104話

第104話:英雄と魔王


森の中で対峙する二人の男、デュランとメルビン。
互いに相手の出方をうかがうかの様に、一向に動く気配がない。
「分かる、私には分かるぞ!貴様の強さがな……」
先に沈黙を破ったのはデュランであった。警戒を緩めないメルビンを無視するかのように言葉を続ける。
「フハハハ……私の名はデュラン。見ての通り魔王が生業だよ。私は強い者が好きでね。
 せいぜい私を失望させないでくれよ……。では行くぞ!」

巨体に似合わぬスピードでデュランが斬り込む。渾身の力で振り下ろされた剣は、すんでの所でメルビンの剣に阻まれた。
だが、直後に爆発が襲いかかり、メルビンは後ろへ吹き飛ばされながらも、空中で体勢を整え着地する。
「そうだ、それでなくては面白くない。もっと私を楽しませてくれよ!」
攻撃の手を緩めず攻め立てるデュランの剣戟と爆風の前に、防戦一方となるメルビン。

(くっ……、こやつ強いでござる!このままでは剣が…)
歴戦の勇者といえども、相手は伝説の剣を持った魔王。彼の持つ鋼の剣は、打ち合う度に悲鳴を上げていた。
「どうした!貴様の力はそんなものか!」
「残念ながら魔王にくれてやる命は持っていないでござるよ!」
その時だった。鋼の剣が衝撃に耐えきれず、折れてはじけ飛ぶ。
「ハハハハハこの勝負私がもらったぞぉぉぉ!」
高笑いと共にデュランが空高く舞い上がる。
回転を加え落下することで強力な打撃を加える技、ムーンサルトだ。
「……もはや一か八かに賭けるしかないでござる!」
デュランの剣先が老人の体に目がけて殺到する。しかしメルビンは動かない。
「もはや諦めたか……喰らえ!」
ラミアスの剣の切っ先が胸を貫こうとする刹那。メルビンが十字を切ると、収束した魔法力がデュランにカウンターで襲いかかった。
「グランド……クロスッッ!!」
あたりを閃光が覆い、巨大な力のぶつかり合いによって大爆発が巻き起こり、二人を吹き飛ばす。

「……やったでござるか?」
メルビンがふらつきながらも立ち上がる。その胸からは鮮血が滴り落ちていた。
グランドクロスをもってしても、魔王の渾身の一撃は相殺しきれなかったのだ。
すぐさま回復呪文により出血は止まったが、失われた体力は回復しなかった。
しかし、その後メルビンが目にしたのは信じられない光景だった。

「私の体に傷をつけるとはな……。貴様気に入ったぞ!」
砂煙の中から現れたのは、胸に十字の傷を刻まれながら、なお余裕を見せるデュラン。
「だが……この程度では私は倒せぬぞ」
伝説の剣を構え、魔王は不敵に笑っている。
「さて、ラウンド2と行こうじゃないか。まだまだ私を楽しませてくれよ!」

【デュラン(負傷) 所持品:ラミアスの剣
 第一行動方針:メルビンを倒す 最終行動方針:ティアマト、アルティミシアと戦う】

【メルビン(負傷) 所持品:鋼の剣(破損) 残りは不明
 第一行動方針:この場を切り抜ける 最終行動方針:不明】
【現在地:岬の洞窟北西の森】

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最終更新:2008年02月17日 23:49
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