221話

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*第221話:アリアハン夜の戦い、中盤戦 上 がらがらと音をたてて、家々が崩れてゆく。 クジャは、それを満足そうに眺めていた。 「あははは…素晴らしいよ…破壊のなんと美しいことだろう!  まさに最高のエンターテイメント、でも、これはまだ余興。  本当のお楽しみは、これからさ…恐怖に歪んだ愚かな虫を、  一匹、一匹、少しずつ、潰していく…原型もとどめないほどに。  甲高い絶叫をBGMにして、この舞台はひとまず幕を閉じる…」 クジャはなお自分の周りに炎をたて、その中にいる自分に陶酔していた。 しかし、それは遮ぎられる。 彼自身よくしった、かつて自分を葬り、助けた男の声。 劇は場面を進めた。 「クジャ!」 クジャは一瞬はっとした。名を呼ばれたのは、久しぶりだった。 しかしすぐに、目の前で自分を睨み付ける少年に目をやると、ふっと口元を緩めた。 「ジタン。また会えて、嬉しいよ」 白々しくそういうと、ジタンは拳を握りしめて、再びその名と疑問の声を投げかけた。 「クジャ…なんでだ?どうしてなんだ!?」 「なんで、だって?それはいったい、何について尋ねているのかな?」 ジタンは一瞬怯んだようだった。だが、目を見据えて、 「何に…何に?そんなの、決まってる…全部、全部だ!」 「全部?」 クジャは愉快そうに笑った。それにも関わらず、ジタンはさらに勢いこんで叫んだ。 「そうだよ…全部、全部だ!クジャ、なんでおまえが、ここにいるんだ…?  どうして、また、こんなことをするんだ?どうして…どうして、俺とおまえが?  なんで、なんでこんなことになってるんだよ!?」 それは、クジャの行為への疑問と言うよりは、いままでの思いを吐き出していたのかもしれない。 「…できるなら、僕がききたいね」 暫く、沈黙が流れた。二人はただ、互いに視線を交錯させた。 「…怒らないのかい?」 ふと、クジャが尋ねた。 「怒らない…だって?馬鹿言うなよ、怒ってるさ。おまえが想像もつかないくらいな」 「じゃあ、なぜ…トランスしない?」 「…しないんじゃない。できないんだ」 クジャは不思議そうな顔をした。 「できない?この状況でまだ、できないのかい?」 「…」 「ふふ…それはそれは、おかしなことをいうじゃないか。  君がその力を出し切れば、もしかしたら僕を倒せるのかもしれないのに?」 ジタンは、やり場のないような目をクジャに向けて、言った。 「クジャ…おまえは、ほんとうに、もう…」 右の手のひらを軽く広げ、ゆっくりと上へ持ち上げた。 「…それ以上のおしゃべりは、やめてもらおう」 その声と、上空の手のひらをはっきりと広げたのは、ほぼ同時であった。 手の中いっぱいに火球ができ、それは瞬時にして、幾重もの放物線状に連なった火の柱となり、轟音をたててジタンへ向かった。 ジタンは身をかがめ、タイミングを合わせて跳躍し、軽やかにその火をかわしてゆく。 目標を失った炎は、地面にぶつかると同時に、その凝縮されたエネルギーを放出し、大きな爆発音と共に散ってゆく。 爆風で舞い上がった破片を体に受けながら、ジタンは石を握ると、それをクジャに向けて投げた。 クジャほどのレベルのものを相手に、通常そんなことはほとんど意味をなさないが、今回に関しては功を奏した。 その理由はごく簡単だ。ジタンの狙った先は、クジャの顔面だったのである。 ナルシストな彼は、自分の顔に傷がつくのを恐れ、魔法の詠唱をいったん中止し、その石をよけた。 それを好機に、ジタンは一気に大地を蹴り上げると、クジャに向かって拳を振り上げる。 自分の間合いにジタンが入ってきたのを感じたクジャは、魔法を使うのをやめ、手刀でジタンの拳を受け止めた。 クジャはジタンの攻撃を避けると、下に向けて小さな魔法をうつ。 刹那、ジタンを粉々く砕けた粉塵がおそい、その隙にクジャは後ろへ飛ぶと、再び間合いをとり、 よろめくジタンに向けて、先までの魔法とは違う、大きな光の炎を放った。 埃をはらい目をこすりあげ、かつて戦った眼前の光を見ると、ジタンは横に避けようとした。だがそれは、遅すぎた。 もはや聞き慣れた爆音と共に、ジタンは自分が宙にいるのを知った。 視界には、不愉快な笑みを浮かべているクジャがうつっていた。 中 「この爆発を起こした犯人は向こうにおるんや。こんなとんでもないことをするやつや、エラい強いに違いありませんわ」 「それはわかるけど…これから、どうするの?」 周囲を見回して、不安げな声でリノアが言った。ジタンは一人敵の元へと行っているのだ。 あたりには、いまだ消えていない炎の柱が点在し、夜だというのに、街の中は嫌な暖かさに包まれている。 「一人でつっこむのは危険だね。といって、広範囲の攻撃手段をもつ相手に、固まって戦うのも危険だ。  2グループにわかれて、一斉に攻撃をしかけるのが、無難だと思うけれど。