497話

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*第497話:Miβgestalt 最初の異変は音、いや振動する大気だった。 次の静寂が恐ろしく感じられるほどの激変。誰もがあまりに突然の事に全身を緊張させ、周囲に注意を配る。 独り、夜空を眺めていたサラマンダーだけがいち早く災厄を見届けていた。 ボロボロの羽根は巨大な身体をやっとのことで支えながら、滑るように目標へ誘う。 第二の異変はその動きがもたらす隠れざる気配であり、さらに地を伝う震動がそれに続く。 だが、捜索という任を帯びて村の各地へと散っていたものの多くはまだ常識外れの存在に想像を馳せるには至らない。 不安を隠さない表情でついさっき西の空低く見た凶兆の方角を眺めていたレナは地面から足へと知覚された震動の方角を正しく捉えてその影を見た。 わずか一度、熱望する跳躍で地に散りばめられた光の中心へと巨体は降り立った。 二度目の咆哮が天を指して放たれ、≪災厄来たれり≫と告げる。 呼応するように虚空から無数の雷条が到着歓迎の花火のような光と破裂音を伴いウルの村を穿つ。 部屋全体を揺るがされ、それでも目を覚まさぬビビを心配しながらエリアとターニアは手を取り合い不安げに視線を彷徨わせていた。 しかし突然の閃光と衝撃は二人の手を引き離し、部屋を照らしていたランタンを吹き飛ばしてしまう。 弾ける稲妻が立ち並ぶ建物をえぐり、温かみある光を災いの赤き種へと変えた。 だがそれを足らぬと見たか、巨獣はその口から燃え盛る炎を光ある村へと吹きかけていく。 うねり這い進む業炎は次々と触れる物を飲み込み、あたりを朱に染めていく。 村の北の森へと入り込んでいた二人、いや三人も先ほどの稲妻の光から起こりつつある事態に気付きつつあったが、時は既に遅い。 紅蓮の舌は建物を越えて森へまで到達し、同様に赤い身体をのたくらせる。 彼らはいまや炎の波の中――― 駆け戻った広場の南から変わり果て荒ぶる赤色に染め上げられた村を呆然と眺める。 先刻エクスカリバーを探した広場は今は暖かな灯ではなく赤々と炎に照らされている。 宿屋は落雷の直撃を受けたのか建物の形は崩れており、小さな火が点いてはいるもののいまだ炎に包まれてはいないことだけが幸いという有様であった。 エリア、ビビ、ターニア、その奥にいるはずの顔が脳裏に浮かぶがしかし、動けない、いや足が動かせない。 赤と黒に彩られて夜空へそびえる影、その頂点近くから狂気を孕んだ紅い半月がレナを見下ろしている。 幾多の怪物、数多の魔物と刃を交えてきた経験はあっても、今まさに肌に触れるこの威圧感・重圧感には正直足が竦む。 しっかりと剣を構える両手の指に不安を感じて改めてなおいっそう力を込める。 早く行かなきゃ、助けなきゃ、早く――― ぐるぐると思考ばかりが加速して注意は目の端、火の赤へとつい向いてしまう。 だから、そびえた影の一部が一文字に裂けてさらに深い闇をさらけ出したことに気付けない。 紅蓮の光が不注意なレナの目で閃いた時には全身を痛みが灼いていた。 油断を悔いるよりも先にふわふわでもこもこの衝撃に跳ね飛ばされて、どうなったのかを考えなければならなくなった。 目の前にはふわふわのわたわた…わたぼうの赤の光線に輝く背中が見える。 振り返ったその眼は変わらない、子供のような眼をしていて、それから後ろ向きにもう一度カサを天へと掲げて見せてからバウンドするボールのように大きな影へと挑んでいく。 いまや完全にレナとわたぼうを敵として認識したビッグ・モンスターは荒々しい息の噴出に伴う低音を響かせて迎撃の態勢を取る。 宿屋は完全に巨体の向こうだ。立ちあがって。立ち上がって、戦わなければ何も守れない。 重々しく地面をゆるがせ叩き付けられた太い腕を、肘を、肩を足場にわたぼうが昇っていく。呼応してレナは手から離れていた剣を掴み直し迷いを振り払うように、勢いよくリスタート。 疾風の如きアンブレラが眉間を、迅雷の如きエクスカリバーが脚を、それぞれ同時に撃つ。 