318話

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*第318話:覚醒と決意、再会と邂逅 打ち出される空気の玉を、ラケットを振るう少年を、 それを阻もうとする天空の盾を、少年を止めようとするソロを―― 壁のように広がる炎や盾に弾かれた衝撃の余波を避けながら、ロックは虚ろに見つめていた。 避け続ける。その行動に意思が関わっているのかどうか、ロック自身にもわからない。 意思が命じずとも身体は勝手に動くものだ。 かつて感情を無くした青年が、剣士相手にそうしていたように。 何を避けようとも、戦おうとも、生きたいという思考すらなくとも、長きに渡る戦闘経験が身体を突き動かす。 あるいは経験などという込み入った物ではなく、もっと純粋にして単純な、生物としての本能なのかもしれない。 あらゆる生命が持つ欲望、己の意思とは別に存在する強烈な衝動。 無意識の領域よりもさらに奥底に刻み込まれた命令に従い、身体は勝手に動く。 『ロック=コール! おまえは狂ってるぜ!』 ああ、その通りだ。 自分は狂っている。 セリスの死を受け入れられずに彼女を蘇らせたいと思い、その死体を捜しに来た。 ティナやマッシュを人殺しだという少年の言葉を受け入れられずに考えることを止めている。 だからティーダやソロの仲間を助けられなかったし、 今も少年やソロをただ見つめるだけで、向こうから走ってくる剣士の姿に気付いていながら口に出せない。 そうやって自分は仲間を失うのだ。 何もできず、その過程も理由も知らないままに。 セリスもティナもシャドウも、 エドガーもマッシュもリルムもゴゴもフリオニールもレオンハルトもギルガメッシュもソロもヘンリーもティーダも みんなみんな自分が何もできないまま、自分にはわからないまま死んでいく…… (死んでいく……何もできないまま……) 雷光が雨のように降り注ぎ、少年の手がうろたえたように止まる。 片腕を無くした剣士が、戸惑う少年に向かって駆けてくる。 少年と一緒にいた少女は、間近に落ちた雷によって気を失っていた。 ソロは体勢を立て直せていない。 立て直したところで、今さら剣士を止めることはできないだろう。 ただでさえ疲弊しているのに、距離が有り過ぎる。間に合わない。 そして自分は、ただ見ている。 何もできないまま……ずっとこうして、見ているだけなのか。 人が死ぬのをこうして見ているだけなのか。 (――違う) 『でもあんた、そんなことじゃ何も変わらない。ただの誤魔化しッスね』 (何もできないんじゃない……  誤魔化して、目を背けて……俺が、俺自身が、何もしようとしていないだけだ!) ソロが顔を上げたのと、イクサスがテリーの姿を捉えたのは、ほぼ同時だった。 天賦の才と姉への妄執が培った剣の冴えは、万全の状態のソロですら避けることは難しいだろう。 ましてや――復讐心と、医術に関する知識以外は普通の子供と変わりないイクサスでは。 「くっそぉおおお!!!」 避けきれるはずもないと悟り、がむしゃらにラケットを振り下ろす。 その弾みで、金色に輝くオーブが懐から零れ落ちた。 ほんの一瞬、テリーの視線がそちらに逸れる。 しかし、剣の速度は変わらない。 イクサスの小さな胴体めがけて、白刃は横薙ぎに走り――甲高い音を立てて弾かれた。 かつて、テリー自身が携えていた剣によって。 双眸に意思の光を宿した、トレジャーハンターによって。 「邪魔をするつもりか?」 テリーの問いに、ロックはどこかシニカルな表情で答える。 突き飛ばされたイクサスは、呆然と二人の姿を見つめていた。 「子供を殺すなんて、見てて気分のイイもんじゃないしな。  それに……こいつに聞きたい事があるんだよ」 そこにはもう、ただ逃げ惑っていただけの青年の面影は無い。 