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*第333話:自信喪失
「ぐ……ごほっ、ごほっ、…」
綺麗な、黄緑色の草の上にギルガメッシュの赤い体液がぽたぽたと落ちていく。
腹に突き刺さっていた銅剣を、強引に抜き出したせいで余計に体力が失われる。
痛い。シャレにならないくらい痛い。
だが、そんなことよりも、
「ちくしょう…サリィ…」
ギルガメッシュは地面をたたいた。
口は悪いけれど、自分が絶望していたときに励ましてくれたサリィ。
一緒にいた時間はそれほど長くはないけれど、仲間だった。
――正直、まだ、サリィが死んだのだとあまり実感できていない。
それは、『あの出来事』があまりにも唐突で一瞬のことだったからかもしれないし、
…それとも自分は、どこかで自分たちだけは死ぬはずがないと過信していたのかもしれない。
フリオニールの精神状態のことも、どこか楽観視していたように思える。
『なんとかなる』と。
けれども、それはどれもこれも間違いだった。
現に、サリィは殺された。フリオニールに、あっさりと木っ端微塵にされた。
(ちくしょう…俺は……人任せばっかりで…)
クルルの死を聞いて、サリィに励まされたときはしっかりしないと、と思ったのに。
結局、ゲームを脱出するなんていいながら自分はなに一つしていないし、
サリィが一晩かけて、自分のために鍛えなおしてくれたラグナロクまで、フリオニールに奪われた。
…けれども、はたして自分にフリオニールを責める資格があるんだろうか…?
……
これからどうするか。するべきこと、しなくちゃいけないことはたくさん浮かんでくる。
わるぼうを、レオンハルトを、ライアン、カイン、フライヤ、スミス……それにバッツをレナをファリスを探す。
フリオニールを止める。マーダーを止める。ゲームをぶち壊す策を考える。協力者を探す。
けれども、そのどれもが今の自分では成し遂げられないことのようにさえ思える。
「はぁ……会わせる顔がないっつーのは、このことだな…バッツ……」
独り言を言いながら。ギルガメッシュは痛む傷口を押さえながら、ふらふらと立ち上がる。
…ひとまず傷の治療だ。これからのことは、そのあとで考えよう…。
そう思い、遠目で確認できる村へと向かうことにした。
【ギルガメッシュ(HP1/3程度・無気力状態)
所持品:厚底サンダル 種子島銃 銅の剣
第一行動方針:カナーンへ向かい、傷の治療】
【現在位置:ジェノラ山ふもとの平原】