3話

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*第3話:ジタンの現実 あの衝撃的なアクシデントから、場の空気がぴんとなったのがわかった。 血…本物の血だ!これは夢でもなければ劇でもない、現実だ! 赤い飛沫はそう叫んでいるようだったけど、あまりに非現実過ぎた。 アーヴァインとかいう軟弱そうな男が出てから少しして、今度はアーロンってヤツが呼ばれた。 アーロン…体もでかけりゃ剣もでかい…あんなのがいるのかよ。 行く前に俺たちの方を見てたな…誰か探してるのか? 次に呼ばれたアイラって人は、凄い綺麗で…どこかの踊り子さんか?ああ、こんな場じゃなければ声かけるのになあ…。 そのあと、アグリアスっていうこれまた綺麗な金髪の女性が呼ばれた。 声をかけるのが躊躇われるような、近寄りがたい感じ。 いやいや、ああいう子が案外男ができると変わったりするんだ…でもちょっと年上すぎかな。 そのときだった。 「アグリアス!」 静かな雪原に急に雪崩がおきたような、そんな唐突のなさ。 「ラムザ!?」 「アグリアス!向こうで落ち合おう」 ラムザとか呼ばれた男は、毅然とした目で彼女を見つめる。 彼女は開いていた手を閉じて頷ずくと、すぐに踵を返して扉に向かった。 目が覚めた。 そうだ、これは試合に出場する選手を見送ってるわけじゃないんだ。 現実に、いまから俺と殺し合いをする相手なんだ! ダガー!ダガーはいるのか!?それにビビ、エーコ、スタイナーのおっさん…… 立ち上がって探そうとしたときに、あのティアマトとかいう図体のでかいやつが叫んだ。 「動くな!」 その声にはっとしてティアマトを見ると、その視線は必ずしも俺に向けられているわけじゃないことに気づいた。 みんな、俺と同じ事を考えていた。 ティアマトは憎々しげにラムザを見ると、彼は睨み返してその場に座った。 「チッ…。いっておくが、扉からでる場所は一様じゃない。  …そして、これから自分のいる場所から動いたり声をあげたりしたものは、容赦なく殺す。肝に銘じておけ」 そういうと愉快そうにティアマトは笑ったが、俺はちっとも愉快じゃない。 周りにしってるヤツがいないか探したけれど、目の届く範囲では見つからない。 みんな、いるのか?どうしてるんだ?みんな――――― 結局そのあと、青い顔をしたエーコと怯えきったダガー、そしてサラマンダーを見送った。 エーコとダガーは、二人とも俺の顔を見て安心と不安が入り交じったような複雑な顔をしていた。 それは俺も同じだ。 正直、会えたことは嬉しい。でもそれはつまり、殺し合うってことだ。 仲間をこの手で殺すだって?そんなこと、できっこない! ただ…わからないのは、サラマンダーだ。 あいつは、俺と目を合わそうともしなかった。 柄じゃないからかもしれない…でも、どうしても、不安がよぎる。 まさか…乗った?この、いかれたゲームに。 …ふと、目をあける。 見渡す限りの草原。その先に、城のようなものが見える。 支給品は三つ。一つは英雄の薬…これはいいんだ。 あとの二つ。厚手の鎧と般若の面…なんだこりゃ!? おっさん専用装備か!?装備してる姿を想像して吹き出したじゃねえか! 渡す相手間違えてるぜ! あと、荷物の中に参加者名簿とかいうのがあった。 それを見てみると、あの三人の他にビビ、フライヤ、ベアトリクス、あと…クジャ。 クジャ…?あの、クジャか…何かの間違いじゃなく。 いや、とにかく今は仲間との合流を考えよう。 いっしょに戦ってきた仲間だ、いきなり殺し合うなんてことはきっとしない。 サラマンダーだって…… あの城に行こう。集まるなら、危険はあっても、目立つところがいい。 【ジタン 所持品:英雄の薬、厚手の鎧、般若の面  第一行動方針:城に向かう 第二行動方針:仲間との合流】 【現在位置:アリアハン城より少し南の平原】

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