57話

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*第57話:ストレンジャー ザックスとシンシアはルイーダの酒場を出て、アリアハンの城下街を歩いていた。 「しかし、このアリアハンって街は殺風景でいかんな~。 ミッドガルみたいなごちゃごちゃした所に慣れすぎたのかもしれんけど」 「そうですか?私は山奥暮らしでしたから結構新鮮ですよ、ザックスさん」 この二人はこのゲームの開始以来こうしてアリアハンの街をさまよっている。 殺し合いが始まっているという現実感はいまいちこの二人にはなかったが、 それは幸運にも『やる気』になっている参加者に遭遇した事がなかったからかもしれない。 ふとシンシアがザックスから預かったレーダーに目をやると、すぐに異変に気付いた。 「い、いけない!」 「どうしたんだ?」 「しばらく目を離していたら誰かが凄いスピードで近付いて来ている反応があるんです! ‥‥あ、も、もう、すぐ後ろに‥‥。」 後ろを振り返ると、そこにはオートボウガンを構えた男――ランドが立っていた。 終わった、シンシアはそう思った。 不思議と怖くはなかった。 ザックスが横にいるお陰かもしれない。 だが、その男、ランドの口から発っせられた言葉はシンシアにすれば意外なものだった。 「く、来るな!来ないでくれぇ!!!」 ――は? 柄にもなく、覚悟を決めていたのに‥‥。 シンシアは全身から緊張が抜けていくのを感じた。 「なんなんだよ、あんた。そんな物騒なもん持って。とっととしまってこっち来いよ」 「い、嫌だ!どうせ油断したところを殺すつもりだろう‥‥?早くどっかに行ってくれよ!」 「しょうがないやつだな~。 俺らはゲームに乗るつもりはないぜ。ほら、両手を上げるから」 この人は本当は凄い器なのかもしれない、そう思いつつシンシアもザックスに続いて 両手をあげた。 「…そうか、さっきまでここで戦闘があったのか。それをあんたは物陰から目撃したと?」 「あ、ああ。それで少し気を取り乱していたみたいだ、すまないな…」 それ以上言葉にならなかった。 ようやく落ち着いてきたランドを尻目にザックスは何やら考えだした。 「このまま殺されるのも何かしゃくだな~。なんとか、主催者の奴らに一泡吹かせてやりてえな」 本当にこの人は‥‥。 シンシアはザックスの目に闘志が宿り始めている気がした。 【ザックス 所持品:スネークソード   行動方針:主催者に一泡吹かせる】 【シンシア 所持品:万能薬 対人レーダー 煙幕×3   行動方針:ザックスについて行く】 【ランド 所持品:オートボウガン ミスリルスパナ 魔法の玉   行動方針:とりあえずザックスたちについて行く】 【現在位置:アリアハン城下街】

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