150話

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*第150話:MOON そこには、無かった。横たわっている筈の、顔の焼け爛れた女性の姿が。 それが分かったときに、ビビは不思議な気持ちに襲われる。 心のどこかで安心して。心のどこかで不安で。  あぁ、生きていたんだね。どこかに行ったんだね。  ボクが来る前にいなくなっていて、よかった。人を殺すのなんて嫌だから。  でも、あのお姉ちゃんがもし悪い人だったら、死んじゃう人は増えるかもしれない…  そうしたらボクが殺さなかったせいなんだ… 「ねぇ、悪い人じゃ、無いよね…?」 虚空に問いかける。 「ちょっと、怖かっただけよね…?」 何故かそこに女性が立っている光景が思い浮かぶ。 「本当の悪い人なんて、いないよね…?」 女性は、焼け爛れた顔で、ビビを見下ろした。 「ボクはお姉ちゃんを許してあげられるから…だから」 女性の表情に変化は無い。火傷のせいで表情を表せないようにも見える。 「ボクも…ごめんなさい…」 ビビは、大きく頭を下げた。 …頭を上げると、女性の幻影は消えていた。 対象のいない会話が、何らかの利益を彼に与えるとは思うわけが無く。 「火傷、ボクには治せないけれど、ここから抜けられたら魔法で治せると思うんだ…」 ただ、そうせずにはいられないと彼が思ったから、そうしたのだった。 「ボクの仲間に、白魔法が使えるエーコって人がいるから…」 もう一人彼の頭に浮かんだ人がいた。だが、もう、その人はもういないから。忘れようと、頭を振った。 「だから、えっと、お姉ちゃんも、生きてここを抜け出して、火傷を治そうね…」 あの女性のことを考えれば考えるほど、彼女が善人だったように思えてくる。 自分が魔法を放ったのは間違いじゃないかという、後悔も共に。 ゆっくりと顔を上げ、月を見上げる。 「月、綺麗だよね…。お姉ちゃんも、エーコも、みんな、そう思うのかなぁ…?」 誰も返事をする事が無いのを知りつつ、問いかける。 そして、振り返り、尖がり帽子を両手で調整すると、元来た道を戻り始めた。 「なんスか、一体…?」 彼の行動の一部始終を、木の陰から見ている青年がいた。 思わず口に出してしまったその言葉どおりの心境だった。 やってくるなり闇に向かって話しかけ、謝り出した少年。 彼の言うお姉ちゃん、とは一体誰なのか。許す、ということは何か悪事を働いた女性か。 気になる。聞いてみたい。でも、この一連の動きが罠だという可能性も、否定できない。 さっきは目の前でエアリスが殺されたのだ。 自分もああなるかもしれないという事を考えると、正直恐怖で立ってさえいられなくなる。 それが、彼に行動を起こすことを自粛させている。 それに彼にはもう一つ、やらなければならない事があった。 ターニアを探さなければ。 きっと何処かで震えているから。暗闇を、きっと怖がっているだろうから。 エアリスの血を見てしまった彼女が、今心配で。 ちょっと空を見上げた。 少年の声が、何故か耳の中で反響しているから。 「本当に…綺麗な月ッスね…」 呟くと、歩き出した。 なんとなく、南へ。少年とも、そしてターニアとも、違う方向へ。 少年とターニアが同じところにいることなど、当然、気づく事は無く。 相変わらず、月は見ているだけ。誰の味方も、しなかった。 【ティーダ 所持品:鋼の剣 青銅の盾 理性の種 ふきとばしの杖〔4〕 首輪×1  第一行動方針:南へ 最終行動方針:ゲームからの脱出】 【ビビ 所持品:不明  第一行動方針:ピサロの元へ戻る 最終行動方針:ゲームから脱出】 【現在位置:レーベ東の森中央付近】

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