518話

「518話」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

518話」(2008/02/15 (金) 01:44:31) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*第518話:煙が出たなら火種が散らばる 「貴様のような悪人を生かしておくわけにはいかんでござる!」 ライアンが怒りを込めた一撃を繰り出す。 「ほう? 俺はただ、生きるために必要なことをしているだけだが?」 カインは槍で軽くさばき、お返しにとばかりに神速の突きを繰り出す。 「己のために、他人を犠牲にするようなことが許されるはずがないでござるよ!」 ライアンは足を後ろに一歩下げてかわし、そのまま一回転してカインを横に薙ぎ払う。 「今朝の裏切りのことか? あれは騙されるほうが悪いのだろうが」 カインは上に飛び上がり、剣閃の範囲内から逃れると同時に、槍を下に構えてそのままライアン目掛けて飛び降りる。 「貴様……!!」 ライアンが横に飛んで攻撃をかわすが、カインはそこは予想済み。着地したと同時に槍で連続して突きを繰り出す。 世界によってはさみだれ突きを思い浮かべるような、一撃の威力よりも手数を重視した攻撃。 だが一撃一撃が異常に重い。つい先ほどまではライアンにこんな感覚はなかった。 彼は知る由もないが、これを引き起こしたのはルカナンの魔法。正確に言えば草薙の剣による守備力減退の魔法。 アルガスが物陰から密かにかけ続けていたものだ。 一回一回の効果はバイキルトには及ばないものの、重ねがけができるというのが大きな違い。 何度も受ければそれなりの効果は出る。 「どうした? 攻撃の手が緩んでいるぞ? 逃げる準備でもし始めたのか?」 ルカニ系は要するに物理攻撃に対する抵抗力を弱める魔法だ。 攻撃を受け止める際の衝撃が大きくなり、そのために隙も大きくなりやすい。 そして、この状況で隙を見せてしまえば、即座にカインの槍によって貫かれてしまうだろう。 命のリングによる自然回復が無ければ、もう力尽きているかもしれない。 「貴様こそ、戦いの最中でも逃げることばかりを考えている臆病者ではござらぬか!」 カインは技量もさることながら、ランスオブカインという強力な武器を持ち、 ライアンの攻撃が当たらない距離を保ってちくちくと攻撃を仕掛ける。 攻撃が当たっても、何かに守られているのかほとんど傷が付かない。 間合いを詰めても、カインは卓越したジャンプ力で上空へ一旦退避し、距離をとって着地する。 「フッ、戦いでは間合いが重要なのだよ」 ライアンの使用武器は兵士の剣。レイピアは打ち合いには向かないし、それ以前に折れていて使えない。 兵士の剣のほうも、レイピアよりマシだが耐久力の面でも威力の面でもカインの武器と比べれば大幅に劣っている。 さらに、盾も篭手もないので、相手の攻撃はかわすか剣で受け止めるしかない。 相手と打ち合うたびに武器が悲鳴を上げる。 ライアンも退くことを考えざるを得なくなっている。 少なくとも、今の状態で正面からやりあうことは無理があるのだ。 だが退くにしても、なるべくカインを拠点の屋敷から遠ざける必要がある。 戦いに気付いた者が安全な場所に避難していることを願う。 相手の一撃を大きく弾き、そのまま南に向かって駆け出す。 「ほう、かなわないと分かって逃げるか」 カインはライアンを追う。支給品はまあアルガスがまた回収するだろうと考えて放置。 今すぐ使うものはすでに自分のザックに詰めてある。戦闘の際に荷物の持ちすぎは邪魔になるだけだ。 加速装置のスイッチを入れて、駆け出す。 「サイトロ……うん、どうも見えにくいねえ」 普段はパルメニ盆地内くらいなら見渡せるのだが、この魔法には制限がかかっているらしい。 簡単に仲間と合流されても困るので、当然といえば当然なのだが。 屋敷の中からでも一応使えるのは運がよかったといえる。 クリムトの言ったあたりを探ると、4人ほどの集団が見える。 場所は視界範囲ギリギリ、ネルブの谷より少々南といったところ、暗くてぼやけているので容姿ははっきりしない。 強大な気配とやらはその中か。