FFDQバトルロワイアル3rd資料編@wiki 376話


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第376話:偽りの誓い


アリーナの身に手をかざし治癒魔法をかけていたフリオニールだが、
彼は不意に魔法の光を消し、荷物を持って立ち上がった。
「どうした? フリオニール」
カインの言葉に忌々しそうに首を振る。
「どうしたもこうしたもない。傷が深すぎる。
 俺の魔法では魔力を使い切っても傷口を塞ぐのがやっとだろう
 完治は無理だ」
「ならば傷口を塞ぐだけでも……」
それを聞いたフリオニールはカインの襟首を掴みあげた。
「ぐっ」
「おい、ふざけるなよ。
 何故俺が魔力を使い切ってまでこんな役に立つかどうかも判らん小娘を救わなけらばならない?。
 ここで魔力を切らせばいざ俺が危地にある時、不利になるだけだ。
 俺にそこまでする義理はない。いいか、忘れるな……お前とは仲間になったわけではない。
 都合がいいから今は組んでいるだけだ。いずれは雌雄を決することになるのを忘れるな!」
そういってフリオニールはカインを突き飛ばし背を向ける。
「どこにいくのさ?」
スミスの言葉にも振り向かずに答える。
「さあな。だがお前らと共に行動する気は無い。
 情報交換が必要なら日没の時にカズスの村で落ち合ってやる。
 それまでは好きに行動させてもらおう」
「ふーん、ま、いいけどね。
 僕も群れで行動するより二手に分かれたほうが効率いいと思うし」
フリオニールは頷きもせずにこの場から立ち去っていく。
「小娘の止血だけは終わっている。後は好きにしろ」
そして彼は森の木の影の中に消えていった。
カインはようやく起き上がり、吐き捨てる。
「ち、協調性のない奴だ」
「あ、それ君が言うんだ?」
カインはそれには答えず、アリーナの上着を肌蹴て上半身を裸にする。
「あれ、強姦? 趣味悪いなぁ」
「黙って見てろ」

ザックから水筒を取り出し、アリーナの傷口を洗い流していく。
そして城から手当て用に失敬していた清潔な布を取り出して傷口に押し当て、
その上からアリーナのマントを引き裂いた布を縛り付けた。
「へぇ~~手馴れたもんだね」
「バロンの騎士団ならこの程度の応急処置は誰でも習得している。
 白魔導士の治療を受けられない状況などざらにあるからな」
しかしここまで処置をしてようやくカインもフリオニールの意見を認める。
「だがしかし……やはり無駄だな、これは。
 ろくな医療道具もなくここまで深い傷はどうにもできない。
 よくも切られた瞬間にショック死しなかったものだ」
「ふ~ん、じゃあ置いていこうよ。
 役に立つならともかく助からないなら邪魔なだけだよ」
「そう、だな。随分と派手に殺っているようだから囮として使えるかと思ったが……
 近くの村までも持つまい。せめて介錯してやることが情けか……」
アリーナの呼吸は既に弱弱しく、今にも消えてしまいそうだ。
カインは立ち上がり、アリーナに向けて槍を振りかぶる。
「怨むなよ。俺にはどうすることもできん」
いざ、槍が振り下ろされようとしたその時。
突如として制止の声が上がった。
「待て! そこで何をしている!?」
カインたちが振り向くとそこにはこれみよがしに
ザックから何かを取り出そうとするエドガーの姿があった。
「「何者だ?」」
誰何の声がハモる。
実はお互いにアリアハンで一度出会っているのだが、
エドガーは面倒を避けすぐに町を出たためカインの顔を覚えていなかった。
カインに至っては戦闘中であったため、エドガーの存在そのものを知らなかった。
沈黙が―――降りる。