一瞬の硬直、けれどまるで≪効かぬ≫と言わんばかりに鼻を鳴らした巨獣は羽虫のような敵を振り払う。 暴れる両腕、両足を辛くも逃れた一人と一匹はその全身を覆う何らかの魔法――スカラ――の光を見た。 両者間に少しだけ距離を置いて、場面はわずかな時間、動から静へ。 水平にエクスカリバーを保持する手の延長線上で再び赤い眼と対峙する。もう、足が竦む事は無い。 くるくると宙返りで降りてきたわたぼうがふわりと構えた剣の上に着地する。 「…私たちだけで、どれだけやれるかな?」 「大丈夫っ、力を合わせればなんでもやれるわた!」 「そう、そうだね………よしっ、行こっ!」 まるでバドミントンのシャトルを打ち上げるように呼吸を合わせて小さな魔物を跳ね上げる。 地上に残されたレナは注意をひきつけるように気合の叫びを発しつつ一気呵成に突撃する。 天地の一角を紅く燃やして、死闘の幕は開かれた。 【レナ(体力消耗 怪我回復) 所持品:エクスカリバー  第一行動方針:モンスターを押さえつつ宿屋への血路を開く  基本行動方針:みんなを守る】 【わたぼう 所持品:星降る腕輪 アンブレラ  第一行動方針:レナに協力する  基本行動方針:テリーとリュックの仲間(ユウナ優先)を探す  最終行動方針:アルティミシアを倒す】 【現在地:ウルの村中央】 【ブオーン(左目失明、重度の全身火傷)  所持品:くじけぬこころ ザックその他無し  第一行動方針:潰す  基本行動方針:頑張って生き延びる/生き延びるために全参加者の皆殺し】 【現在位置:ウルの村中央】 【サラマンダー(右肩・左大腿負傷、右上半身火傷、MP1/5)   所持品:紫の小ビン(飛竜草の液体)、カプセルボール(ラリホー草粉)×2、各種解毒剤  第一行動方針:状況を様子見  第二行動方針:態勢を立て直して再戦を挑む  基本行動方針:参加者を殺して勝ち残る(ジタンたちも?) 】 【現在地:ウルの村北の倉庫上】 【サイファー(右足軽傷)  所持品:破邪の剣、G.F.ケルベロス(召喚不能) 白マテリア 正宗 天使のレオタード ケフカのメモ  第一行動方針:状況判断・分析中(具体的には不明)  第二行動方針:協力者を探す/ロザリー・イザと合流  基本行動方針:マーダーの撃破(セフィロス、アリーナ優先) 最終行動方針:ゲームからの脱出】 【現在位置:ウルの村北郊外の森(延焼開始)】 【ソロ(魔力少量 体力消耗)  所持品:さざなみの剣 天空の盾 水のリング  ラミアスの剣(天空の剣)  ジ・アベンジャー(爪)   第一行動方針:村方面の異変を認識、次の行動を決断する  第二行動方針:ヘンリー捜索  基本行動方針:PKK含むこれ以上の殺人を防ぐ+仲間を探す ※但し、真剣勝負が必要になる局面が来た場合の事は覚悟しつつあり】 【バッツ(左足負傷)  所持品:ライオンハート 銀のフォーク@FF9 うさぎのしっぽ  静寂の玉 アイスブランド ダーツの矢(いくつか)  第一行動方針:村方面の異変を認識、次の行動を決断する  第二行動方針:ヘンリー捜索  基本行動方針:レナのそばにいる】 【現在地:ウルの村北郊外の森(延焼開始)】 【エリア(体力消耗 怪我回復)  所持品:妖精の笛 占い後の花  第一行動方針:状況不明  第二行動方針:ビビの看病  基本行動方針:レナのそばにいる】 【ビビ 所持品:毒蛾のナイフ 賢者の杖  第一行動方針:状況不明  第二行動方針:休息 (気絶中)  基本行動方針:仲間を探す】 【ターニア(血への恐怖を若干克服。完治はしていない)  所持品:微笑みの杖 スパス ひそひ草  第一行動方針:状況不明  第二行動方針:ビビの看病  基本行動方針:イザを探す】 【現在地:ウル宿屋(半壊、まだ本格的な火災は免れている)】 ※ウルの村は炎上、宿屋は半壊、ウル北の森は炎上開始

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