425話

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*第425話:go by 傍らでは怪我を負った全身赤い服の男がときおりうわごとのように人の名を呼んでいる。 とりあえずベホイミで傷を塞いだところ疲労が蓄積していたのだろう、男はそのまま眠りに落ちた。 応急処置として複数回かけておいたが、この世界ではその効用は疑わしい。 故に早いところ適当な屋内へ移動してこの男を休養させたいところなのだが、 そのパパスの思いは残念ながら叶ってはいない。 壁の内側にある町はしばらく静かなままだが、様子を見にいったオルテガも帰ってこないまま。 下手に動くこともできずにただ時間だけが過ぎていく。 「すまねぇ…バッツ……」 また、誰かの名を呟いている。 彼がうわごとで繰り返す名前は数人。 回数が多いのがバッツとサリィで、次にレナとファリス。そしてクルルという名も。 うちクルルの名前は放送で聞いた覚えがある。ファリスには会ったことがある。 バッツはその彼が仲間と言っていたか。妹がいるとも言っていた。 おそらく彼らは同じ世界、あるいはこの世界での仲間なのだろうと判断したが、 なぜ謝り続けているのかはパパスにはわからないままだ。 仲間を助けられなかったこと、仲間を助けられないことへの悔いだろうか。 普段より近く見える午後の青空を眺めながら、 パパスもまたこのゲームに参加させられた不幸な仲間、そして子供達のことに思いをはせる。 サンチョ。頼りになる男だった。だがもう、この世界に彼の愛嬌ある姿はない。 ヘンリーとデールの兄弟。思えばラインハットでの出来事は彼らにとっても不幸なことだった。 ビアンカ。息子の幼馴染で、そういえば随分勝気な娘だったな。 そして未だ出会うことのない息子、リュカ。 名簿で見た4人は既に成長した姿であったが、今彼らはどうしているのだろうか。 姿の変化は戸惑うだろうが、自分の記憶ではみな愛すべき子供達のままだ。 何とか生き延びていてくれればいつか会うことはできるはず。 町を囲む壁から伸びる影が少しずつその長さを増す中、パパスはただ、じっと待っている。 後方に見える建物に常に気をつけながらイザは剣を手にゆっくりと町を探っていた。 二人と別れたあとはとりあえずすぐに魔法屋の安全を確認。 そこではたと思い当たる。この町で戦闘があったことは疑いない。 だからその一方の当事者があのスライムナイトだとして、その相手が必ずいるわけだ。 背中に冷たいものが走る。 どうして、悪い方の予感を排して考えることができるだろう。 そいつが他人を殺してまわっている悪人ではない、なんて、だれも証明してはくれない。 フラッシュバック。刀に貫かれるリディアの姿。 だから、多少誇張してでも危険とけが人がいたときの救急治療の必要性を説いて、 ロザリーには屋内で救護用の結界を張ってもらうことにした。 向かいにあった建物は武器屋、でも今は中を調べる余裕は無い。 後ろに注意のポイントを背負ったままでは広い範囲を探索するなど不可能で、 川の向こう、つまり町の西側などとても無理だ。 とりあえず見てきた範囲では特に何も見つからず、イザはいくらか安堵した。 残りはサイファーが(できるなら一緒にアルスも)帰ってこないと仕方ないだろう。 この世界でのここまでの経験で実感したことは、 自分が強くないということ。願うことすべてをやり遂げるような強さなんかないということ。 負傷者を見つけたら当然助ける。しかし、まずは自分を、手にした仲間を、 守らきらねばならない。 周囲に危険がないことは確認し、とりあえず魔法屋まで戻ってきた。扉を開く。 「あ、イザさん。お帰りなさい。誰か…いましたか?」 「いや、この近くには今は誰もいないみたいだ。ところで結界のほうは?」 室内には魔法陣が描かれ、あちらこちらにアイテムが配置されている。 「ええ、大丈夫。この本があれば私でもできますから。  それにしても、ずいぶん経ちますね。お二人はどこまで行ったのでしょう」 イザはほんの少しだけ最悪の事態を想定するが、すぐに振り払う。 手の届かないことについては、信じるほかない。 ザックスが時々筆を休めるなか、時間をかけて状況説明が続いていた。 オルテガは彼が伝えたいところを自らの考えで補いながら話を整理する。 初めに描かれたのはたまねぎ、いや目がある。オルテガはスライムだろうと理解した。 その上に鎧をまとった何者かが乗っている。これはオルテガの知識の範疇に無い。 