リュカが目を覚ますとそこには……自分が居た。
「え、うぇええ?」

突然のことに思わず混乱する。
「あ、目が覚めたんですね。良かった……」
もう一人の自分はかなり憔悴しているようだった。
ボゥン
突然、その目の前の自分が煙に包まれたかと思うと、中から小柄な少女が現れた。
驚愕して身を起こそうとするリュカだが、全身を奔る痛みに動きを止める。
「あ、動かないでください! 私の魔法力では辛うじて傷を塞ぐだけで精一杯だったんです。
 肺のほうは血を抜いてありますから機能に支障は無いと思いますけど、
 激しく動けば傷口が開いてしまいます。
 それに右腕の方は完治できましたけど、左腕は骨や神経が完全に破壊されてしまっていて……
 傷は消せましたけどもう……動かないでしょう」
残念そうに俯く少女。
しかしリュカは笑って首を振り、今度こそゆっくりと身を起こした。
「いや、助けてくれてありがとう。命があるだけで充分さ。
 こんな痛みはリノアに比べればずっと……ずっとどうってことはない……くっ」
唯一動く右の拳を握り締めて俯く。その拳の上に涙が零れた。
「デール――彼は、彼はね、僕の親友の弟だったんだ。
 優しくて、落ち着いていて、とても……とてもいい人だったんだ……
 なのになんでこんなことに……リノア……ッ!」
シンシアがそっとリュカを抱きしめる。
「しっかり、してください。あれはあなたの責任じゃありません。
 後悔しても何にもなりません。だから、だから今は何も考えないで……」
リュカは動かない。しかし彼の嗚咽はいつしか止まっていた。
その時。
「シンシアの言うとおりだ。零れたミルクはもうコップには戻らない。
 なればこそ、我々は二度とそのミルクを零さないように土台をしっかりと作らねばならない。
 そして私には一つだけシンシアとは違う考えを持っている。
 それは君を休ませる気など私にはないということだ!」
大声を張り上げ、そこに現れたのはエドガーだった。
「エ、エドガーさん! 無事だったんですね!」
喜色満面の笑みを浮かべてシンシアは彼を迎える。

「はっはっは、心配をかけさせてしまったようだねレディ。
 無事な上にお客さんを連れてきたよ」
そしてエドガーの後ろから現れたのはアリーナを担いだカインとスミスだった。
「さて、それでは自己紹介と情報交換といきたい所だが……」
エドガーはカインをチラリと見て、それに頷いたカインが背に負っていたアリーナを横たえる。
「彼女の傷が酷い。
 若干の治癒魔法と優れた応急処置で今は小康状態だがこのままでは近く死に至る。
 そこで……」
リュカの方を見る。
その視線を受けてリュカは涙を拭い、しっかりと頷いた。
「分かりました。僕の名はリュカといいます。
 その娘の治療、僕にやらせて下さい」
きっぱりと言い切った。
もう、誰かが目の前で死んでいくのは見たくないと思ったから。

お互いの自己紹介が終わり、沈黙が訪れた。
何かを考え込んでいるエドガー。アリーナの治療に専念しているリュカ。
それを手伝うシンシア。カインとスミスもそれらの様子を窺っていた。
情報交換は既に終えている。
カインの伝えるデールの恐怖にリュカは歯噛みし、カインはリュカがタバサの親だと知って驚いたが
なんとか平静を保ち、タバサのことは伝えなかった。
別れ方が自分達が見捨てた形になるので、隠したほうがいいと判断したからだ。
「すみません、私に魔法力が残っていれば……」
「気にしないで、僕が必ず救ってみせる」
リュカとシンシアはお互いに気遣いあう。
一方、エドガーは一心にアリーナの首輪に視線を注いでいた。
『何だろう、この違和感は……彼女の首輪に我々の物とは違う違和感を感じる……
 しかしそれが何だか判らん! くぅ~~~~もどかしいな』
ボリボリと無造作に頭を掻く。考えに没頭して貴族としての振る舞いにも気が回らないようだ。
カインもまた考えていた。
これは一気に数を減らすチャンスだと。
満身創痍の人間が3人。そしてか弱い少女が一人。

不意を討てば容易に全員殺害できる気がする。
しかし……エドガーは考え事をしながらもちらちらとこちらに視線を向けてくる。
やはり完全には信用されていない。
そしてリュカ。
彼がこの娘の治療をやらせろと言ったときの瞳には思わず気圧されるほどの力があった。
近接戦闘で負けるとは思えないが、何か格の違いのような物を感じる。
不意を討つことは難しい。下手に動くことは出来ない。
少なくとも彼が魔力を使い果たすまでは襲撃は待つべきだとカインは結論した。
その意思を伝えようと、スミスのほうを見やる。
するとスミスは身体を震わせ、リュカの方を睨みつけていた。
『どうしたスミス!?』
『カ、カイン! 殺して、殺してよあの男!
 タバサと同じ、いや、もっとタチの悪い目をしてるよ!!
 君がやらないなら僕が……!』
『おい、落ち着け!』
スミスはリュカの瞳を見たときからまたあの愚か者の意識が浮かび上がりそうになるのを感じていた。
タバサのときはじっと見つめられなければ感じなかったのに、リュカの場合一瞥で心を揺らされた。
『僕を侵そうとする奴は、排除しないと!』
カインは必死に暴発しそうなスミスを制止する。
相棒がこの様子ではどんなイレギュラーが発生するか判らない。
ここは一旦退いて罠を仕掛けるべきだと判断する。
『今はまだ、危険を冒す段階じゃない! ここは退くぞ!』
『ぐ、……わかったよ。だったら急ごう!
 もう一秒でもあいつの傍に居たくないよ!!』
カインは頷き、エドガーへと声をかける。
「エドガー、我々は目的があって移動している。
 その娘はあなたたちに任せる。
 すまないが先に行かせてもらおう」
エドガーはその突然の申し出に驚いたが、冷静に問いただしてくる。
「その目的とは何だ? 我々にも手伝えることがあるかもしれない。
 話を聞かせてくれないか?」
しかしむべもなくカインは首を振った。

