515話

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*第515話:種咲案内人 「アンジェロ!!」 いや、アンジェロがこんなところにいるわけないだろ。 思わず大声で名前を呼んだ後で気付く。 しかし犬はスコールの声に反応して止まると、黒い眼差しでスコールの姿を捕らえ、一直線に駆け寄って来た。 あのフォームには見覚えがある。 (……アンジェロラッシュ!?) ぎょ。としながらも、スコールはワンステップでひらりと犬の軌道線から逃れた。 スコールの立っていた空間を体当たりで切り裂いた犬は、くるりと器用に回転しながら着地する。 さすが。このしなやかな動きは、どこからどう見てもアンジェロそのものだ。 「まさか本当に、アンジェロ……なのか?」 くうん、と喉で鳴くと、犬はスコールの足元をぐるりと一周した。 動く犬をよくよく見てみると、案の定、尻尾がない。 確定だ。この犬はアンジェロだ。 「なんでお前がここに……いや、そんなことはどうでもいいか」 目線を合わせるためにしゃがみ、頭を撫でてやる。 「ん?」 ふとスコールは、アンジェロが何かを口にしていることに気付いた。 譲り渡すようにアンジェロは物を挟んでいた口を開く。 「草? なんだ?」 スコールは、受け取った草とアンジェロとを、交互に見やった。 たべると何か能力でもアップするのだろうか。そんな気分ではないが。 傍らで寝ている男から勝手に奪ってジャンクションしたカーバンクルの能力で見てみるが、精製は不可。 というか、もともとスコールが育てていたG.F.なのだから、正しくは奪ったではなく返してもらった、だ。 そんなことより問題は草だ。 「俺に一体、どうしろっていうんだ」 何かを望むような瞳でアンジェロは見てくるが、判りっこない。 言わなきゃ判らないこともあるだとか、口に出さなくても判ることはあるだとか、そういうレベルではない。 草で思い出すのは、学習パネルで見た新着図書のタイトル、食べられる草花。 (……なんでこんなどうでもいいことを覚えているんだ、俺は) 徐々に徐々に深くなる眉間の皺を空いている手の指で押し揉むと、思わず溜め息が出た。 「お前と話せたら楽なのにな。そんなことは無理か」 はぁ、と同じくアンジェロも溜め息を吐いたように見えたのは気のせいだろうか。 まったく仕方ないなスコールは、みたいな。 勝手にそう解釈して、スコールは少し腑に落ちない表情を浮かべた。 すると唐突に。アンジェロは何のきっかけも前触れもなく、スコールに向かって、けたたましく吠え始めた。 擬音にすればワンワン、もしくはバウワウ。 スコールは突然の事に驚いて、思わず立ち上がった。 「どうしたんだ!? やめろ、アンジェロ!」 振り払うような仕種でスコールが強く言っても、まったく止める気配はない。 鳴き声を聞いて、面倒事に駆け付けられたら厄介なことこの上ないというのに。 自分の声の方が大きいんじゃなかろうかという矛盾には特に気付かず、スコールは更に口調を強めた。 「アンジェロ!!」 (さっき見たモンスター、ずいぶん大きかったけど、なに食べて過ごしてるんだろ) どこかで火が燻っているのか、空気が霞んでいる。 目に映ったザックの一つを、エリアは手を伸ばして引き寄せた。 その端の布をつまんで、口と鼻を覆うように塞ぐ。 こうすれば、多少なりとも煙を吸い込む量を減らせるはずだ。 (そういえば、ヘンリーさん、見つかったかな) 生れ変わったかのような、強い瞳を持ったターニアの言葉を信じたかった。 だから諦めないで、待つことを決めた。 諦めているよりは、諦めない方が、チャンスも惹かれて来るかもしれない。 昨日だって昼間だって、色々あったけどこうして生きている。 だから、たとえどんな状況でも、なんとかなるものだと信じる。 そう思わせてくれたのはターニアだ。 (右の足首、さっきから痛いな……もしかして捻っちゃったのかも) 諦めないで信じていることくらいしか、やれる事がないといえば、それまでなのだが。 こうして動けずに待っているだけだと、色々と考えてしまう。 大事なことだったり、どうでもいいことだったり。 不思議と思考は悪い方へと行かないので、それだけはありがたいことだった。 どこかから聞こえるだれかの声を聞きながら、様々な事を考える。 「え……声!?」 エリアは顔を上げると、周囲を見回した。 近いような遠いような、よくわからないが、確かに聞こえる。 耳を澄ませて声の発信源を探ると、なぜか、怪しく思われるのは手にしている袋。 エリアは不安めいた表情を浮かべながらも、そっと袋の口を開いた。すると。 けたたましい鳴き声と、何かを怒鳴る声が、やけにはっきりと聞こえた。 『もしかして……これかな』 いきなり自分の右手の中から聞こえてきた声に、スコールは目を見開いた。 (なんだ? 草から声が) 手に持った草をまじまじと見つめる。