ザックスはその絵の下に『モンスター』『おそわれた』の字を加える。 それからオルテガの目線を確認して、 『まほう→口』、そして書いた口の字に×をつける。 「スライムの上に乗った何者かに襲撃され口が使えなくなった。それでいいか?」 うなずくザックス。 次に『テリー』と書き丸で囲む。確か、そういう名で呼ばれていたはず。 その横に同じく丸で囲み『なかま』、二つの丸を線で結ぶ。 それらの下に『ごかい、バトル』の文字を書き加えると、ふむ、と相づちがはいった。 筆代わりの棒で注意を引き、先ほど書いたスライムの騎士を指す。 少し考えたあとそこに『りだつ→再アタック』と書き加えた。 「むぅ…。片方はテリーという名の二人組の第三者がさらに参戦し、やむなく交戦。  その隙をついて最初の奴が逃げた振りから奇襲をかけてきた? …でいいのか?」 初めは吟味するように小さく、そして追認するように大きくうなずくザックス。 そして『なかま』に×を重ね、『テリー』から矢印を延ばしその先に『とうそう』、 新たに『自分=きぜつ』を書き足した。 「その奇襲でテリーとやらの仲間がやられ、テリーは逃走。  そなたも気絶したというわけか。そこまでか?」 ザックスは再び大きく首を縦に振り肯定を示した。 「ふむ…私もそなたを見つけてすぐ場を離れたからわからぬな。  ではあの近くに死体、そしてそやつがいたということか。  だが、まずは私の仲間と合流するとしよう、少し待たせすぎたかもしれん。  続きはそれからだな。……立てるか?」 カナーンの町はジェノラ山や北の山地に連なる東側と北側が高くなっている。 街並みを一望できるその北の高台にはためく白いコートがあった。 アルスはどこかへ飛ばされてしまったし、あのモンスターにも逃げられてしまった。 こうなれば早いところあいつらのところへ戻らねぇと。 駆けていた間も止まっている今も、時間とともに漠然とした嫌な不安が足を急き立てる。 少しの間だけ立ち止まった眺望に別れを告げ、一気に町へ駆け下っていく。 「しかしあいつらは今どこにいるんだ? …落ち合う場所くらい決めときゃよかったぜ。  もしかして町中探すしかねぇのか?」 そうしてサイファーは町の中心部へ向け急ぐ。 今そばを通り過ぎた魔法屋の中に二人がいるなどと思いもせずに。 ザックスを連れパパスたちと合流したオルテガは 簡易に事情を説明するとその足で町の中へ向かうことを提案した。 即座に同意し、パパスは立ち上がると眠ったままのギルガメッシュを背負う。 目的は、テリーの仲間を弔うことと休憩に適した屋内への移動。 この町で倒れた者が昨日別れた相手だとは思いもせずに。 カナーンの空もいつしかほんの少しずつ青から赤へ移りつつあった。 【ザックス(HP1/4程度、口無し状態{浮遊大陸にいる間は続く}、左肩に矢傷)  所持品:バスターソード  第一行動方針:オルテガ達と情報交換  最終行動方針:ゲームの脱出】 【オルテガ 所持品:ミスリルアクス 覆面&マント  第一行動方針:死者の埋葬と休憩場所の確保、それからザックスと情報交換  第二行動方針:アルスを探す  最終行動方針:ゲームの破壊】 【ギルガメッシュ(HP1/3程度・睡眠)  所持品:厚底サンダル 種子島銃 銅の剣  第一行動方針:不明】 【パパス 所持品:パパスの剣 ルビーの腕輪  第一行動方針:死者の埋葬と休憩場所の確保、それからギルガメッシュの治療  第二行動方針:仲間を探す  最終行動方針:ゲームの破壊】 【現在位置:カナーンの町の東→カナーンの町へ】 【イザ(HP3/4程度) 所持品:ルビスの剣、エクスカリパー、マサムネブレード  第一行動方針:サイファーとアルスを待ちつつ待機。負傷者がいたら救う  基本行動方針:同志を集め、ゲームを脱出・ターニアを探す】 【ロザリー 所持品:世界結界全集、守りのルビー、力のルビー、破壊の鏡、クラン・スピネル  第一行動方針:同上  基本行動方針:ピサロを探す 最終行動方針:ゲームからの脱出】 【現在位置:カナーンの町・魔法屋】 【サイファー(右足軽傷)  所持品:破邪の剣、破壊の剣 G.F.ケルベロス(召喚不能) 白マテリア 正宗 天使のレオタード ケフカのメモ  第一行動方針:ロザリーとイザを探す  基本行動方針:ロザリーの手助け  最終行動方針:ゲームからの脱出】 【現在位置:カナーンの町・中央の橋】

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