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*第46話:それぞれの選択
「ザックスさん、どうして私を信じてくれたんですか?」
ルイーダの酒場二階のカウンター。男女が二人、語り合う。
ただし、明かりはない。酒もない。代わりに並ぶのは、水とレーダーと丸い球体が幾つか。
何かと聞いたら知らないと答えるので、試しに投げたら煙幕と分かった。
「うーん…、実のところは、誰も信じていないんだ」
「え?」
「誰も信じられないのなら、誰を信じようと一緒だろ?だから、たまたまさ」
シンシアはザックスの返す言葉に寂しそうな顔をした。
「御免な…、嘘つくの苦手なんだ、正直に言わせてもらった。こんな時だしな」
「…そうですよね、もう殺し合いは始まってますからね…」
この『ゲーム』が宣言されたとき、ザックスは死を覚悟した。
全く面識の無い自分を仲間にする人間はまずいないだろう。
無視されるか、さもなくば殺されるかのどちらかになる。ならば、流されてみようと考えた。一旦そう決めてしまうと、あとは楽だった。
「信じてもらえてなくても、ザックスさんと一緒にいられてよかった。心が休まりますよ。
なんでそんなに落ち着いているんですか?」
あんたがやかましいだけじゃないのか、と目の前の少女をほほえましく思いながら。
「まあ…、どうせ俺は死んでいたし…いっぺん死んだと思えば、なーんも怖いものはねえしな」
シンシアはそれを聞いて、丸い目をますます大きく見開いた。いい笑顔だ。
「私も実は一度死んでいたんですよ。
魔族が攻めてきてソロを守って…、そうそう!魔族の王すら欺いて死んだんですよ」
「そうか…、ならあんたも、こんなん余裕だな」
「もちろん!あー、なんか、元気になってきたなあ」
明るくて実に気のいい、隣ではしゃぐ男と、遺言代わりに語り尽くそう。
ザックスとシンシアの談合は、まだまだ続く。
【ザックス 所持品:スネークソード 対人レーダー
行動方針:シンシアと語り合う】
【シンシア 所持品:万能薬 煙幕×3
行動方針:ザックスと語り合う】
【現在位置:ルイーダの酒場二階】