231話

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*第231話:Persuader セフィロスは奇妙な光景を見た。 発破をかけた直後に、人間が一人出てきたからだ。 一人で自分に勝てると思っているのか、それとも玉砕覚悟か。 「あのー…」 「なんだ」 緊迫感の無い声で、パウロは話しかけた。 「ここで僕が勝ったら、潔く下がってくれますか?」 「クク…下らない事を。…私に勝つというのか?」 「大丈夫です、どんな事をしてでも勝つつもりですから」 それは、自分に言い聞かせているようだった。 そしてパウロは破壊の剣を正眼に構えた。 少し体がぎこちなくなったのを感じたが、すぐにその呪縛は解ける。 金縛りにあう前に倒すか、または退けさせなければならない。一瞬でも硬直したら終わりだ。 「では、行きます」 「独りで往け」 パウロとセフィロスが、ほぼ同時に突進した。 それが、この戦いの始まり。 パウロの目が、変わった。 お互いの剣と剣がぶつかり合った。 火花が散らんかのように勢いよく競り合う。 セフィロスは微笑を浮かべた。 こうなれば主導権はすぐにこちらに移るだろうと睨んだのだ。 相手の剣を弾き飛ばし、そして一閃。それだけで終わる。 だが、破壊の剣はそうさせなかった。 「何!?」 信じられないが、剣を持ったまま前進し始めたのだ。 鍔迫り合いをしながらも、少しずつ後ろに押されていく。 このままではまずい。セフィロスは競り合いを止めようと一瞬力を弱める。 おそらく流して力を押し込めるつもりなのだろうが、それが不覚だった。 ずざざざざざぁ!! なんと、先ほどは少しずつ押すのみだったパウロが走り出した。 勿論、剣と剣を重ね合わせたまま。 「なんだとッ!?…有り得ない、馬鹿な!」 故に、セフィロスはすごい勢いで押されていく。 地面と足を密着させているはずなのに、鍔迫り合いの体勢なのに。 何故この男はその華奢な体でこんな化け物染みたことができるのか! 「滅茶苦茶な事をしてく 言葉を言い終わる前に、後ろにあった建物に体をぶつけられた。 そしてそのまま、パウロががむしゃらに斬撃を起こす。 だが、そのときパウロの体が一瞬固まった。 「くっ…この私が……」 その間に、武器防具屋を背にして少し下がったセフィロス。 落ち着きを取り戻そうとするが、奇妙な感覚が襲う。 「恐怖しているというのか…私がこんな小僧に!」 パウロがまた立ち上がる。 そして、セフィロスを睨んだ。 その時…セフィロスはようやく気づいた。 あの男の目は最早、先ほど自分が女を殺したときに見たあの男の目ではない。 ただの…殺人鬼の目だ、という事に。 ―――破壊の剣は、装備者に恐ろしい力を与える。 だが、その代償は時々襲い掛かる金縛りと、 「斬る…」 殺意の衝動が、その身に湧き上がること。 勿論セフィロスはそんな効果を剣が持っているという事を知る由も無い。 だが勿論パウロは知っていた。自分が呪われた戦士になることなど、百も承知だ。 「さぁ、逝って」 その言葉とともに、相手はあの武器防具屋の傍に立っているにもかかわらず、剣を振りかぶった。 セフィロスは全力で避けた。おかげで建物にも攻撃があたったが、バリアには支障は無かったらしい。 そしてセフィロスも完全に避けたわけではなかった。 左肩から、血が噴出すように流れていた。 「――――成程な」 サイファーが、建物の中からその光景を見ていた。 そして独り納得する。 『ね?この結界が狙われたら、サイファーさんがここを守らないと。  城下町の外から誰かが助けに来るまでここは守り抜かないと。  それに…結界の中にいれば多分巻き込まれないで済むから』 ようやくパウロの…あの言葉の意味がわかった。 パウロは今、あの剣のおかげか何かは知らないが力を持て余している。 制御が効かない部分があるのだろう。建物にまで斬りつけたのはその証拠。 だが、このバリアは支障が無かったらしい。大きく安堵のため息をつく。 「ん?トンヌラ…どうしたの?」 テリーの声が聞こえた。 どうやらあのトンベリが何かを言っているらしい。 サイファーが尋ねると、テリーは静かに答えた。 「今戦ってる二人は、自分にとってはどっちも魔物に見える…んだってさ」 「どっちも?」 確かに、さっきのパウロの目は普通じゃない。 