144話

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*第144話:最悪の再会 紙と鉛筆、参加者一覧ファイルに地図。 それを一度に閲覧し、メモに紙に書きなぐり、そしてまた考える。 セージはこの作業を延々と続けていた。 「とりあえず、母親のビアンカさん、父親のリュカさんは生きてる」 「…うん」 「魔物のピエールとやらも生きてる。あと君の兄のレックスも生きてる」 「うん」 「全員には会いたいけれど…」 「難しい?」 「短期間ではね。でも大丈夫だ、絶対見つける」 自分の見解が当たっていたことに安堵した彼は、 その言葉で問いを止め、大きく背中を伸ばした。 「とりあえず、そろそろ寝る準備をしよう  タバサはベッドを使いなよ。僕は適当に突っ伏しとくよ」 「え?で、でも…」 「大丈夫大丈夫、僕は馬鹿じゃないけど風邪はひかないしね」 そう言うと、セージはベッドの上を掃除し始めた。 埃が少し飛ぶ。だが本当に「少し」で済んだ様で、すぐに掃除は終わった。 と、その時。 ドンドンドン!! 五月蝿いノックが聞こえた。 「……は?」 ドンドンドン!! まだノックしている。どうやらなんとしても開こうとしているらしい。 何故ここに人が来たのか。セージはそんな事も考えたがとりあえず扉に近づいた。 「隠れてなよ。なんか凄く嫌な予感がするから」 「ど…どこに?え?え?」 「適当に」 そう言ったのを合図にしたのだろう。言葉と同時に扉を開いた。 するとそこには―――息を切らした金髪の女性が居た。 必死に走ってきたのか、息を切らしている。 だが、セージの姿を確認するや否や、素早い動きで鞭を振るい始めた――― 「うわっっ!あっぶないな!」 良いモノを見つけた、と言わんばかりに薄ら笑いを浮かべて攻撃する女。 そしてタバサの方に近づけぬように器用に立ち回るセージ。 それを遠くからタバサが見守ろうと、テーブルの下から身を乗り出した瞬間、彼女は叫んだ。 「お母さん!!」 「はぁ!?」 攻撃を避けながらつい叫んでしまったセージ。 そのまま相手の顔を見ると、「成程」とつい呟いてしまった。 「彼女がビアンカさんか…似てるんじゃないの?結構」 「お兄さんお願い!お母さんを傷つけないで!」 「判ってる!」 緊張した空気の中、タバサを傷つけぬように鞭を振るうビアンカの目には、 何故自分を襲うのかと淡々と考えているセージの姿が映っていた。 数時間前。 フリオニールの攻撃を喰らったビアンカは、操りの輪の意思のままに走っていた。 何かにとり憑かれたように、そこが森だろうが平地だろうが関係なく走っていた。 そして疲労を回復しようと隠れ家を探していた矢先に、地下へと繋がる祠を発見する。 だがそこは鍵がかかっており、やっと開いたと思ったその時――― 「心の優しいお母上じゃなかったの!?」 「うん!お母さんは凄く優しくて…だからこんな事はしないわ!」 最愛の娘と、そして男が居た。 家族以外の人間には死を。操りの輪によって、悲しくも彼女はそんな業の道を取った。 だから今…彼女は疲労を押して、男をなんとしても殺そうと鞭を振るっている。 「とりあえず…タバサには攻撃しないんだねぇ。賢い賢い。  ならそれを利用して頂こうか……」 微苦笑を浮かべてセージがそう呟くと、素早く距離をとった。 そして、嘲笑にも似た表情を浮かべ―― 「モシャス」 静かにそう言った。 そしてそのまま、不思議な現象が起こった。 彼の体が一瞬光ったと思いきや、一瞬にしてタバサの姿へと変わっていた。 小さな少女の姿。隣の"本物の"タバサは驚愕を隠し切れない表情を浮かべた。 「…お母さん」 驚くべきことに、声すらも同じだった。 だが「本物」が驚く暇も与えず、タバサの姿をしたセージは続ける。 「お母さん止めよう。あたしはそんなお母さんは見たくないよ。  お願い、元のお母さんに戻ってよ。ねぇ……お願い!」 ビアンカの動きが止まった。 が、それは一瞬。ビアンカはすぐに、且つ的確に"偽者の"タバサを狙って攻撃を放った。 「あらー…やっぱ目の前でモシャスしてもムリだよねぇ」 セージは、誰にでも聞こえる様な大きな舌打ちのオマケ付きでそう言った。勿論タバサの姿で。 そしてもう姿を偽る必要が無いと知ったやいなや呪文を解いた。元の彼の姿に戻る。 そしてまた元の展開に戻ったのだが……。 「あれ?」 タバサが口を開いた。先刻と同じように攻撃を避けながら、セージが反応する。 そして視線も向けずセージが問うと、タバサはハッキリと言った。 「あの頭の輪っか……何?前お城にいたときはあんなのしてなかったよ」 「さぁ、僕は知らないね。どっかで拾ったんじゃないの?」 「違うと思う」 「何でさ」 「お母さんの趣味じゃないもん、あんな変な輪っか」 「…………何それ」 だが、言われると余計に気になってくる。 実の…しかもこんなしっかりした性格の娘が言うのだから間違いはほぼ無いはずだ。 セージの頭の中で、ある一つの仮定が完成した。 あの頭のアレか。 アレがビアンカを駆り立てているのだろう、とセージは勘付いた。 ならば簡単な話だった。頭の輪を外せば良い。そうするには丁度良過ぎる道具もあった。 その道具は袋の中に眠っている。セージはそこまで考えると袋に手を伸ばし、道具を取った。 「はりせんってやつ!」 強調してそう言うと、すぐさま相手の攻撃を待った。 来た。鞭が撓る。避ける。隙が出来る。今だ。 「傍から見ると不思議だよねぇ…この状況」 その呟きを聞いたのを最後に、ビアンカの意識は途絶えた。 何故なら、ハリセンを振り上げたセージの上を、 あの操りの輪が飛んでいたから。ついでに、地面に墜ちて「バキッ」という嫌な音を立てていたから。 目の前の女性はただ気絶しているのだ、という事を確認した後 セージはビアンカの体を持ち上げた。そして、ベッドに体を寝かせる。 ほっと胸を撫で下ろすと、タバサの方を向いて微笑を浮かべた。 「お客様、ベッドの空きが無くなりました。なんてね」 「大丈夫、不都合は無いですよ。なんてね」 2人は安心した様子で、言葉を交わした。 【セージ 所持品:ハリセン ファイアビュート  行動方針:部屋で夜を過ごす】 【タバサ 所持品:ストロスの杖・キノコ図鑑  行動方針:同上】 【ビアンカ(疲労大) 所持品:なし  第一行動方針:不明 基本行動方針:不明】 【現在位置:いざないの洞窟近くの祠内部の部屋】

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