130話

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*第130話:Never Look Back 俺には夢があった。 銀幕で見た魔女の騎士のような、最高の英雄になってやる。そんな夢が。 だから、あの日魔女の手を取った。それなのに―― 全てが終わった後、魔女の騎士の本当の意味を知って愕然とした。 結局、俺は一度も魔女の騎士なんかにはなれてなかったってわけだ。バカバカしい。 それから俺は、夢をすっぱり諦めてオトナって奴になろうとした。 風神雷神とバラムの海で釣りなんかやったりしてよ。 平和で退屈な毎日ってものに慣れようとしていた。 ――今から思えば、それもバカバカしい話だったな。 俺はやっぱり、後ろなんか見ずに突っ走ってる方が性に合う。 いつかゴールに辿りつくその日まで、戦い続けてやる。 「どうした骸骨野郎! そっちから吹っかけてきたんだ、もっと楽しませろよ!」 「吠えるな、小僧が!」 骨野郎の手から、氷塊混じりの凍てつく冷気が放たれた。俺は剣を振りかざし炎を呼び出す。 二つのエネルギーはお互いを相殺し、風と水蒸気だけを残して消滅する。 生死を賭けた緊張が生み出す高揚感を抑えながら、俺は呟いた。 「全く便利な剣だぜ。こいつは」 魔力剣なんて代物、映画や小説の中だけの存在だと思っていたんだがな。 だがまあ、後ろにいる嬢ちゃんよりはよっぽど現実味があるか。 何せ、異世界の魔王の恋人様だというんだから。 普段なら頭がイカれてるで片付ける所だが……『ルビーの涙』なんてものを見せられれば、さすがに信じるしかない。 「サイファーさん!」 嬢ちゃん――ロザリーは、さっきからすぐそこの建物の影に隠れている。 本音を言えば邪魔だ。もう少し遠くに逃げてほしいが、彼女にしてみればそれも危険か。 実際、さっきから数人の気配と視線を感じる。どうも人の試合を観戦してる連中がいるらしい。 いかにもか弱そうなロザリーを狙うつもりなのか、機に乗じて俺を仕留めたいのか、 ゲームに乗った骸骨野郎の隙を窺っているのかはわからないが……どのみち、ロクな連中じゃないだろう。 「サンダラ!」 奴の詠唱とともに、青白い光が輝く。 「ちっ!」 俺はとっさに、剣を地面と電光の間に向かい投げつけた。 金属の刃に突き刺さった雷撃が、激しいスパークを撒き散らす。 光に思わず目が眩んだ、その僅かな隙を突かれ、奴が刃を振りかざす。 「血を、我が怒りの炎を静めるための血を流せ!」 剣を中心に強風が渦巻いた。剃刀のように研ぎ澄まされた氷を孕んで。 (そっちの剣も特別製ってワケかよ) 炎魔法で壁を作ろうにも、ドローが間に合わない。剣は迫り来る風の向こう側だ。 (くそったれが、調子に乗りやがって!) 俺は真正面から風に突っ込み、剣を拾い上げた。 油断して勝ち誇る骸骨野郎に、強烈な一太刀を浴びせてやるために。 「生憎だが、一方的に負けてやる殊勝な人間になった覚えはねえっ!」 薄氷が突き刺さり、生暖かい血が至るところから吹きだす。切り刻まれた腕と足と胴体とが、痛みという悲鳴を上げる。 だが、俺は気にせず疾る。野郎の姿はもう目の前だ。 「くらえ!」 掌に生まれた火炎を、奴の顔面に向けて放つ。その後を追うように、剣を一閃させる。 タイミングは完璧だ。あんな死にぞこないのアンデッドにかわせるはずもない、そう思った。 ――だが、甘かった。 ゆらめく炎の向こうで髑髏が笑い、紫電の光が再び灯る。 「人はどうしてこうも愚かな間違いを犯すのだ?  貴様にも教えてやろう。余に炎など効かぬわ」 その言葉を聞き終わる前に、痺れと身を焦がす激痛が視界を白濁させた。 気付いた時には、忌々しい骸骨野郎が地に伏した俺の喉元に剣を突きつけていた。 「チェックメイトだな。  さぁ、覚悟を決めろ。血と涙を流し、無様に命乞いをするがいい!  絶望の表情を余に見せるのだ!」 「ふざけるなぁっ!」 ――叫んだのは、俺じゃなかった。 町の入り口で出会ったガキ二人の片割れが、不釣合いに大きな剣を野郎の真上から振り下ろす。 氷の刃の一閃で弾かれたものの、その金髪の子供は器用に宙を飛び、わずかな隙さえ窺わせず着地した。 「お兄ちゃん、大丈夫?」 「……ガキに心配されるほど落ちぶれちゃいねえよ」 抜けきらない痺れを無理やりねじ伏せ、俺は体勢を立て直す。 「邪魔だ、どいてろ。こいつは俺の獲物だ」 「嫌だ。僕だって戦えるよ。僕は、天空の勇者なんだ」 勇者ときやがったか、このガキ。 だが上等だ。少なくともどこぞのチキン野郎よりかはよっぽどいい根性してるぜ。 「フン、勝手にしろ……ただし、止めを刺すのは俺だからな!」 【ハイン 現在位置:アリアハン城下町 所持品:破壊の鏡、氷の刃、ルビーの指輪   第一行動方針:サイファー、レックスを殺す 第二行動方針:殺戮】 【サイファー(負傷) 所持品:破邪の剣 G.F.ケルベロス(召喚不能)  第一行動方針:ハインを倒す 第二行動方針:ロザリーの手助け 最終行動方針:ゲームからの脱出】 【ロザリー 所持品:不明  第一行動方針:隠れる 第二行動方針:ピサロを探す 最終行動方針:ゲームからの脱出】 【レックス 所持品:ルビスの剣 オーガシールド  第一行動方針:ハインを倒す 第二行動方針:家族を探す 最終行動方針:ゲームから脱出する】 【テリー(DQM) 所持品:突撃ラッパ 黒マテリア(メテオ) 【トンベリ(トンヌラ) 所持品:包丁(FF4) スナイパーアイ  第一行動方針:ロザリーを守る 第二行動方針:わたぼうを探す 最終行動方針:ゲームから脱出する】 【現在位置(全員共通):アリアハン城下町】

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