理由はわからないが、違和感を感じる。先ほどここで見せていた姿とはかけ離れている。 嫌な感じがする。 「まあ…大丈夫だろ」 そう呟くと、またサイファーは戦況を見守った セフィロスは剣をパウロ目掛けて薙いだ。 だが、咄嗟に破壊の剣でふさがれる。 そしてそのまま、あの力でもってセフィロスは吹き飛ばされた。 地面にうまく着地するものの、数mは地面を滑っていく。 だが、休む暇は無い。 またパウロが肉薄で突進してきたのだから。 セフィロスはその姿を、数刻前の自分の姿をダブらせていた。 そしてそのまま自らもまた肉薄して村正を振りかぶった。 破壊の剣と村正がぶつかり合った。 またも同じような鍔迫り合い。悪夢が見える。 セフィロスはそのままパウロを吹き飛ばし、 パウロもまたセフィロスを吹き飛ばした。 セフィロスは気づかなかったが、背後には街を囲う城壁があった。 そしてそのまま気づかずに城壁に体をぶつけた。 レンガで組まれた壁が、先ほどの破壊の剣の会心の一撃によって崩れていく。 勿論自分の村正の攻撃の所為でもあるのだが。 そのレンガと共に、そのまま街の外へとセフィロスは吹き飛ばされた。 いくつもの崩れるレンガが体にぶつかった。セフィロスは流血し、意識を失いかける。 パウロも同じだった。村正の斬撃を受けて後ろへと吹き飛ばされていく。 破壊の剣とも言えど、村正の…ましてやセフィロスの全力の攻撃は完璧には封じられなかった。 斬られた腹部から大量に血が流れる。思いきり剣を振り回した自分の両肩も、もはや限界だ。 戦いが終わって戻ってくる自我と、自分を襲う金縛りの感覚に身を委ね、朦朧とした意識を、彼は手放した。 「クク…ククク……どうだ、私は立っているぞ…!」 笑みを浮かべて、セフィロスは血みどろで立ち上がった。 だが、正直分が悪い。こうなると退散するより他は無い。 自分にはジェノバ細胞がある。時間は恐ろしくかかるだろうが…傷は回復するだろう。 「体力は…保障できないが……な…」 セフィロスは自嘲した。 今回の敗因とも言うべきものは、自分の体力。 クラウドのメテオによって疲弊した体が、あの男の斬撃に着いてこれなかったのだ。 「いつに無く……無様なものだ…」 そのままゆっくりと、セフィロスは南へと歩いていった。 時々失いそうになる朦朧とした意識を、押さえ込みながら。 「クジャよ…すまないが暫く孤独に戦ってもらうぞ……。  約束が守れるかどうか…それが気掛かりでならないが…………」 吹き飛ばされたパウロは、そのまま地面へと落下した。 そしてそのまま勢い良く転がって、そして止まった。 血が大量に流れている。とても危険な状態だ。 だが暫くすると、なんとまた立ち上がったのだ…セフィロスの様に。 ―――だが、その目は焦点が合っていなかった。 足も既にボロボロだ。立ち上がったはいいが、すぐにまた倒れてしまった。 「やっぱり……一人じゃキツかったか…」 パウロの目から涙がこぼれる。 「セリス…ごめん。結局僕も、死んじゃうよ……はは…」 意識が薄れていく。 もう駄目だ、自分は死ぬのだろうと悟った。 「ロラン…ムース……僕は―――――」 言葉が、最後まで紡がれることは無かった。 【サイファー(負傷、若干は回復) 所持品:破邪の剣 G.F.ケルベロス(召喚不能)  現行動方針:結界を護る 基本行動方針:ロザリーの手助け 最終行動方針:ゲームからの脱出】 【ロザリー 所持品:世界結界全集、守りのルビー、力のルビー(ルビーの指輪)、破壊の鏡、もう一つ不明  現行動方針:祈り、呼びかける 第二行動方針:ピサロを探す 最終行動方針:ゲームからの脱出】 【テリー(DQM) 所持品:突撃ラッパ 行動方針:ロザリーを守る 【トンベリ(トンヌラ) 所持品:包丁(FF4) スナイパーアイ  現行動方針:テリー達を守る 第二行動方針:わたぼうを探す 最終行動方針:ゲームから脱出する】 【セフィロス(HP1/10程度) 所持品:村正  手榴弾×4  現行動方針:どこかに潜伏し、体力を回復する 最終行動方針:参加者を倒して最後にクジャと決闘】 【現在地:アリアハン城下町→南へ】 【パウロ 死亡】 【残り 91名】

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