FFDQバトルロワイアル3rd資料編@wiki 43話


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第43話:ピクニック



陽光が木の葉の間をすりぬける。
暖かい風が、肩をやさしく撫でながら通り過ぎていく。
そんな静かな森の中で輪を描くように座った自分と、四人の男女。
その中心に、かなり大き目のピクニック用バスケットが置かれている。
皆、好き勝手に籠の中のサンドイッチをつまみ、コーヒーを飲み、うさぎリンゴを齧り……

(なんなんだ、この雰囲気は?
俺たちは殺し合いの会場にいるんだぞ?
いくらなんでも、これはおかしいんじゃないか?)

「これ、結構うまいな。もう一つもらうぜ」
金髪を短く刈り込んだ、いかにも格闘家風の男がカツサンドを口一杯にほおばる。
「よくそんなに食べれるわね。私、もうお腹一杯だわ」
頭巾をかぶった少女が、そう言ってコーヒーをすすった。

(……こんなのんきにピクニックやってる場合じゃないだろ。
 既に人が一人死んで、首を吹き飛ばされているんだぞ?
 俺たちがこうやってる間にも、誰かがどこかで殺されているかもしれない。
 それなのになんで、誰もおかしいと思わないんだ。不謹慎以前に緊張感がなさすぎるだろ)

「いやいやもっと食ってくれよ。
 どうせ俺一人じゃこの量は食いきれないし、腐らせるのももったいないからな」
長髪の男――ラグナが、唐揚げをつまみながら言う。彼がこのピクニックセットの提供者だった。

(ラグナ……一体、この男は何を考えているんだ?
なぜこんな時に、見知らぬ人間と食事を楽しんでいられる?
誰もが敵になる可能性がある。いや、実際に自分以外の全員が敵なんだぞ?)

「なーんか、さっきから一人で辛気臭い顔してるね。せっかくカッコイイ顔なのに。
 楽しめるときに楽しんでおかないと損するわよ」
角の生えた少女が、いたずらっぽく笑いながら自分を見た。
「……この状況ではこれが普通の反応だ。
 あんたたちが享楽的かつ楽観的すぎるだけだ」

(そう、俺が普通だ。俺は普通なんだ。
 なのになんだ、この雰囲気は。まるで俺一人が間違ってるみたいじゃないか)

「スコールなぁ、そうピリピリすんなよ。
 よく言うだろ。急ぐと計算間違えるとか腹が空いたら勉強できないとか」
ラグナの言葉に、(言わないよ)(言わないわね)と、女性二人が小さな声で茶々を入れた。
それが聞こえたのか、ラグナは小さく咳払いしてから話を続ける。
「なんつえばいいのかな……こういう時だからこそ急がないほうがいいっつーか」
「心にゆとりを持てと、あんたはそう言いたいのか?」
「そうそう、そゆことだな」

(ゆとりとかいうレベルか?
単に現実逃避して、無防備に食事してるだけじゃないのか?
考えてもみろ、もしも乗り気の奴に襲われたら、全員一巻の終わりなんだぞ……)

俺のそんな考えを察知したのだろうか。ラグナは急に真顔になって、俺を見つめた。
「思うんだけどな。雰囲気に飲まれて、流されるのは簡単だ。
 でもな。流されちゃいけない流れってのがあるんじゃないか?」

「俺は正直、殺し合いなんかしたかない。
 そりゃあ命が惜しくないつったら嘘になるけどな。
 でもなあ、お前やリノアちゃんを殺してまで生きるなんて真っ平ゴメンだし
 大事な息子を生かすために、ゼルやアーヴァイン達を殺して自分も死ぬって気にゃ、もっとなれないぜ」
「……バカなこと言わないでくれ」
「そうだ、バカなことだって思うだろ?
 でも、そういうのをバカなことだって思わない奴もいる。
 どんなバカなことでも、焦ったり場の空気に呑まれたりすると、当たり前だって考えちまうんだ」
ラグナは一旦そこで言葉を切り、コーヒーを一気に煽った。そしてまた話を続ける。
「いつまでも現実逃避してろとは言わないさ。
 でもな。どんな最悪の時でも、こうやってゆっくりすることは必要だと思うぜ。
 最良の選択ってやつをするためにはな」

(そうなのか? ……そうかもしれない。ラグナの言うとおりかもしれない。
 でも……)

「あんた……いや、あんたたち、本当にそこまで考えてピクニックをやってたのか?」
「いや、単にメシ食おうと思って広げただけだ。
そしたら、この可愛らしいおじょーちゃんがいるのに気付いてな」
「エーコ、ジタンを探してたら偶然この人と会ったのよ。
 せっかくの誘いを断るのも失礼だから、一緒に食べてたの」
角の生えた少女が答える。それから、頭巾の少女が
「まさか子供相手にピクニックセット広げてる人がゲームに乗ってるわけないでしょ。
 ちょうどお腹が空いてたし、手招きされたから相伴に預かっただけよ」
と言って、最後に金髪の男が
「いやー、やっと山脈を抜けたと思ったら、なんだかうまそうな匂いがしててさ。
 ちょっと聞いてみたら、食っていいっていわれたんでな」と答えた。

(やっぱりな、そんなことだと思った……。納得しかけた俺が馬鹿だった)

【ラグナ 所持品:ピクニックランチセット 不明
 行動方針:メシ食いながら、これからどうするか考える】
【マリベル 所持品:不明 行動方針:不明。ゲームに乗るつもりはない】
【マッシュ 所持品:不明 行動方針:不明。ゲームに乗るつもりはない】
【エーコ 所持品:不明 行動方針:ジタンを探す】
【スコール 所持品:不明 行動方針:不明】
【現在位置:アリアハン東山脈地帯・中央部西にある森】