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*第2話:ひとかけらの勇気がほしい
どうして、こんなことに。
サマルトリア国王子・パウロはアリアハンの民家の中ベッド下に隠れ、声を殺して泣いていた。
彼はあの広間、マリアのすぐ隣にいたのである。
直ぐ隣で女性が死んだだけでもショックなのに、まるで追い討ちをかけるように…マリアの首が吹き飛んだ。
あの残虐なシーンが瞼に焼き付いてしまい、ずっと離れてくれない。
目を見開いた女性の死体。矢。銀髪の戦士の叫び、アラーム音、爆発、血…。
…僕も、あんな風に首を失って、死ぬんだろうか?そう思うと、また涙が出てきた。
きっと、ロランならこう言うだろう。パウロ、メソメソしたって始まらないぞ、と。
それは解ってる。こんなとこにいたってどうにもならない。僕はロラン達を探さなきゃ。でも…
パウロはふと、枕のように抱えていたザックの中身をまだ確認していなかった事に気付いた。
そう、僕は戦う気は無いし、呪文も使える。でも、武器はあったほうがいい。
ザックの中をまさぐり、出てきたものは剣。それを見るなりパウロの表情が凍りついた。…破壊の剣。
最強の破壊力に、邪神の呪いのおまけ付きな剣。こんなものこの状況で装備したら…無差別殺人発生決定。
こんなものを支給するなんて、わざととしか思えない。―――最悪だ。酷すぎる。
「…でも、これ引いたのが効果知ってる僕でよかった…」
そう呟きながらとりあえず剣をザックにしまう。この手の剣は見目では呪われていると解らないのだ。
もしこの剣を、戦士などが引いてたら…と思い、ゾッとするパウロであった。
【パウロ 所持品:破壊の剣(未装備)
第一行動方針:隠れる 第二行動方針:ロランと王女を探す】
【現在位置:アリアハン城下町東側の民家二階・ベッドの下】