163話

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*第163話:信じる理由 オルテガの振り下ろした斧をレオは軽く飛び跳ねて避け、哮った。 「何故邪魔をする!」 パパスは剣を構えていった。 「そなたは、自分のしようとしていることがわかっているのか?」 レオは、吹雪の剣を二人に向けて叫んだ。 「ああ、よくわかっているとも、だから、邪魔をしてくれるな!」 それをきき、パパスは唇を噛み締めて嘆く。 「事情はわからぬが、そなたほどの者が…その行為、止めねばなるまい」 パパスは瞬時にして間合いに入り、その剣をおろす。 レオはそれを受け止め、腰をかがめてパパスを抜きさる。 その先に待ち受けるオルテガの斧を、間一髪で避ける。 しかし、攻撃を連続してかわしたためか、足が縺れ体勢を崩してしまった。 捕らえようとオルテガが襲いにかかる。 レオは刹那、眼をつぶったかと思うと、次の瞬間に剣を振り上げて飛び出した。 「ぬぉぉッ!?」 剣から激しい衝撃波が生み出され、不意を突かれたオルテガはそのままひざまずく。 「貴様、いったいなにを!?」 続いてパパスが剣を振り上げた。 先の渾身のショックで、レオはうまく立ち上がることができない。 しかし、それでも再び剣を持ち直し、防御とカウンターの機会を狙う。 パパスの鋭い斬撃がレオを襲う…はずだった。 それは、ひゅんと音を立て、眼前に突き刺さったナイフに止められた。 「誰だ!?」 出てきたのは、中世的な顔立ちをした若者――パパスには、その性別の判断がつかなかった――ファリスであった。 「おっさんたち、何してるんだよ!」 ファリスが怒鳴り込むと、レオは落ち着き払ってこういった。 「ファリス、感謝する。私は再び、ケフカを追う!」 そして、今度はすっと立ち上がると、森の奥の方へと走りだした。 「なっ!?」驚きの声が三つ重なる。 「待て、どこへ行く!」ショックの傷により追うことのできないオルテガの周りを、真空の刃が巡る。 その刃は瞬く間にしてオルテガを離れ、レオに向かって動き出した。 「何をするんだ!」ファリスはそう叫ぶと、大きな火球をそれに向かって打ち出す。 「む、むううん!」 空気の断層が火をひきちぎり、真空の刃は火にうち消された。相殺。 「貴様ッ!」 パパスが怒鳴った。ファリスは向き直っていった。 「おっさん、どうしてレオを襲ったんだ?」 「あの男は、無実の人を殺そうとしたんだぞ」 ファリスは興奮していった。 「無実の人だって?誰のことだいそりゃ!レオが倒そうとしているのは、妙な男一人だけじゃねえか!  レオがああいってるんだ、あいつはきっといますぐにでもぶっ倒さなきゃならないようなやつなんだよ!」 「何を根拠にそういうのだ?」 そういわれて、ファリスはふと言葉に詰まった。 レオとは、今会ったばかりである。レオのことなど、何も知らない。 「なんで、って…」口ごもるが、それでもファリスは、レオのことをなんとはなしに信用している自分に気づいた。 「…たしかに、戦いの途中、彼から邪気は感じなかった」 少し離れたところから、オルテガが口を挟んだ。 「オルテガ…大丈夫なのか?」 「ああ、まだ少し痛むがな。とにかく、私も彼をなかなか悪人とは思えないことも事実だ」 「邪気を感じない、ということには同意しよう。しかし…」 「まあ、待て。あの男の、あの状況にして咄嗟にだした一撃…予想だにしなかったこととはいえ、ものすごい威力だ。  相当に名のある武人に違いない。そしてあれは、少なくとも暗黒の力ではなかった」 「そうかもしれぬ。さりとて、簡単に信用できるものでもない」 「ならば、あの傷ついた男のいうこともまた、鵜呑みにするべきではないだろう」 「…なるほど」 パパスはここにきて、うんと唸った。 ファリスはこの壮年の二人がいったいなんの話をしているのか、よくわからなかった。 