239話

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*第239話:ラムザ君の憂鬱 「はあ…」 丘の上から黒い海を見下ろしながら、ラムザはため息をついた。 あれからずっとアグリアスさんを探していたが、とうとう会えなかった。 というのも、彼の場合探す方向が悪い。 ゴルベーザと話した後、彼はよりによって東、つまりアグリアスが居る所とは真逆の方へと向かってしまったのだ。 そうして今、アリアハン大陸の東の森、その最果てから海を見下ろしているわけだが。 それにしても、あのアルティミシアと言う魔女は一体何者なのだろう。 僕らを突然この見知らぬ大地に送りこんで、殺し合いをしろとはどういうことだ? それに、日が沈む直前に現れたときのあの顔。まるで人が死んでいく様を楽しんでいるような表情だった。 ――三十一名…予想以上に良いペースだな。その調子で裏切りと殺戮を繰り返すが良い―― ふざけるな。何が「良いペース」だ。 こんな意味の無い争いを楽しむ魔女…狂っているとしかいいようが無い。 意味の無い争い…こう言うと、かつてイヴァリースで起こった戦乱を思い出す。 ラーグ公やゴルターナ公、教会の勢力、ダイスダーグ兄さん、それにヴォルマルフを始めとするルガヴィ達が起こした獅子戦争だ。 あれはそれぞれがイヴァリースの政権と力を欲した結果だった。 …アルティミシアも、何かを狙ってこんなことを? いいや、魔女が何を目的としているかなんて関係は無い。 絶対に狂ったゲームは、そしてあの魔女は止めなければならないという事。今肝心なのはそれだけだ。 だが、そうは言っても自分一人では何もできない。 仲間が必要だ。同じ事を考える人達はきっといる。 それに、あの魔物なのか騎士なのかわからない人…ああいった人達も、人を殺そうとするには何か理由があるはずだ。 彼からも説得すれば協力してくれるかもしれない。 説得…そうすると、アレになるのが一番だ。 ラムザはその場に座り込み、ある一点に精神を集中させていった 三十分ほど経った頃だろうか、彼はゆっくりと目を開けた。 外見の大きな特徴はそれまでと変わらないが、風貌は見習い戦士の彼とは違う。 「話術士…戦闘には向かないけど、説得ならこれが一番得意だよね」 話術士。戦士が体得するジョブの一つで、戦いには向かないが敵の戦意をその饒舌さで挫き、 さらには仲間に引き込んでしまうある意味強力な特性を持っている。 剣の腕は劣化してしまうが、着ている鎧があるし、 もし説得に聞く耳を持たないマーダーが相手でも、ジャンプがあるから逃げる事だけはできる。 もっとも今日はもう夜が更けて動けないから、行動を起こすのは明日になるだろうが。 ラムザはそう思い、落ち葉が敷き詰められていて柔らかい地面に横たわった。 【ラムザ(話術士 アビリティジャンプ)  所持品: アダマンアーマー ブレイブブレイド  第一行動方針:今日の所はもう休む 第二行動方針:仲間を集める。  最終行動方針:ゲームから抜ける】 【現在位置:レーベ東の森の最東端】

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