194話

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*第194話:狂人に、殺害者に 「おいおい…まずいんじゃないか?」 冷や汗を流しながらバッツが呟く。 「この女、正気じゃないぞ…」 剣を構えた女と睨み合う格好で、ローグ。 淡く輝く、凍てついた刃を持つ剣を構えながら、暗黒の女剣士はゆっくりと歩み寄ってくる。 彼女の身体の傷からは紅い血が絶えず流れだし、息をするたびに吐血している。 そんな状態でもなお鋭さと狂気を失わないその眼光に、2人は蛇に睨まれた蛙の如く一歩も動けないでいた。 「…どうする、バッツ?」 ローグが眼だけを自分に向け、小声で言う。 「どうするっつったって…」 話し合いはどう考えても無理だし、逃げようにもこの女はエクスデスよりしつこく追ってきそうだ。…なら。 「やるっきゃないぜ、ローグ。」 背負ったザックに手をかけ、ライオンハートの柄を見せてローグを見やると、彼も懐に隠してあるフォークを握り締めた。 次の瞬間、2人の首を狂気の刃が襲った。 バッツが後方に下がり、ローグがその場にしゃがみこんで一撃を逃れると、アイスブランドが追うように次の一撃を見舞ってきた。 半ば狂ったように、半ば機械のように冷徹にパインは剣を振り回すが、 身体を一文字に裂いた傷はかなり深いようで、その動きは鈍く、重い。 しかし、2人の攻撃には異常なほど素早く反応する。 バッツのガンブレードの一閃を軽々と受け止めると、そのままの体勢から彼のわき腹を蹴り、顔面を殴って叩き伏せた。 その隙をつき、ローグが銀に輝くフォークを女剣士の右肩に突き刺した。 ダークナイトは苦痛にひきつるような表情を浮かべたがそれも束の間、 狂気を湛えた顔に再び戻るとフォークを握るローグの手を掴み、そのまま力任せに彼を投げ飛ばす。 狂気の成せる技か、スフィアの力か、その腕力は女の、いや人間の、それも手負いの物とは思えなかった。 大地に叩き付けられ、石に頭をぶつけて気絶したローグに、彼女は剣を手に迫り―― その足を蒼い光を発する刃が深深と貫く。 パインはけたたましい悲鳴を上げ、即座に振り向くと、そこにはライオンハートを彼女の脚に突き刺しているバッツの姿。 女剣士が怒りに満ちた眼でアイスブランドを振りかぶる中、 (確か…敵を斬りつけたり突き刺したりしている時に…) 彼は奇妙な形の柄を持った剣と一緒についていた説明書の内容を思い出していた。 (柄についた引き金を…) 氷の剣が振り下ろされる。 (引く!!) 凍てつく刃がバッツを捉えんとするその瞬間、轟音とともにパインの左足が大髄から粉々に砕けた。 金切り声とも悲鳴ともつかない叫びが耳を突き刺し、粉塵となった血が肉片がバッツの顔に身体に飛び散る。 狂気の剣士はその場に崩れ落ち、バッツは気絶しているローグへ走り寄った。 「おい…おい!ローグ!」 顔を叩き、身体を揺すると、思いの外たやすく彼は意識を取り戻した。 「…ひどい顔だな…」 「薬草を…」 「よせよ。この位の傷で勿体無い。」 ローグが起きあがると、視界に片足を失い、苦しそうに息をする女が入る。 「お前が?」 「ああ、そうだ。にしても…」 バッツは言いながら、右手に握られたままのガンブレードをまじまじと凝視した。 「凄い威力だな。一撃であんな致命傷になるとは思わなかった。」 一発で脚をバラバラに?そりゃ凄い、と呟きながら、ローグは彼女から所持品を奪い取り、 「行こうぜ。急がないと」と言って歩き出す。 バッツも重い体を引きずり彼に続こうとすると、不意に瀕死の女剣士と目が合った。 その目に狂気は無い。あるのは、困惑の光のみ。 彼はとっさに体を屈め、その眼を凝視した。 戦っていた最中のように狂った眼ではない、その眼を。 暫くして、「私…は…何故…こ、こ…に?」と弱りきった声を出す。 何故ここに、だと?訝るバッツに、彼女は「た…助け…」と言いかけた。が、 「バッツ!」という、ローグの叫びに遮られる。見ると、彼はもう数十メートルは先を歩いていた。 「いつまでそいつにかまってる!早く来い!」 多少の怒りが込められたその声に、バッツは鞭をうたれた馬のように歩き出す。 もしかしたら、俺は大変な事をしたかもしれないという思いと、血に染まった体を引きずって。 何がどうなっているのかわからない。 ただ確かなのは、自分が今死に行こうとしている事だけ。 全身を走る苦痛と沈み行く意識の中、パインは何故こうなったのか、懸命に記憶を辿った。 …確か、死人からダークナイトのドレスフィアを手に入れて、一か八かでそれにドレスチェンジしてみて… その後の記憶は、ない。 寒い風が顔を叩き、傷口を容赦無く吹きつける中、近くを誰かが通る足音が聞こえた。 やがて目の前に現れる、ニ本の足。彼女はそれに手を伸ばし、助けを求めようとした。 次の瞬間、彼女の意識は完全に途絶えた。 「…城下町か…」 倒れていた女剣士の首に突き刺した刀を引き抜きながら、セフィロスは眼前のやや広い町を見据えた。 「町のように大きく隠れやすい所には人が多く集まる…いい狩り場を見つけたね。…それにしても」 セフィロスの後から歩いてきた男は、大げさにパインの亡骸を見下ろしながら続ける。 「この女の君に助けを求めようとする姿!まるで地を這うウジのように無様だったねぇ。ここまで醜い末路は…」 男―クジャの酔うような喋り口調を軽く聞き流しながら、セフィロスは城下町へと無言で歩を進める。 獲物を求めて。 【バッツ 所持品:チキンナイフ、ライオンハート、薬草や毒消し草一式  第一行動方針:事態の処理 第二行動方針:レーベの村へ 第三行動方針:レナ、ファリスとの合流】 【ローグ 所持品:銀のフォーク@FF9 うさぎのしっぽ 静寂の玉 アイスブランド  第一行動方針:事態の処理 第二行動方針:レーベの村へ 最終行動方針:首輪を外す方法を探す】 【現在位置:アリアハン→レーベへ移動中】 【セフィロス 所持品:村正  第一行動方針:城下町に居る参加者を皆殺しに 最終行動方針:参加者を倒して最後にクジャと決闘】 【クジャ 所持品:ブラスターガン、毒針弾、神経弾、  第一行動方針:城下町の参加者を殺害 最終行動方針:最後まで生き残る】 【現在位置:アリアハン城下町、南の入り口】 【パイン 死亡】 【残り 97名】

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