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「8話」(2008/02/17 (日) 22:30:42) の最新版変更点
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*第8話:賢者と…
「殺し合い……殺し合いって…ねぇ?」
レーベの村の真ん中で、誰にいうとも無く呟いていた青年がいた。
彼の名はセージ。皮肉にも殺し合いの場として選ばれたこの地で「賢者」と呼ばれている青年だ。
蒼く、そして女性のように伸びた髪が風で揺らぐ。
彼は眼を閉じて静かに考えていた。
悟りを開いて時が過ぎ、闇から世界を救って時が過ぎ……そしてこのような殺し合い。
また自分は人を殺して時が過ぎていくのを感じるのだろうか。
それは嫌だった。
世界を救った人間としてのプライドが許さなかった。
「さぁて、行こうか」
目を開けてそう言うと、彼は歩き出した。
街の外へと向かうつもりである。歩きなれた道は彼の足を進ませる。
だが出口に近づいたその時、草叢から金色の何かが見えているのに気付いた。
「金色の何か」、それは髪だった。
後ろの髪を短く切りそろえている子どものようだ。
「頭隠して尻隠さず…いや、逆か」
そう言って苦笑すると、草叢へと近づいてこう言った。
「出てきなよ。取って喰ったりしないよ?僕はグルメだからね」
言ったが、隠れている子どもは出てこようとしなかった。
それを確認すると、更に言葉を続ける事にした。
「そりゃあまぁ…警戒するよねぇ。でもなんか僕だけ警戒を解くってのもフェアじゃないなぁ」
そして最後に一言。
「出てきなよ、ね?」
最後の言葉から、ほんの数秒。
草叢の中から金髪の少女が出てきた。
隠れていた場所が場所だっただけに、服や顔が少し汚れている。
そして、泣いていた。
声を押し殺しているのか、静かに震えている。
「………」
その姿を静かにセージは見つめる。
そして目線を合わせるように腰を下ろした。
すると少女は泣くのを…少しずつだが止めていった。
それをじっと何も言わずに待つセージの前で、震えながらこう言った。
「あなたも…ひっく…あんなに人を……ぅっ、殺すの?」
少女が見た光景。
大人たちに埋もれて何も見えなかった少女が、苦労してやっと見た光景はあの惨劇だった。
爆発音、飛んでいく首。小さな少女にはそれが大きな苦しみになった。
"殺されたくも殺したくもない"という強い願いが、少女をあの行動に駆り立てたのだった。
「大丈夫」
セージは静かに微笑んで、そう言った。
「大丈夫。君にもそんなことはさせないし、僕もそんな事しない。
……もし信用してくれるなら、一緒にいかない?」
そう言うと、少女はこちらに駆けてきた。
そして顔をセージの胸に埋めて、泣き始めた。
旗から見るとアンバランスな、2人の静かな戦いが始まろうとしていた。
「そうか、お兄ちゃんとはぐれちゃったのか」
「うん…あたしはずっとお兄ちゃんも一緒にいようと思ってたのに…」
話をしながら二人はレーベから少し離れた街道を歩いていた。
何気の無い話から、セージが判った事。
まず少女の名前。「タバサ」と言うらしい。
そしてタバサが「レックス」という双子の兄とはぐれたという事。
名簿上で名前が遠く離れていたのが仇となったらしい。
更にこの少女が非常に強い魔力を宿していることと、強い意志を持ち合わせている事。
この2つは…特に魔力は、一般の魔道師よりも強大だろうという事だった。
それらを知った上で、彼はこれからの道を決めた。
まずはレックスを探す。そしてかつての仲間と対面したなら、行動を共にするよう説得する。
以上の2点を、自分達の行動方針にした。
「とりあえず、僕の知っている限りの場所を探してみようか。森や砂漠以外の場所でね」
「わかった。セージお兄さんと一緒なら、きっと見つけられるよね?」
「"きっと"?違う違う」
「ぇ?」
「"絶対"だよ」
【セージ(DQ3賢者、元不明) 所持品:不明
行動方針:レックスを探す】
【タバサ(DQ5王女) 所持品:不明
行動方針:セージに着いて行く】
【現在位置:レーベの村東】