クリムトから人数を聞きだしてはいなかったが、4人もの大集団ならひとまず大丈夫だ。 殺人者が4人も集まってパーティを組むことはまずないだろう。 カインなどのように、裏切り者が潜んでいる可能性もあるが、そういう人間が行動を起こすならタイミングが重要。 例えばメンバーの一人がはぐれたとき、旅の扉が現れたとき、ゲームに乗った参加者に襲われたとき…。 殺人者が潜んでいるとして、今すぐ行動する可能性は低いわけだ。 まあ、そういう人間がいた場合怪我をして寝込んでいるアリーナに何をするか分からないし、 全員が反主催者であっても偽者のアリーナに間違えられるかもしれないので、アリーナの避難は正解であろう。 問題は、アルガスは不審な影を見たというが、あの位置がこの町から見えるのはありえない。 別の方向に意識を集中させると、見つけた。 おそらくクリムトは向こうの四人組に気を取られて感知できなかったのだろう、まったく反対の位置にいたようだ。 現在ライアンと戦っている。アルガスの姿は見えないが、どこかで隠れているのだろう。 アルガスはこれからどう動くかを決めかねていた。 本当はカインをサポートするつもりだったし、そのために魔法屋を漁ったりもしていた。 戦闘が始まってしばらくは建物の影から草薙の剣(皆殺しの剣ではさすがに危険だろう)を振って守備力を下げるなどはいたが、必要性が感じられない。 武器は強力な槍、防具はミスリルシールドにミスリルの篭手、装飾品はプロテクトリング、サポートアイテムに加速装置。装備だけ見れば白兵戦で負けるはずがない。 さらに言えばミスリル装備には魔法に耐性があるので、魔術師相手でも善戦できる。 さらにカインは竜騎士だ。カナーンは建物や水路が多いが、そういった地形は無視できる。 全く危なげがないどころか、むしろ余裕。この分なら、すぐに決着は付くのはあきらか。 もうあっちはあっちで任せておいて、今のうちに別の計画に着手しようかと考えていたとき、予想外の事態が起きた。 誘導する前にウネが屋敷から出て行ってしまったのだ。まっすぐライアンとカインが戦っているところへと向かう。 今は空のザックが残されているはずだが、ウネは、散らばったザックの一つを拾い上げる。 「何か入っているのか? まあいい、入っていたとしても大したものはないはずだ」 それよりも、ウネが出て行ったということは屋敷に居るのはクリムトとアリーナのみ。これは彼にとって好都合。 あの屋敷の周りはあまり手入れがなされていないせいか、野草が生え放題だ。 こっちには、拾った6人分のランプがある、これだけあれば油も結構な量になるだろう。 ついでに魔法屋で見つけた薄い布とか屋敷のふかふかのベッドなんかはよく燃えることだろう。 部屋の間取りも把握済みなので、寝室の窓あたりから火をつけて投げ込んでやればあっという間にベッドに燃え広がる。 あとはどうなってしまうのかは容易に想像できるが、想像はしない。やりにくくなってしまう。 武器屋から何か拝借して直接始末するべきかとも思ったが、アルガスには直接人を殺すということができそうにない。 間接的に、相手の死に立ち会わない方法で殺すしかないのだ。そして、このことは絶対にカインに知られてはいけないことでもある。 「あばよ、お姫様」 アルガスは木の棒にくくり付けた布に油をしみ込ませ、それに火をつけた。 ライアンは通路をジグザグに曲がって加速装置の効果を弱めようとするが、結局追いつかれてしまう。 それでも町の南門あたりまで誘導することはできた。 「時間稼ぎというわけか? 老人二人と重傷者を残していてはそれはそれは心配だろうな?」 「何故それを知っているのでござるか!?」 「フッ、俺の隠密能力がお前より優れている、それだけのことだ」 「く…、拙者の仲間にはもう指一本触れさせないでござるよ!」 ライアンが渾身の力を以ってカインを薙ぎ払う。カインはミスリルシールドを使って受け止める。 ついに兵士の剣は衝撃に耐え切れずに根元から折れ、川の中に弾き飛ばされる。 「拙者の仲間、か」 ライアンは急いで武器をレイピアに持ち替えるが、すぐにカインが反撃する。 「まったく、おめでたいやつもいたものだな!」 ライアンの体ではなく、武器を狙った攻撃。