「いや、話すと長くなってしまう。
 正直、ここまで付き合っていたのもかなりの譲歩だったのだ。
 だがここであなた達との縁を終わらす気もない。
 日没の放送より2・3時間程後ににカズスという村で待っている。そこで改めて落ち合おう。
 スミス、行くぞ」
そう一方的にまくし立て、カインとスミスはその場から走り去った。
「あ、待ってくれ!」
エドガーの声ももう届かない。
シンシアが不安そうに呟く。
「あの人たち……怪しくないですか?
 もしかしたらこの娘を斬ったのも……」
「いや、それはないと思う。
 この娘の傷は斬られてから少し時間が経っているみたいだし、応急処置はきちんとされている。
 彼の話に嘘はないだろう。ただ……何かを隠しているようには感じられた」
「それで、カズスへはどうするんですか?」
今度はリュカが尋ねた。
「……行ってみよう。罠は充分に警戒する必要があるけれど、情報が欲しい。
 それに日没後ならサスーン城を経由してからでも間に合うだろうしね」
方針が決まり、しばらく三人は少女の治療に専念する。
そして長い時間を掛け、ようやく傷が塞がった頃にはリュカは魔力の殆どを使い尽くしていた。
「フゥ、やっと塞がりましたね……何て深い傷だったのかしら」
「そうだね。でもまだ油断は出来ない。
 辛うじて傷を塞いだだけだし、まだ激しく動かせば傷が開くのは僕と同じだ。
 しばらくは安静にして、体力を回復させないと」
そう、これでしばらくはこの場所を動くわけにはいかないだろう
「だが、いつまでもここに居るわけにも行かない。
 太陽が下り始めたら辛いだろうが城に向かって移動しよう。
 動けないようならばこのレディは私が背負っていく」
「そうですね」
リュカは頷いて空を見上げた。
正午を回るまで後1時間くらいだろう。
自分も今の状態なら軽く走ることくらいならできそうだ。

戦闘は……正直わからない。魔力が殆ど尽きた今、自分に戦闘力は殆ど残されていない。
自分には護る力が足りない……。
脳裏に浮かぶリノアの姿。マリアさん、サンチョ、ピピン、はぐりん、ケット・シー
そして―――――――レックス。
『駄目だ! 弱気になるな!』
生きるんだ。護るんだ。自分にはまだ妻と娘がいる。
共に生きた仲間が友がいる。ここで弱気になるわけにはいかない……!
「う……ん、あ」
悩ましげな声でリュカは正気に戻る。
見ると少女が目を覚ましていた。

アリーナは目覚めるとまず現状を理解しようと周りを見た。
三人の男女が自分を取り囲んでいる。
どうやらあれから自分はこいつらに救われたらしい。
「気が付いたかい? 名前は言える?」
「……アリーナ」
「そうか、僕はリュカ。助かって……良かった……」
『何なのこの馬鹿。始末しちゃおうかしら』
目を潤ませて手を握ってくるリュカに一瞬殺意が湧く。
しかし、その殺意を感じ取ったのかリュカは顔を上げ、アリーナの瞳を見つめてきた。
その瞳は深く、雄大な海のように底が見えない。
そして自分の全てを見透かそうとしてくるかのように迫ってくる。
「ひっ」
全てを曝け出されるかのような恐怖に思わずアリーナは顔を伏せる。
「おやおや、リュカ、レディを怖がらせちゃあいけないなぁ」
「い、いえ、そんなつもりは……」
アリーナは脂汗をかいて、必死にリュカと目を合わせないように俯き続ける。
『な、何だってのよコイツの瞳は! マズイ……私がゲームに乗ってるってことがバレる。
 あの瞳に見つめられたら絶対に見透かされてしまう。目を合わせちゃダメ。
 何とかごまかさないと……』
今の自分では彼らを全て殺したり、ここから離脱することは不可能だ。
何としてもしらばっくれて、ここから抜け出す隙を窺わねばならない。

