかな。 ―――「…ja」…「Ikus…」…「Ri…a」…「Aguri…」… …リア……エリア? 何だか、寂しくて冷たい夢だった…私は何をやっていたかな。 ―――「Rou…」…「sid…」…「Fa…isu」… ファ…ス……ファリス? 姉さんもいたなぁ…それにしてもこの声はなんだったかな。 ―――『以上、二十七名だ。――現在、この地で生き残りし者は六十名……素晴らしい』 そうだ、魔女……魔女の声!? 覚醒した目に映ったのも暗闇だった。 「ファリス?」 驚きと戸惑いをのせて呟く。 それからそばにある気配に気付き、その主と目があった。 宿屋の入り口に座り込んでありあわせで作ったスープを添えたディナーを終え、キッチンへとやってきたソロ。 声を掛ける前に気配に感づいて振り返ったターニアと目があう。 テーブルではまだわたぼうとビビが食事中、ターニアは既にカップの片づけを始めていた。 「ごちそうさま。僕はリュックさんと交代してきます」 「あ、はい、気をつけてください。ところでバッツさん達の分はどうしましょう。持っていきます?」 「そうですね、後で…宿屋に来た時で大丈夫でしょう。というか、こっちからは入りにくいですよ。  そうだ、エリアさんはどうしています?」 「さっきビビ君が見に行ったときはまだ眠ってたって。  二人が食べ終わったらまた見に行ってもらおうと思います」 「ええ、ここはお願いしますね。ああ、周りはヘンリーさんが見張ってくれています。では」 耳元で注意を喚起する音が鳴り響き、ヘンリーは素早く後ろを振り向く。 ほんの少し遅れて手を上げながら宿屋からソロが出てくるのが目に入った。 「うん、いける。こいつがあれば侵入者も一発だ!」 「?どうしたんです?」 「いや、こいつな、人が近づくとどうも教えてくれるみたいなんだ。ってか今体験したんだが。  こいつなら警戒にもってこいだぜ」 「へぇ、凄いですね。人が近づけばすぐに分かるアイテムなんて」 「ああ、まさに死角なしって感じだ! デールに……感謝だな。  だから心配せずリュックのとこへ行っていいぜ。ここは任せろい!」 「はい、お願いします」 守りをヘンリーに預け、暗く微動だにしないように見える防具屋を右手に見ながら魔法屋へ。 ぽつんと座っているリュックへと声を掛ける。 「今のところ変わった感じはないみたいですね」 「あ、ソロ~。暇だったよぉ。うん、防具屋の方も、村のそとっかわも異常なーし!  ところで、何しに来たの?」 「ターニアさんたちがスープを作ったので宿屋で夕食でもどうぞ。ここは僕が代わりますから」 「へー、スープなんて作ったんだ、やるなぁ。でも大丈夫? ソロは疲れてんじゃない?」 「いえ、食事と一緒に少しは休みましたから。さあ、どうぞ」 「んじゃあ、お願いするね」 交代で今し方ソロが通ったルートをリュックが逆に行く。 真っ暗な広場を通り抜けて宿屋の前へ。突然に横から声がする。 「よう、リュック」 「ふえっ、……ヘンリー? 脅かさないでよ」 「わるいわるい。ちぃっとコイツの実験をやっててよ。そうだ」 右手で耳飾りを弾いて見せ、それから懐から取り出した何かをリュックに手渡す。 「ん、何? あ、これ銃?」 「わかるのか?」 「まーねー。って銃、知らないの? こーやって、ばーんっ!って攻撃する武器だよ」 「ああ、そういやデールの武器もそんなだったっけかな。ちょっと返せ……こうか?  これで向こうに攻撃が飛んでいくって算段か? んで、確か結構でかい音がするんだよな」 「そーそー。でも人に向けないでよ、ホント危ないんだから」 「お、すまん。しかし、使えそうだな、こいつ。ありがとよ、大体分かった」 それから少しだけ話をして、リュックは建物の中へ消えてゆく。 「ん、ごちそーさまー。おいしかったよー。カップはそこに置いとけばいいかな?」 「はい、あとは私がやりますから。あの、見張り…お気をつけて」 「うん、まっかせといて! あ、杖と草はテーブルに置いとくから、杖はビビ君に渡しといて。  魔法使い用のいい杖だって。