レイピアもすぐに弾き飛ばされ、 奇しくも兵士の剣と同じ軌道を描いて川の中に落ちていった。 ルカナンで守りを奪われたライアンも、剣を弾き飛ばすほどの衝撃に耐えることができず、地面に倒れた。 「そろそろ年貢の納め時だろう。お前は仲間とやらの真実を知らずに死ねるのだ、むしろありがたく思うんだな」 「貴様、それは一体…」 ライアンの問いが終わる前に、カインが足に力を込める。退避のためのジャンプではなく、攻撃のためのジャンプ。 外面的にはさほど変わらないが、意識を変えることで人の身体は自然とはたらきを変えるものだ。 逃げようと思えばそれに適した身体に、攻撃をしようと思えばそれに適した身体になるのだ。 一旦上空へ飛び上がってからの急降下。 「さあ、楽にしてやろう!」 一筋の流星のごとき一撃がライアンに降り注ぐ。 「エアロガ!」 「何だと!」 それは下から吹き上げる突風によって押し戻される。 威力を落とすかわりに広範囲にエアロガの魔法をかけ、確実にカインに命中するようにしたのだ。 元々対空用に開発された魔法である。多少威力が低くても空中にいる相手には効果抜群というわけだ。 下から吹き上げる風の板に乗って、カインは上空へと吹き飛ばされる。 「ウネ殿! 何故ここに!?」 「あはは、何故ここに!?はないだろう。戦いの音がしたから来てみれば、間に合って良かったよ。  さて、細かいことは後回しだ。今はあの男を倒すことを考えるよ。とりあえず受け取っておきな」 ウネが天空の剣にも匹敵するかのような、非常に立派な騎士剣をライアンに渡す。 ついで、ライアンにかけられた魔法を打ち消すべく、ウネが詠唱を始める。 「させるものか!」 ミスリル装備で身を守ったため、カインにダメージはあまりなかった。 無事着地して、ウネに攻撃しようとするが、その前に詠唱は完了、ライアンの体からオーラのようなものが抜けていく。 エスナの魔法でライアンの守備力を元に戻したのだ。 「貴様の相手は拙者でござる!」 武器の強さも状態も同等。これならしっかりと攻撃を受け止められる。 ライアンがカインの攻撃を上手く防ぎ、その間にウネはさらに詠唱を続ける。 ヘイストの魔法。これでライアンは相手の素早さに付いていけるようになる。 続いてプロテスの魔法。光のオーラで包み込み、攻撃の衝撃を和らげる魔法だ。 カインはライアンにはめられた指輪が、温かい光を放っているのに気付く。 スミスはライアンを攻撃したとき、確かに手ごたえがあったと言っていた。 事実、彼はその後ぴくりとも動いていなかったし、あれだけの衝撃を受けたなら即死と言わずともそのまま力尽きてしまうはず。 だから、フライヤが放送で呼ばれたのにもかかわらず、ライアンが呼ばれなかったのは不思議だったのだ。 回復呪文をかけても、そんなにすぐに回復するとは思えないのに、今会ったライアンはピンピンしていた。 今も、あちらこちらの傷が固まりかけている。その指のリングのおかげなのだろう。 カインもライアンも強力な補助呪文やアイテムに守られている、このままでは埒があかない。一撃で勝負をつけるしかない。 ――集中―― 「うおおお!!」 カインが槍を両手に持ち、加速装置で凄まじい勢いを付けて突進する。 「これで決めるでござる!」 ライアンはカウンター気味にカインの心臓の位置を狙って剣を振るう。 (手ごたえあり! 決まったでござる!) ライアンの剣がカインの無防備な心臓を切り裂き、相手の身体機能をすべて停止させる。はずなのだが 「いかん、ライアン、避けな!」 ウネの声を聞いて反射的にその場を動こうとするが、そのときにはライアンの体には大きな傷が刻まれていた。 「俺の演技力もなかなかだろう?」 カインには傷一つ付いていない。 止めを刺したと確信し、だからこそなおあり得ない事態に遭遇して頭が付いていかない。 エクスカリパー。エクスカリバーと同等の威力を誇る剣。 唯一違っているのは、この剣の力によって与えたダメージはすべて極小化されてしまうということ。 たとえ幼児に向かって剣を振るっても、殺すことは不可能な剣なのだ。 カインはウネが渡した剣がそれだと知り、わざと焦っているふりをし、そして斬られた。隙を作り出すために。 「やはりプロテスが面倒だな。まあいい」 ライアンの傷は致命傷というほどではない。 