317話

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*第317話:旅の扉と彼の記憶 放送からどれほどが経過した頃だろうか。 いざないの洞窟の前の旅の扉に、フィンとドーガは辿り着いていた。 青い渦を見つめるフィンに、ドーガは何も言わない。 フィンは青い渦を凝視していて、そんな彼に声を掛けるのに気が引けたからである。 そして、フィンが口を開いた。 「…親友に、キーファという人がいるんです」 「ふむ」 …確か放送で名を呼ばれた者ではないか。 「…彼は、ある国の王子でした。でも、そんなことに縛られようとしない、自由な心を持った人でした。  …ある日、彼と不思議な遺跡を探検しました。まるで自分たちの住んでいる世界で無いような、神秘的な遺跡でした」 フィンの目は、今も旅の扉に向けられている。 でも心は今、その遺跡を、キーファと共に探検しているのだろう。 「…その遺跡の一番奥に、謎の神殿があって、そこには、これと同じ青い渦…旅の扉があったんです。  彼と僕は、それが僕たちをどこに連れて行くかとドキドキしながらそれに飛び込みました」 「ふむ…それで、何処へ繋がっていたのじゃ?」 「…僕が彼とよく探検した、見慣れた洞窟でした。半分がっかりした様な、でも半分ほっとした様な…そんな気分でした」 フィンは、顔を少し上げた。 「あの時のような気分は、忘れることが出来ません。何度旅の扉を潜っても、何度新しい世界へ行っても。  彼との思い出の一つ一つが、しっかり心に刻まれているんです。あの時飛び込んだ、この青い渦と共に」 少しだけ、フィンは笑って見せた。 「…うむ、忘れてはならぬぞ」 ドーガは、ゆっくりと、しかし力強く言った。 「きっと彼の…キーファの魂は、またフィンと共に探検したいと願っている筈じゃ」 「…はい」 「フィンが生きている限り、彼もまたフィンと共に在る」 フィンは、また旅の扉を見つめた。 「…行きましょうか。新しい世界へ」 「…うむ。時間も限られておるしな」 二人は、互いの目を一度見ると、同時に旅の扉に飛び込んだ。 【フィン 所持品:陸奥守 魔石ミドガルズオルム(召還不可)  第一行動方針:次フィールドへ 基本行動方針:仲間を探す】 【ドーガ(軽傷) 所持品:マダレムジエン、ボムのたましい  第一行動方針:次フィールドへ 第二行動方針:フィンの仲間とギルダーを探す   第三行動方針:ギルダーを止める】 【現在位置:次フィールドへ】

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