92話

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*第92話:嫌な予感 空気が気まずい。 バッツが、カインとかいうあの金髪の男に襲われた経路…簡単に言えば、完全に一方的に仕掛けられた事を説明してから、 リディアは、ずっとうつむいたまま唇を噛んでいる。 バッツもさっきから何も言わない。きっと俺と同じで、何て言ったらいいかわからないんだろう。 …バッツ、リディア。どっちでもいいからなんか言ってくれよ。 ………… …ああもう、どうしてこういう役目はいつも俺なんだ? 「…あー、あのさ、とりあえず移動しないか?ここ、すごい目立つと思うんだよ」 俺が苦笑しながら提案すると(この空気を何とかするための提案だな、この場合)リディアはようやく顔を上げた。 バッツも、待ってましたといわんばかりに口を開く。 「確かにそうだな。さっきまで俺がいた家にでも行くか?」 「あ、それでいいじゃん。…な、リディアも、これからどうするかなんてゆっくり考えればいいんだしさ」 「あたし、行かない」 リディアは首を横に振って返答した。バッツとローグは顔を見合わせる。 「…カインは…きっと、ちょっと気が動転してただけで…。…セシルやローザと話せば、元のカインに戻るもん…」 (…カインさんよ、こんなに仲間が心を痛めていらっしゃるぜ) ローグは溜息をついた。…リディアの表情は、悲痛だ。カインを仲間として信頼していたからこそショックも大きいのだろう。 もしアルスやセージが同じことをしてたら、俺も無理やりにでもそう思ったかもしれない。止める権利は無いと思う。 「…まあ、止めはしないけど「やめとけ」 ローグの言葉は、意外にもバッツのはっきりとした声に遮られた。 「あいつの攻撃には微塵の迷いも動転も感じなかった。はっきり言って完全にゲームに乗ってると思う。  きっと、説得されたぐらいじゃ無理だぜ」 「そんなことない!カインの事も知らないのに、なんでそんなことがわかるのよ!」 バッツを睨みながら、叫ぶ。 「…っておい!リディア!」 リディアは、ローグの静止の声は聞かず。走り去っていった。 リディアは走りながら考えていた。 ―――もしも、本当にカインがこのゲームに乗っていたとして。 セシルや、私達。仲間だけはきっと殺せない。そう、カインは言った。『俺に構うな』って。 そうだよね、カイン―――?カインが私達を殺すなんて、ありえないよね? …リディアはそう、無理やり思っていた。 リディア本人は自覚はしていなかったが―――いや、あえて自覚しなかったのだろうが、ずっと、嫌な予感がする。 カインが、エッジを、セシルを、ローザを、ギルバートを、殺す。 そのありえないシーンも…今ならなぜか簡単に想像できる気がしていた。 【バッツ 所持品:チキンナイフ、ライオンハート、薬草や毒消し草一式  第一行動方針:? 第二行動方針:レナ、ファリス、クルルとの合流】 【ローグ 所持品:銀のフォーク@FF9  第一行動方針:? 第二行動方針:首輪を外す方法を探す】 【現在地:アリアハン城下町民家へ】 【リディア 所持品:いかずちの杖、星のペンダント  第一行動方針:仲間を探す 第二行動方針:カインを止める】 【現在位置:アリアハン出口】

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