だが、突然彼は武器をむちゃくちゃに振り回して走り回り、挙句の果てには転んでしまっている。 ランスオブカインにも説明書は付いていた。これで相手を傷つけると理性を破壊することがある、と。 ピサロのときは何故か状況が悪化してしまったのだが、今回はうまくいったというわけだ。 実際は倒しやすいほう、つまりライアンを倒すべきなのだろうが、またエスナで回復されるのも面倒。 ウネがすでに詠唱を始めている。加速装置を用いてウネの元に駆け寄り、刺し貫こうとする。 だが、ウネは一撃を見事にかわして柄をつかみ、光が放たれたかと思うと、二人の姿は消えうせてしまった。 「くそ、時間がかかったな…」 ただ火を付けて、投げ入れるだけ。だが、それでこんなに時間がかかるとは思わなかった。 ここに来る前は何の戸惑いもなく殺せていたというのに、今はこのザマだ。 アリーナのいる寝室にも近づけず、仕方ないので結局別の部屋に火を付けることになってしまった。 冷や汗がだらだら出ている。初めて人を殺したときもこんな感じだったか。 やはり人を殺すことに強い嫌悪感を抱いているということなのだろう。 やたら時間を食った割には中の二人に気付かれなかったのが幸いだ。 盲目と重症の怪我人では気付いても何もできないのか? 逃げられている可能性もあるが、さすがに確かめに行く気にはなれない。 「カインは……まさかヘマして倒されているなんてことはないと思うが」 さきほど戦闘場所のあたりから飛んでいった二つの光も気になる。 山の上に行ったようだが…山登りはごめんだ。 焦ってもいいことはないし、ここはひとまず様子を見るべきだろう。 先ほどまで町の門前で戦っていたのに、いつのまにか町から離れてしまっている。 「なるほどな、ライアンやら他の仲間やらを助けるために俺を道連れにして遠くに飛んだ、ということか。  しかし厄介な場所に飛ばしてくれたな…」 町ははるか下方だ。今二人がいるのはジェノラ山の斜面。北側なので登山道などというものはない。 テレポの魔法。デジョンの元となった魔法で、主に縦軸寄りの移動に使う。 険しいジェノラ山の麓だったから、地面がある場所にワープできたのだ。 詠唱時間さえ稼げればよかったのだが、カインの接近によって細かい操作は無視せざるをえなくなった。 「アンタが近づいてこなかったら、アタシは飛ばなくて済んだかもしれないけどねえ」 テレポ自体が白魔法では低級ということもあり、詠唱時間がかからないが他人への成功率、命中率が低い。 それでも自分にはほぼ確実に成功させられるため、カインごと道連れにしたというわけだ。 「さて、仲間とはぐれちまった。アンタみたいな危険なのを見逃すわけにもいかんし、せっかくだからお相手してあげようかね」 「フッ、それはこっちのセリフだ」 ウネが掌に魔力を集める。他の参加者はおらず、いるのはウネとカインだけ。これなら他人を巻き込むこともない。 ウネは奇襲、裏切りを得意とするような相手は倒せるときに倒しておくのがよいと考え、 カインはまた装備や地の利がある今なら有利に戦えると考え、戦いを挑む。 町のほうが明るい。屋敷が燃えているようだ。 こっそりと町に入って裏切り者と組み、偽の殺人劇を仕込み、パーティを分断し、相手方をパニックに陥れ、相手の拠点を火に包む。 どこか既視感を覚えながらも、カインは武器を構える。 一方ウネは仲間とははぐれたものの、彼らなら多少のことでは動じまいと考え、戦いに臨む。 ライアンについては、混乱は一時的なものですぐに解ける、指輪の効果もあるので冷静になれば殺されることはない、 そして火をつけた犯人がいても、先ほどの4人組がやってくるので下手に手は出せないと考える。 ウネはこう考えているが、ランスオブカインの効果による魔法的な混乱がかかっているのは知らない。 刺された瞬間から記憶が飛んでいる。 ウネとカインはどこへ行ったのか。何故屋敷は燃えているのか。何故生きているのか。 燃えているのは拠点にしていた屋敷。中に居るのはアリーナとクリムト。ウネは殺されたか? いや、死体はない。 ……考えてみればおかしい。 この町に来て二手に分かれようと言い出したのはアルガスだが、そこは問題ではない。 