ありえないが、確かにそこから聞こえた。 どこにも小型スピーカーなんて付いていないにも関わらず。 忙しなく吠えていたアンジェロも、ぱったりと静かになった。 『あれ? 聞こえなくなった』 女の声だ。まさかアンジェロは、これを望んでいたのだろうか。 スコールは、不安半分で草に話し掛ける。 「そこに誰かいるのか?」 『わっ』 驚いた声が返ってきた。 『あの、すみません。この草はいったい……』 「知るか」 投げ遣りに返すと、アンジェロが一声吠えた。コラ!と怒られた……ような気がする。 『そ、そうですよね』 しゅん。と怖気づいたかのような女の声に、スコールはやれやれと肩を落とした。 「悪かった。おそらく通信機器……機器じゃないな、離れた場所にいても会話ができる草だ、きっと。  お互い同じような草を持ってるってことは、そういうことだ。  あんたは誰で、どこにいるのか、それが聞きたい」 『あ、えっと。名前はエリアです。ウルの村にいます』 (そこにいるのか?) 咆哮が聞こえたり燃えたりしているウルだ。 大惨事が起きていても不思議ではないが、エリアの声は妙に落ち着いている。 「あんたは無事なのか?」 『え』 「俺もウルにいる」 正確にはウルの近くだが、細かな間違いはどうでもいい。 サスーンやカナーンに比べれば、ウルの中にいるも同然だ。 『実は、ちょっと危ないかもしれませ……けほっ』 (咳込んでるのか?) スコールは眉根を寄せた。 「状況を教えてくれ」 『その、宿屋にいるんですけど、モンスターに壁や屋根を少し崩されまして。  火が燃え移りそうなんですけど、身動きができないので、誰かの助けを待ってるところです』 (どこが「ちょっと」なんだ) だいぶ危ない、の間違いだろうと思ったのはスコールだけではなくアンジェロも同じ。 「そういうことは先に言え!」 スコールはきつく怒鳴ると駆け出そうとしていたが、理性をなんとかコントロールし、留まる。 『す、すみません……』 「いや、悪かった」 ウルにいるということは、足元で眠っている男の事を知っているかもしれない。 「話変わるが、緑髪で長髪で30歳くらいの男は知ってるか?」 『それって……ヘンリーさんですか!? 知ってるんですか!?』 「そいつとは、どういう関係だ?」 スコールは、そうだとも違うとも言わず、質問を続けた。 嘘は言わないが本当の事も言わない、それが駆け引きの基本だ。 駆け引きとかそういう状況でもないけれど。 『昨日から一緒に行動してました。けど今は行方知れずで……こほっ』 「俺の横にいる。意識ないけどな」 『え、ほ、本当ですか!? 無事なんですか!?』 驚いたような、呆気に取られたような、安心したような、そんなエリアの声が聞こえる。 「一応な」 この男は違う気がする。リノアの件はシロだ。暫定で、だが。 なんとなく曖昧ではあるが、スコールはそう思った。 「アンジェロ。ここでそいつと待っててくれないか?」 言葉が通じているのかどうか判らないけれど、アンジェロに言う。 アンジェロはいそいそと歩を進めると、ヘンリーと呼ばれた男の横に、ちょこんと腰を落とした。 「ありがとう。頼んだからな」 そっとアンジェロの頭を撫でる。 ついでにヘンリーからパンデモニウムも返してもらうと、スコールはウルへと向かった。 「言い忘れてたが、俺はスコールだ」 走りながら、手の中の草に話し掛ける。 「今からそこに行く。宿屋はどこだ?」 【スコール  所持品:G.F.カーバンクル(召喚○、コマンドアビリティ×、HP1/4)、G.F.パンデモニウム(召喚×)  吹雪の剣、ガイアの剣、エアナイフ、ビームライフル、セイブ・ザ・クイーン(FF8)  天空の兜、貴族の服、オリハルコン(FF3) 、ちょこザイナ&ちょこソナー、ひそひ草  ヘンリーの武器(キラーボウ、グレートソード、デスペナルティ、ナイフ)  アイラの支給品袋(ロトの剣、炎のリング、アポロンのハープ)  第一行動方針:エリアの救出  第二行動方針:アーヴァインと緑髪(緑のバンダナ)の男、及びエドガーを探す  基本行動方針:ゲームを止める】 【現在位置:ウル南方の草原地帯→ウルの宿屋】 【ヘンリー(気絶)  所持品:アラームピアス(対人)、リフレクトリング  基本行動方針:ゲームを壊す(ゲームに乗る奴は倒す)】 【アンジェロ  所持品:風のローブ  第一行動方針:スコールを待つ】 【現在位置:ウル南方の草原地帯】 【エリア  (体力消耗 身動き不可 下半身を圧迫されている 右足首に鈍痛)  所持品:妖精の笛、ひそひ草  ターニアの支給品袋(微笑みの杖、スパス)、ビビの支給品袋(毒蛾のナイフ、賢者の杖)  第一行動方針:助けを待つ  基本行動方針:レナのそばにいる】 【現在地:ウル宿屋(半壊、火災はボヤ程度)】

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