…あまり待っていたら、状況は酷くなるよ」 せわしなく目を動かしながら、やや早口に、リュカが言った。その目はなお、まだ見ぬ息子を捜し求めている。 そんなリュカの気持ちをしってかしらずか、ケット・シーは明るい声で相づちをうった。 「おっ、リュカさんええこといいますなー。たしかに、ここで考えてたってらちがあきませんわ。  それに、いくら相手が強いゆうても、みなさん戦えるんなら、協力すればきっと勝てます!」 「よし、決まりだ、行こう!」 いうがはやいか、足早にリュカはその場を去った。 「ちょ、ちょ、リュカさんそらないで!…あ、じゃ、ボク先いってますんで、おふたりさんも早くきてくださいよ!  …あーもう、リュカさん足早いですって!それじゃ一人で突っ込むような…」 ぺたぺたとリュカの後をいくケット・シーの姿は、少しコミカルで、 二人の張り詰めた空気は少し和らいだ。緊張を解く場面ではないのだけれど。 キーファとリノアは顔を見合わせて、ほんの一瞬だけ、くすっと笑うと、二人のあとを追いかけた。 下 どさっ リュカの眼前に、放物線を描いて、金髪の少年がうつ伏せに倒れこんだ。 「く…くそ…」 「…レックス…レックス!?」 少年は顔を上げた。 15,6ほどのやや幼さの残る顔立ちに、毅然とした青い瞳がアンバランスに輝いている。 「あ…」 リュカは思わず気の抜けた声を漏らして、ジタンの顔を見つめた。 「…なんだ、あんた。ここは危ないぜ、怪我したくなかったら、早く逃げるんだ」 鋭いジタンの声に、リュカははっと目を凝らし、爆炎の向こうで佇む、銀髪の彼を見た。 「…ちょっと、リュカさん、待ってくれんと困りますわ…って、うわあ!誰ですかこの人!?」 やや遅れてやってきたケット・シーは、クジャよりも倒れている少年の姿に驚いたようであった。 「ふふふ…ジタン、なんとか、直撃は避けたみたいだね」 クジャの声が聞こえる。 「…避けた、だって?」 冗談じゃないと、ジタンは思った。 直撃を避けられたのは、自分自身の力ではなく、クジャの意図によるものだ。 (少しずつ、いたぶりながら殺す気か?) 相変わらず、不敵な笑みが、そこにはあった。 (いや…違う。待ってるんだ) 「おやおや、よくみてみると、新たなゲストがお見えのようだ。お城の中にいたのかな?  …ふふ、三対一、ジタン、よかったね、勝機が見えてきたんじゃないか?クックック…」 (待ってる…俺が、トランスするのを) 口の中に入った土をぺっと吐き捨てると、ジタンは再びその体を起こし、目の前の敵に対峙した。 「レックスは…レックスは、どこだ!?」 リュカが、余裕たっぷりに笑っているクジャに向けて言った。 「レックス?ああ…あの、無鉄砲で馬鹿な男の子のことかい?  さあねぇ…なにしろ、爆風でどっかにふっとんじゃったものだから…  僕のフレアスターを直撃で受けたんだ、果たしてまだ生きてるかな?  まあ、生きてるとしても、無様にそこらを這い蹲ってるだろうね。  …知り合いなのかい?愚かだよねぇ…機を見て戦えば、それなりに強かったんだろうに。クックック…」 堪えきれないように、クジャは肩をゆらした。 「き、貴様…!」 「リュカさん、駄目です、おこっちゃあきません…あきません…」 ケット・シーが、今にも飛びかかりそうなリュカを、必死になってなだめた。 この相手に、感情的になって無防備につっこむことは、すなわち死を意味する。 そのとき、クジャの目が上を向いた。 「え?」 つられて、ジタンたちも天上を見上げた。 ゴオオオオオオォォォッ! 「…隕石?」 ジタンが、ぼそっと呟いた。 次の瞬間、彼らから少し離れた場所で、凄まじい音と衝撃が起こった。 【ジタン 所持品:英雄の薬、厚手の鎧、般若の面  第一行動方針:クジャを倒す 第二行動方針:仲間と合流+首輪解除手段を探す 最終行動方針:ゲーム脱出】 【ケット・シー 所持品:正宗 天使のレオタード  第一行動方針:クジャを倒す 基本行動方針:リュカを守る】 【リュカ 所持品:竹槍 お鍋(蓋付き) ポケットティッシュ×4 デスペナルティ スナイパーCRの残骸  第一行動方針:クジャを倒す 第二行動方針:レックスを探す  基本行動方針:家族、及び仲間になってくれそうな人を探し、守る】 【クジャ 所持品:ブラスターガン、毒針弾、神経弾  第一行動方針:皆殺し 最終行動方針:最後まで生き残る】 【現在位置:アリアハン城外】  【キーファ 所持品:攻略本 釘バット(FF7)  第一行動方針:戦闘に入る機を窺っている 第二行動方針:フィンと合流しゲーム脱出】 【リノア 所持品:賢者の杖 ロトの盾  第一行動方針:同上 第二行動方針:スコールを探す+首輪解除手段を探す 最終行動方針:ゲーム脱出】 【現在位置:クジャたちの傍】

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