妄執に突き動かされるだけの、狂った男の姿は無い。 (セリス……決めたぜ、オレは。  もう現実から眼を逸らしたりしない。全部この眼で確かめてやる。  お前やティナが死んだ、死ななくてはならなかった、その理由を……その意味を……!  生きて生きて生き抜いて、絶対に確かめてやる!) 「うぉおおおおっ!!」 気合と共に、剣を一気に押し返す。 しかし相手もさるもの、ロックの力を利用するかのように飛び退き、間合いを取った。 テリーは舌打ちしながら、構えを取り直し言い放つ。 「子供だろうが何だろうが、ファリスを傷つける奴は全員敵だ! 生かしておけるか!」 そして、イクサスもよろよろと立ち上がり、再びロックを睨みつける。 「人殺し風情が……勝手なこと言ってるんじゃねえ!」 イクサスの殺意、テリーの敵意。 二つはぶつかり合い、一気に弾け―― けれどテリーの剣も、イクサスのラケットも振り下ろされることはなかった。 「二人とも、そこまでだ」 上空から降ってきた男が、イクサスの腕を捕らえ、羽交い絞めにする。 「な、なんだよ貴様! 放せ、くそっ、この野郎!」 さらに勢いを弱めた炎の向こうから、若い男――のような女が飛び込んできた。 「テリー、止めろ!」 「これ以上戦うのはお互いに得策とは(ry  少なくとも僕とファリスには戦う気はないし(ry  戦闘を続行させればそちらのお嬢さんも危険な目に(ry」 女はたった一言で、男は呆れるほどの弁舌を駆使して、なおも戦おうとする二人を諌めようとする。 「くそっ、放せ、放せよ!」 「そういうわけには(中略)君は興奮のあまり一種のトランス状態に陥って(ry  心理学的見地からすれば(ry つまり鎮静作用のある(ry」 (……誰だありゃ? つーか何言ってるんだ、あいつは?) 「ロックさん。大丈夫ですか?」 予想外の展開に困惑していたロックに、ソロが声をかける。 「あ、ああ、オレは平気だけど……お前は?」 「僕は大した事はありませんよ。この盾が有りますからね。  ただ……この子が……」 ソロが自分の腕に、正確に言えば腕に抱えた少女に視線を落とした。 雷撃をまともに喰らったか、あるいはイクサスの攻撃に巻き込まれたか。 少女――バーバラはソロの胸にもたれかかり、ぐったりと眼を閉じている。 「大丈夫か、その子?」 ソロたちの姿を見たファリスが声をかけてきた。 「ええ。呼吸はしっかりしていますから、  気を失っているだけだと思うんですけど……」 ソロの返事に、ファリスは胸を撫で下ろす。 「良かった……いや、さすがに死なれたら後味悪すぎるからさ。  テリー、お前も少しは手加減してやれよな。相手は子供なんだからな?」 「わかったよ、ファリス。今度から気をつける」 異常なまでに素直に頭を下げるテリー。 昨日の血に餓えた剣士としての彼を知るロックにしてみれば、不気味といっていい光景だ。 けれどソロに視線をやると、平然とした様子でやり取りを聞いていた。 少し首を傾げている程度で、驚く素振りすら見せずに聞いているのだ。 ――それはソロ自身がアーヴァインの豹変を目の当たりにしているからなのだが、ロックには知る由も無い。 ともかくロックは開きかけた口を閉じ、二人の奇妙なやり取りを、ソロと同じように静かに見つめた。 つまり、隙だらけだったのだ。 「マヌーサ!」 突然、紫色の霧が辺り一帯に立ち込めた。 驚く一同の耳に、あどけなさを残した少女の声が響く。 「イクサス! 今のうちだよ、早く逃げよっ!」 その言葉に反応し、イクサスは狼狽するラムザの腕を一気に振り払った。 そしてソロの身体を突き飛ばし、バーバラは紫の霧の中へ消えていく。 