問題は二手に分かれたあと、ウネ達のほうには、何が起こったのかということだ。 思考がまとまらないが、確かテリーが突然暴れだし、その後クリムトは気絶。 クリムトが目を覚ましたときにはテリーは死に、アリーナは重症、サイファーがウネと対峙していたと聞く。 本当にアリーナはテリーとの戦いだけで傷ついたのか。 サイファーのウネへの敵対は、本当に誤解から来たものだったのか。 アルガスはサイファーのことを気に入ってはいないと言っていたが、むやみに人を傷つけることも無いと言っていたのだ。 それとは別に、カインは裏切り者で、自分はカインの飛竜のスミスに奇襲され、そのうえで気絶した。 そのあとにウネがやってきて、自分を助けたという。 ウネとアリーナを二人きりにした結果、戦いが起こり、最初から最後までを知るものはウネ一人。怪我がなかったのもウネ一人。 そのあと、屋敷の外の警備を任されていたが、その間クリムトの姿を見ていない。 また、ピンチのときになってこの剣を貰ったが、魔法でもかかっているのか、全く相手を傷つけられない剣だった。 ウネが屋敷を出てしばらくすると、屋敷から火が上がった。 さらにカインのセリフ。仲間の真実とは? 何故か思考がまとまらないが、怪しいことこの上ない。 ウネとカインは実は手を組んでいるのではないのか、という疑惑を拭いきれない。 殺人者が怪我人を連れていくのは一見おかしいが、裏切り者のカインと手を組んでいるなら。 すなわち、怪我人を連れて、自分は無害だ、善人だということを周囲にアピールして仲間に入り込み、 機を見計らって奇襲、戦力を分断し、殺害するという計画だったなら? 現にアルガスは殺され、アリーナとクリムトは火の中に取り残された。いや、もうすでに殺されているのかもしれない。 手負いの自分が行っても助け出すどころか、逆に自分が死んでしまうのだろう。 そこまで考えて、ライアンは頭をぶんぶんと振る。 「いつから拙者はこんなに疑り深くて臆病な性格になったのでござるか!」 少し前の自分なら、今の状況でも燃え盛る屋敷へと飛び込んで行ったのではないのか。 しかし、一度生まれた不信感を拭いきれない。 一日目はマティウスに接触することを避け、ウィーグラフを止める事ができず、裏切り者に謀られて大勢の者を犠牲にさせてしまった。 二日目は午前中は何もできずに、出会った仲間を失い、敵を止める事もできずに終わった。 いつから自分は変わってしまったのか。こんな臆病なことでどうする。 生きている可能性がある限り、自分は戦わなければならないのだ。 ライアンは走る。クリムトとアリーナを助けるために。 だが、カナーンからどんどん離れていっていることに彼は気付いているだろうか? 意識はカナーンに向かっていても、体が逆の方向に向かっていることに彼は気付いているだろうか? 無意識のうちに忌まわしき場所から離れて行っていることに彼は気付いているだろうか? 【ウネ(HP 3/4程度、MP消費) 所持品:癒しの杖(破損)  マシンガン用予備弾倉×5  第一行動方針:カインを倒す  基本行動方針:ザンデを探し、ゲームを脱出する 【カイン(HP1/2程度、少々疲労)  所持品:ランスオブカイン、光の剣、ミスリルの篭手 プロテクトリング 加速装置 レオの顔写真の紙切れ ミスリルシールド      ドラゴンオーブ  第一行動方針:ウネを倒す  最終行動方針:殺人者となり、ゲームに勝つ】 【現在位置:ジェノラ山の北部中腹】 【アルガス  所持品:インパスの指輪 タークスの制服 草薙の剣 ももんじゃのしっぽ 聖者の灰 カヌー(縮小中)皆殺しの剣 高級腕時計      妖精の羽ペン  第一行動方針:様子を見る  最終行動方針:脱出・勝利を問わずとにかく生き残る】 【現在地:カナーンの街】 【ライアン(HP1/3程度、混乱、プロテス、ヘイスト) 所持品:命のリング エクスカリパー  第一行動方針:カナーンからはなれる】  ライアンは混乱しており、体が上手く動きません。 【現在位置:カナーン北西へ】 カナーンのシドの屋敷は燃えています。地下には何の問題もありません。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。