盾は貰ってくね、なんかしっくりくるの」 「はい」 そう言ってテーブルの上の小さなともし火が照らすダイニングからリュックが出て行く。 もう放送から2時間が過ぎようとしていた。 先ほどビビが言うにはどうやらエリアさんも目を覚ましたらしい。 さっきかすかに笛の音が聞こえたような気がしたけれどエリアさんだろうか。 まだ数人分のスープが残っているふたの乗ったお鍋を脇にのけ、火の安全をチェック。 そうしてターニアはようやく後片付けを終えると、自分もエリアさんのところに向かった。 「ん、いない。どこ行ったのかな? 裏の方?」 入り口近辺にいないヘンリーを探して大雑把に周囲を見回すが、やっぱり見当たらない。 (んー…もしかして銃のこと、説明しない方が良かったのかなぁ…) ヘンリーが手にしていた銃について説明してあげたらどうやらすごーく気に入ったみたいだったっけ。 『今の自分に死角はない!』みたいなことを言ってたような。 そりゃ銃は強力便利だけど使うのは素人だし、暗いしでちょーっと期待過剰だと思うんだよね。 凄いピアスだとかも弟さんに貰ったって言ってたけど、ホントにあんなので大丈夫なのかなぁ? 不安が少しだけ頭をもたげる。 しかしまあ実際にピアスは凄いし、とそれは打ち消して、リュックはその場をあとに広場へ駆け出して行った。 「おまたせー。ソロ、無事にやってる?」 闇にいるはずの相手に向かい声を掛ければ期待にこたえて声が返ってくる。 「はい、大丈夫ですよ。何もありませんでしたし」 「それじゃ代わろっか。にしても静かだねぇ~。レナはまだ眠ってるのかな」 「そろそろ起きているくらいに時間が経ったとは思いますが……否定できませんね。  それに実際に外から見てるだけでは何もないような感じです。  ……本当に、どうなっているのか……変わった様子がないのは幸いなんですがね」 「ホントにね。……心配だなぁ」 不気味なほどの静寂に包まれた防具屋を二人して見る。 内側がどうなっているのか。建物は何も語ることなく立っている。 【ソロ(魔力微量 体力消耗)  所持品:さざなみの剣 天空の盾 水のリング  第一行動方針:村の見張り  基本行動方針:これ以上の殺人(PPK含む)を防ぐ+仲間を探す】 【リュック(パラディン)   所持品:バリアントナイフ マジカルスカート クリスタルの小手 刃の鎧 メタルキングの剣        ドレスフィア(パラディン)、チキンナイフ、薬草や毒消し草一式、ロトの盾  第一行動方針:ウルの村の魔法屋で待機  基本行動方針:テリーとリュックの仲間(ユウナ優先)を探す  最終行動方針:アルティミシアを倒す】 【現在位置:ウルの村 魔法屋・前】 【ヘンリー(手に軽症)  所持品:G.F.カーバンクル(召喚可能・コマンドアビリティ使用不可、HP3/4) G.F.パンデモニウム(召喚不能)  キラーボウ グレートソード アラームピアス(対人) デスペナルティ リフレクトリング ナイフ  第一行動方針:宿屋周囲の警戒  基本行動方針:ゲームを壊す。ゲームの乗る奴は倒す)】 【現在位置:宿屋の周り?】 【バッツ(左足負傷)  所持品:ライオンハート、銀のフォーク@FF9 うさぎのしっぽ      静寂の玉 アイスブランド ダーツの矢(いくつか)  第一行動方針:レナと会話   基本行動方針:消失】 【レナ 所持品:なし  第一行動方針:不明】 【現在地:ウルの村 防具屋内部】 【ビビ 所持品:毒蛾のナイフ、賢者の杖  第一行動方針:休息  基本行動方針:仲間を探す】 【わたぼう 所持品:星降る腕輪 アンブレラ  第一行動方針:休息  基本行動方針:テリーとリュックの仲間(ユウナ優先)を探す  最終行動方針:アルティミシアを倒す】 【ターニア 所持品:微笑みの杖 スパス ひそひ草   第一行動方針:休息 基本行動方針:イザを探す】 【エリア(体力消耗 怪我回復) 所持品:妖精の笛、占い後の花  第一行動方針:休息】 【現在位置:ウルの村 宿屋内部】

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