ラムザとロックが慌てて二人を捕まえようとするが、霧に映し出された幻影に惑わされ、伸ばした腕は呆気なく宙を切る。 そんな彼らをからかうかのように、バーバラの罵声が飛んできた。 「ばーかカーバ、マヌケのおたんこなーす!  人殺しの仲間なんかファルシオンに蹴られて狭間の世界に飛ばされて死んじゃえーだ!」 「なんだと、このクソガキ!」 「テリー!」 激昂して剣を抜こうとするテリーを抑えようと、ファリスが彼の名前を呼ぶ。 その時、不意に足音が止まった。 「……テリー?」 かすかな困惑が、霧の彼方でざわめく。 けれど、それはほんの一瞬の事だった。 「もたもたするな、バーバラ! 置いていくぞ!」 「えっ! ちょ、ちょっと待ってよ!」 イクサスの声に、再び足音が響き――やがて、二人の気配は消えた。 術者を失い、薄れ行く魔法の霧。 イクサス達と入れ替わるかのように、その向こうに一つの人影が滲む。 身構えるロック達だったが、シルエットに気付いたソロが制止した。 「無様だな、ソロ」 アーヴァインの姿がないことに気付いたか、ピサロは冷たい瞳でソロを見つめる。 「……心配して見に来たんですか? 意外と気配り屋だったんですね、知りませんでしたよ」 「貴様がいつまで経っても戻らんからだ。タイムリミットがあるのを忘れたか」 皮肉を軽くいなしながら、ピサロはこの奇妙なメンツをぐるりと見回す。 その眼が、ファリスに向けられた途端、止まった。 「なんだよ?」 警戒心を顕にする男勝りな女の顔。それが、昨夜焚き火の傍で剣を握りしめていた女性の表情と重なる。 「……レナの姉か?」 ぽつりと呟かれたその言葉に、ファリスは眉を跳ね上げ、ピサロを見つめた。 【イクサス(人間不信)  所持品:加速装置、ドラゴンオーブ、シルバートレイ、ねこの手ラケット、拡声器、  紫の小ビン(飛竜草の液体)、カプセルボール(ラリホー草粉)×2、カプセルボール(飛竜草粉)×3、各種解毒剤  第一行動方針:ギルダー・アーヴァイン・スコール・マッシュを殺す  第二行動方針:アーヴァインの仲間であるソロ達を殺す/生き残る】 【バーバラ 所持品:ひそひ草、様々な種類の草たくさん(説明書付き・残り1/4) エアナイフ  第一行動方針:イクサスに着いていく 第二行動方針:自分をハメたアーヴァインに復讐する  最終行動方針:エドガー達と合流/ゲーム脱出】 【現在地:レーベの扉から新フィールドへ】 【ソロ 所持品:さざなみの剣 天空の盾 水のリング グレートソード キラーボウ 毒蛾のナイフ  第一行動方針:状況説明/ヘンリー達と合流し、旅の扉へ移動 第二行動方針:これ以上の殺人(PPK含む)を防ぐ+仲間を探す】 【ロック 所持品:キューソネコカミ クリスタルソード  行動方針:生き抜いて、このゲームの目的を知る】 【ピサロ(HP3/4程度、MP3/4程度) 所持品:天の村雲 スプラッシャー 魔石バハムート 黒のローブ  第一行動方針:事情を聞く 基本行動方針:ロザリーを捜す】 【テリー(DQ6)(左腕喪失、負傷(七割回復)  所持品:雷鳴の剣 イヤリング 鉄の杖 ヘアバンド 天使の翼  行動方針:『姉さん』(ファリス)の敵を殺し、命に代えても守り抜く】 【ファリス(MP消費) 所持品:王者のマント 聖なるナイフ   第一行動方針:レナとバッツを探す 第二行動方針:旅の扉を探す】 【ラムザ(話術士 アビリティジャンプ)  所持品: アダマンアーマー ブレイブブレイド  第一行動方針:二人と共に行動する 第二行動方針:旅の扉を探す  最終行動方針:ゲームから抜ける、もしくは壊す】 【現在地:レーベの村、バーバラ達がいた家の正面付近】

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