172話

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*第172話:ささやかな もう夜になって数時間経っただろうか。 辺りは暗くなり、空には月が出ているものの、さすがに、はっきりと周辺を見回すことはできない。 目薬草はものを見る際の集中力を高める効力なのであり、人間の限界を超えた視力を手に入れられるような効果ではない。 昼間さえ見えにくかった城下町はさらに見えずらく、森は木々が邪魔でまったく見えない。 偵察の意味は薄まっている。 「そろそろ動くべきか」 床に置かれてあった剣を取り、これからの経路を考える。 (あの狂った『魔物』は北へ行ったようだが、公爵様似の銀髪男たちは王城方面へ、さらに禍々しさを漂わせる女もその周辺、か。 ここは離れ小島、この塔に軍事的な意味があるとすれば、1階のどこかに小型の船があるはずだ) 一応戦闘準備はしていたものの、アルガスは誰とも遭わず、一階まで降りてきた。 この塔にはもう誰もいないのかと思ったとき、どこかからささやくような、そんな小さな声が聞こえる。 ――この子も不憫じゃて…まだ幼いというのに、こんな理不尽な出来事に巻き込まれた上、妹まで亡くしてしまうとは…    ほれ、目の周りが真っ赤じゃろ。泣き疲れて眠っておるわ… ――僕も妹を亡くしていますから、この子の気持ちもよく分かりますよ    それに、もう一人の妹までもがこのゲームとやらに参加させられているんです。    絶対にこんなゲームは絶対に止める。大切な人を失いたくもないし、命を奪いたくもない…!! ――イザよ、少し静かにしろ、そして落ち着け。 (地下に少なくとも4人、少なくともゲームには乗らない、か…) ――…上に誰かいるな。ニンゲンの匂いがする… ――…様子を見てきます。 どうもこちらに気付いたらしい。地下の二人がこちらに向かってきているのが分かる。 ゲームに乗る気がない上、脱出を企んでいる、接触しておいて損は無いだろう。 アルガスは剣をしまい、相手に先に声をかける。 「まずは武器をしまってくれ。俺はヤル気なんかねぇぜ。ゲームを止めるんだろ?詳しく話を聞かせてくれ」 「…まずはこっちへ」 イザがアルガスを宿屋に連れ込んだ。 ドルバは部屋の隅に位置し、ギードは机の上に陣取り、ルカは眠っているが、ときおり人の名前をささやいている。 「ガキにカメにドラゴン、か。妙な組み合わせだな。で、まずはどうやって脱出するんだ?メドは立ってるのか?」 「実は…まだ全然なんじゃ。首輪は魔法で制御されているのではないか、とは予測は付くんじゃが…確証が持てん」 「首輪を使って色々試してみればいいじゃねぇか。死体はその辺にごろごろあるだろ?」 「実は…刃物も無いんだ。それに、首輪の構造自体もまだよく分かっていないんでね…」 「つまり、まだ何も進んでねぇってことだな。話にならねぇ、時間の無駄だったか。  結局は自分では何も出来ない烏合の衆ってか」 「なんじゃと!?お主、少し言い過ぎじゃぞ!」 「ギードさん、抑えて下さい、ルカ君が起きてしまいますよ」 相変わらず、ルカは眠っている。ときおり、「イル…」とささやくのが何とも痛々しい。 イザがアルガスに向き直って言う。 「確かに僕たちはまだ何も成果を出してはいない、  けれど、一人一人のささやかな抵抗の波が、やがて大きな波につながると信じています。  一人一人が動かないと、何も変わらない」 「まるでラムザみたいなヤツだな。甘チャン同士、ウマが合うと思うぜ?…まあ、一応期待はしておくか」 アルガスが参加者名簿を開く。 「銀髪は全員ヤバイと思っておけ、あとこの赤魔道師と貴族、それからこの女も危険だ。  一応情報はやったからな、まぁ殺されないようにせいぜい頑張ってくれ。  それから、脱出方法が見つかったら、俺にも知らせてくれよ」 再び一階に戻り、塔を出たアルガス。塔内部に船が無いため、外壁に立てかけられていないかと探し回っていたのだ。 一周まわる内に見つけた、りゅうおうの死体と、カンダタの死体。 もとの臭いに加え、時間が経っていることもあり、悪臭が立ちこめている。 そしてカンダタの周りには、オールと小さなカヌーが散らばっている。 「お、あったあった。船はたったこれだけか?まあいい」 アルガスは湖の向こう、セシル達の遺体の放置場所へと船を漕いでいった。 船はさざ波に揺れながら、ゆっくりと進んでいった。 【ルカ(睡眠中) 所持品 霜降り肉、ほしふりのオーブ】 【ギード 所持品 不明】 【イザ 所持品:きんきらの剣、エクスカリパー、マサムネブレード】 【ドルバ 所持品:不明】  第一行動方針:協力してくれそうな人を探す  最終行動方針:同志を集め、ゲームを脱出する 【現在位置:ナジミの塔宿屋】 【アルガス(視覚聴覚向上) 所持品:カヌー(小型折りたたみ式、カンダタから回収)、兵士の剣(カンダタから回収)  第一行動方針:多くのアイテムを集めておく。 最終行動方針:どんな手を使ってでも生き残る。もちろん、脱出に便乗もアリ】 【現在位置:ナジミの塔東】

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