191話

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*第191話:仲間と孤独 「また、新しい奴らがきたな」 バッツが落ち着いた様子で呟く。 これ以上戦況が不利になるようであれば、助太刀も仕方なかったというだけに、この状況の変化は大きい。 今の俺たちの心境としては、正直なるべくよけいなことには関わりたくない。 「なあローグ、さっきの話、本当なのか?」 バッツがふと話しかけてきた。さっきの話とは、なんのことだろう。 「あの、頭のおかしいやつの話だよ」 「ああ、あれか」 思い出したくないものを思い出すのは、気分が悪い。 「そうだな、嘘だったらどんなにいいだろうよ」 苦笑いしているのが、自分にもわかった。 「そいつはどこにいて、どこにむかったんだ?」 「アリアハンの北西にいたことはわかったけれど、どこに向かったかまではみてねえな」 「そうか…それじゃあ、はやくここをでたほうがいいんじゃないか。  そんな血に飢えたヤツが次にくるとしたら、ここかレーベの村ってところだろ」 俺は、少し不思議に思った。 それはその通りで、目当ての人も周辺にいない以上、 どこか別のところにいったほうがいいかもしれないというのは、俺も考えていたことだ。 しかし、あいつらはどうするんだ?今、あの骸骨野郎と戦っているやつらは? それを聞くと、バッツは「状況は確実に好転してるし、大丈夫だと思うぜ」と笑っていた。 腑に落ちない。 俺とバッツは、半日行動を共にしただけだ。 だが、このゲームで半日行動を共にするのは、日常を半月共にするより大きい。 俺は、バッツのことをある程度わかったつもりでいる。バッツもそうだろう。 俺の知る限り、あいつはこの状況なら、すぐにでも飛び出してもおかしくない。 それが、ずっとここで様子見。一度あの金髪の男が絶体絶命のピンチになっても、動かない。 あげくにここを離れようってのは、どうも俺の考えていたバッツとは少し違う。 俺は、あとちょっとで飛び出るところだったが、バッツはそんな素振りもなかった。 やはりこれは、まだ尾をひいてるんだろうか。「仲間の死」というのが。 (そういや、いってたなあ) ―――俺さ、あいつらに会って、初めて、仲間ってのができたんだよ。 (仲間…か。俺も、あいつらが初めての仲間だった。結局最後まで、性格は‘一匹狼’だったけど) 何故アルスが俺のことを選んだのか、俺にはわからなかった。まさか勇者に指名されるとは、思いもよらなかった。 (最初の頃は、三人のことをまったく信用してなかったっけな) 今、俺が丸くなったのも、あいつらのおかげなんだろう。 もしかすると、バッツも似たような感じだったのかもしれない。自分のような鋭さはなかったかもしれないが。 (初めて得た仲間と、誰にも会えないで、知らないうちに死んで、か…) 俺は、あいつに従来から正義感があることはわかるが、今は人情に、いまいちかけるように思った。 俺も、アルスやセージ、フルートが死んでいったら、元に戻っていくのだろうか。 簡単に死ぬようなやつらだとは思わないけれど。 …ただ、気にかかるといえば…フルート、かもしれない。 ある日、フルートが魔物の奇襲に例によって怒り狂い、魔物を撃退した。 それが終わると、フルートはけろっとして「あれー?なにかあったんですかー?」と、いつも通り。 「まいるねえ、ほんとに…」セージが頭をかきながらいった。 「ほんとにな。しっかし、あれじゃいつ俺たちに攻撃してきてもおかしくないよなあ…」 「うーん?もしそうなっても、別に怖くないけどね」 その答えが、俺は少し意外だった。少し考えて、 「あ、おまえは魔法使えるし、遠距離攻撃には弱そうだもんな」 というと、「そういうことじゃなくってね」とセージははにかんでいった。 「たしかにぶちギレた彼女は強いよ。理性のかけらもない。  あの強さは、だからこそのものなんだろうけど、それだけに危険っていうか…」 俺は、少し苛立って言った。 「何がいいたいんだよ」 「人間ってのはね、常に力を全開になんてできないんだよ。人間に限らずだろうけどね。  フルートは、理性だとかそういうのをなくして…もうひとつの人格を表して、  自分のもっている力を完全に解放し、戦っているようなものなんだよ」 「えーと、つまり、だからなんなんだ?」 セージは横目で俺をみると、「まだわかんないのかい?おばかさんだねぇ」と毒づき続けた。 「長期戦になったら、自滅するってことだね。彼女の体がもたないんだ。  だから、もしあのフルートが見境なく僕らのことを襲いにかかったら、逃げればいい。  放っておけば、むこうが勝手に負けるから」 セージは「だから」と続けた。 「フルートはね、仲間が必要なんだよ。自分を見てくれる仲間が。ローグ、ちゃんとお守りするんだよ」 「ああ、わかっ…って、なんで俺が!」 「そりゃー、僕やアルスの手には負えないからねえ。ローグなら、似たもの同士扱いやすいでしょ」 「俺のどこがあいつに似てるんっつーんだ!!」 「ほら、すぐ怒る」 「うっ…くう、てめえ…」 「あはは。…でもね、強ち冗談でもないんだよ………」 ……「ローグ?」 バッツの声が聞こえる。「ああ」と返事をして、再び目の前の戦いに目をやる。 …明らかに、戦況は変わっている。彼らは、あの骸骨野郎を殺すのだろうか。 このまま、新たな参入者が出ない限り、もう勢いは変わらない。あの狂ったやつがこない限りは。 さっき鷹の目をした限りは、誰もいなかったが――鷹の目そのものは、アルスの家でもやっていた。 城の中に人がいることもわかったが、自分たちの探している人物はいなかった。 事情を説明をするのも面倒くさかったので、バッツには特に何も言わなかった―― まったく見逃していないとは限らない。なにせ、あんな変なものを見てしまったから。 「…ここをでるとして、次はどこにいくつもりなんだ」 「それが問題だなあ。でもやっぱり、レーベの村かな」 「あの男がいるかもしれないぞ?」 「でも、レナやファリスがいるかもしれない」 「…そうだな」 俺たちは、気づかれないように南出口へと向かった。 あいつらには、気づかれなかった。たしかに。 「…ま、生きてりゃいろいろあるよね」 「いうことはそれだけか!?」 二人が出口に向かうと、そこには一人の女がいた。 その女は、縦に真一文字の深い傷が体に刻み込まれ、そこからだらだら深紅の血が流れている。 なぜたっていられるのかと疑うほど、その傷は見るだけでも痛々しく、よくみると左腕が変な方向に曲がっている。 それでもなお、女はふらふらと歩み続け、眼光鋭く二人のことを睨み付けると、呻るような声をあげ、剣を構える。 「話せばわか…らないよねぇ、やっぱり」 セージのように呟いて、ローグはぽりぽりと頭をかいた。 【バッツ 所持品:チキンナイフ、ライオンハート、薬草や毒消し草一式  第一行動方針:事態の処理 第二行動方針:レーベの村へ 第三行動方針:レナ、ファリスとの合流】 【ローグ 所持品:銀のフォーク@FF9  第一行動方針:事態の処理 第二行動方針:レーベの村へ 最終行動方針:首輪を外す方法を探す】 【パイン(ダークナイト:重傷、凶暴化)  所持品:うさぎのしっぽ 静寂の玉 アイスブランド ドレスフィア(ダークナイト)  行動方針:全員殺害。正気を取り戻した場合は不明】 【現在位置:アリアハン城下町南の入り口付近】

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