どうも風向きが変わったなとだけ、感じ取った。 不意に、パパスが口を開いた。 「私の名はパパス。向こうにいるのはオルテガだ。そなたの名は、何という?」 「俺か?俺は…ファリスだ。信用してくれたのか?」 「いや…そなたのいうことも一理あると思っただけだ。真実はわからぬ。おそらく、そなたもそうであろう」 「…ああ、でも…」 「この状況だ、何があってもおかしくはない。裏切られる、ということもあろう」 「……」 ファリスは押し黙った。 「知り合いはいるのか?」 ふと、オルテガがたずねた。 「…いるよ。だけど、もう、一人…」 皆までいわずとも、どういうことかははっきりとわかる。 「そうか…。それで、おまえはこれからどうするつもりなんだ…?」 「残りの仲間を探す。妹と、あいつ――」 「妹、か…」パパスが言った。 「このゲームでは、まずわかっていなければならないことがある。  仲間だから信頼できるのではなく、信頼できるから仲間なのだ。  それがわからず、取り返しのつかないことになる者もいよう…いや、既にいるのかもしれぬ。  その意味で、血の繋がりというのは…格別だ」 「…バッツは、信用できる」 「すまない、血の繋がらない仲間は信用できないといったわけではない」 もちろん、ファリスのレナに対する信頼は、血の繋がりが大きく影響しているのは間違いがない。 …しかし、バッツに対してはどうなのだろう。 バッツへの信頼感の源は、なんなのだろうか。 ―――バッツ?レナたちと宿屋にいたんじゃなかったのか? ―――ちょっと逃げてきた。まったくあいつら、口を開けたら止まらないんだよ。 ―――ああ、わかるぜそれ。なんていっていいんだかわからないんだよな。 ―――ほんとにな。女ってのはみんなああなんだから、どうしたもんだろ。 ―――…… ―――ん?どうしたんだ、ファリス。 ―――バッツ…… ―――うん? ―――俺も、女なんだけど… ―――……ああー、そういえばそうだったな、わりぃ、忘れてた。 ―――ガスッ! ―――痛ってーー!やっぱおまえ男じゃないのか!? ―――うるせえ!ぶん殴るぞ! ―――もう殴ってるじゃねーか! ―――うるせえ、うるせえ!俺はもう寝る! ―――なっ、ちょ、ちょっと待て、待てったら………ファリス……………… なんとなく、思い出した。 覚えているのは、男扱いされて怒ったことなど、なかったから…。 でも、どうして今こんなことを?いや… ファリスの思考を、雷鳴が遮った。 「なんだ…?」オルテガが呟く。 今度は、崖崩れが起きたかのような爆発音が聞こえた。 「…行こう」「ああ」二人はその方向へと駆けだした。 「お、おいっ!」 ファリスの呼びかけに呼応したわけはないだろうが、パパスが振り向いた。 「妹がいるといったな」 「あ、ああ…」 「このゲームで…命を懸けても、守りきるのだ。いいな」 そういうと、パパスは踵を返して、レオとは反対方向の、森の奥へと消えていった。 ファリスはぼんやりと、パパスの言葉の重さも知らないで、ただなんとなく、 姉じゃなくて兄に思われてるのかなあ…と考えていた。 【レオ 所持品:吹雪の剣 鉄の盾 神羅甲型防具改  第一行動方針:ケフカ殺害 基本行動方針:ゲームに乗らない】 【現在位置:レーベ南の森南東部→奥】 【ファリス 所持品:王者のマント 聖なるナイフ   第一行動方針:? 第二行動方針:仲間を探す】 【現在位置:レーベ南の森南東部】 【オルテガ 所持品:ミスリルアクス 覆面&マント  第一行動方針: 第二行動方針:アルスを探す  最終行動方針:ゲームの破壊】 【パパス 所持品:パパスの剣 ルビーの腕輪  第一行動方針:レオを止める 第二行動方針:仲間を探す  最終行動方針:ゲームの破壊】 【現在位置:レーベ南の森南東部→音の方向(南部、ピエールたちのいる場所)】

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