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「142話」(2008/02/15 (金) 23:14:09) の最新版変更点
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*第142話:映像
突如の地震。
ただ広い夕焼の中に浮かび上がった、邪悪な魔女の姿。
彼女が告げたあまりに多い犠牲者の名前の中に、リディアは有る筈の無い名前を聞いた。
「セシル…ローザ…どうして!?どうしてよ!?」
リディアは、泣き叫ぶ。それが何の効果をも彼女には与えてくれない事を知りながら。
邪悪な魔女の姿なんて見たくもない。
それ以上に、血に塗れた二人の姿も、見たくはない。
それでも、最も見たくない映像を、彼女の心は創り上げてしまっていた。
恐怖に震えるローザ。
彼女の前に、彼女を庇おうと立ちはだかるセシル。
そして、血に濡れた槍を振りかざし、無表情のままにそれを二人に突き立てるのは、
――彼女のよく見知った姿だった。
「いやぁ!」
頭を抱え、その場に座り込むリディア。
まさか、とは思う。
でも、拭えない。
カインが二人を殺すという、何の裏付けも無い映像だけが、彼女の心の中で繰り返し流れていた。
「そんなはず…無いよ…そんな…」
魔法を唱詠するかのように口の中で繰り返す。
自分の考えを否定したい。
いっそ思考すら止めてしまいたい。
カインが殺したのだと思う自分が、憎かった。
それはカインに対する冒涜だから。
カインを信じていないことになるから。
仲間で有る筈のカインを…
『俺に構うな』
空虚なカインの声が、心の奥底に沈んでいった。
フラフラと、リディアは歩き出す。
誰に誘われた訳でもないのだけれど。
南へ。
セシルとローザの遺体が放置された、その場所へ。
何を感じたわけでもない。
ただ運命が彼女にそうしろと告げただけ。
リディアの瞳の中を、白い霧が揺らめいた。
【リディア(ショック状態?) 所持品:いかずちの杖、星のペンダント
第一行動方針:南に行く 第二行動方針:カインを止める(?)】
【現在位置:アリアハン西の海岸→南へ】