『しかもリュカですって? 城で殺したあのおばさんの夫の名前じゃない!
 バレたら確実に死ぬわね……フフフ』
目を合わせたらほぼ確実に気取られることを確信している。
そんな絶体絶命の状況でもアリーナは笑みが零れてきた。
これだ。あたしは今生きている。
その恐怖が、危険が私に迫れば迫るほど私は生を実感できる。
やってやる。絶対に欺ききって逃げ出してやる。
そう、決意する。
「アリーナ、大丈夫かい? 怖がらせてゴメンよ。
 さぁ顔を上げてくれ」
そしてリュカがポンと軽くアリーナの肩を叩く。
『駄目! これ以上俯いていられない!
 どうしよう、どうしたらいい!?』
このまま俯き続けるのは不自然極まりない。
しかし顔を上げれば確実に瞳を覗かれる。
確信がある。目の前のコイツは私の瞳を見て私を見透かそうとしているのだ。
肩に置かれたリュカの手が強くなる。
これ以上は――もう駄目だ。

アリーナは顔を上げ―――目を潤ませたと思えばすぐに目を閉じ
リュカに抱きついてその唇を奪った。

傍で見ていたシンシアが固まる。
エドガーはそれを見てピュウ、と口笛を吹いた。
当のリュカも硬直して動けないでいた。

ピチュ

アリーナの舌がリュカの口腔に入ってきたところで正気を取り戻し、
慌ててリュカはアリーナを振り解く。
「う、うわぁっ! な、何するんだ突然!」
アリーナは尻餅をつくと、胸を押さえてうずくまった。

「……つっ」
「あ、ゴ、ゴメン。大丈夫か?」
咄嗟に駆け寄り、アリーナを抱き起こす。
アリーナは顔を赤らめ目を逸らす。
「ううん、こっちこそあんなはしたない真似を突然しちゃってゴメンね。
 私、このゲームが始まってからあんなに優しくされたことなかったから。
 それにあなたを見たとき電流が走るみたいになったの」
アリーナは早口にそうまくしたてる。
「一目惚れ、という奴か…… 一度経験してみたいものだね」
軽口を叩くエドガーをキッと見つめるシンシア。
エドガーは肩を竦めた。
「私、私出会ったばかりですけど判るんです。あなたこそが運命の人だって、
 私は……私はあなたを……」
そしてアリーナは静かにその言葉を口にした。

「私はあなたを愛しています」

それは偽りの誓い。
しかしその場に居たもの全てを絶句させるほどの力を持った呪いの言葉。
『これでいい、咄嗟にしては上出来だわ。
 これでしばらくは見つめられても頬を染めて俯けば自然に瞳を見られなくすることが出来る。
 そう長く凌げるとは思わないけど、隙は必ず出来る。機会を待つんだ――』
今のアリーナは恋する乙女。
そう、相手に妻がいようと娘がいようと関係のない恋する乙女。
一途にリュカを思う―――恋する乙女。

【カイン(HP 5/6程度)
 所持品:ランスオブカイン ミスリルの小手 えふえふ(FF5)  この世界(FF3)の歴史書数冊
 第一行動方針:カズスの村でフリオニールと合流し、罠を張る
 最終行動方針:殺人者となり、ゲームに勝つ】
【スミス(変身解除、洗脳状態、ドラゴンライダー) 所持品:無し
 行動方針:カインと組み、ゲームを成功させる】
【現在地:カズス北西の森の巨木の根元→カズス方面】

【フリオニール 所持品:ラグナロク
 第一行動方針:移動
 第二行動方針:日没時にカズスの村でカインと合流する
 最終行動方針:ゲームに勝ち、仲間を取り戻す】
【現在地:サスーン城東の森→どこに向かったかは後の書き手さんに任せます】

【アリーナ2(分身) (HP1/5程度)
 所持品:E:悪魔の尻尾 マティウスの支給品袋
 第一行動方針:演技をしながら脱出の隙を窺う(殺人より離脱優先)
 第二行動方針:出会う人の隙を突いて殺す、ただしアリーナは殺さない
 最終行動方針:勝利する 】
【リュカ(HP2/5程度 MP残量微小 左腕不随)  所持品:お鍋の蓋 ポケットティッシュ×4 アポカリプス+マテリア(かいふく)
 第一行動方針:正午過ぎまで待機、その後サスーン城へ
 基本行動方針:家族、及び仲間になってくれそうな人を探し、守る】
【エドガー(右手喪失) 所持品:天空の鎧 ラミアの竪琴 イエローメガホン 血のついたお鍋
 第一行動方針:正午過ぎまで待機、その後サスーン城へ
 第二行動方針:仲間を探す 第三行動方針:首輪の研究 最終行動方針:ゲームの脱出】
【シンシア(MP残量0) 所持品:万能薬(ザックその他基本アイテムなし)
 第一行動方針:正午過ぎまで待機、その後サスーン城へ
 第二行動方針:仲間を探す 最終行動方針:ゲームの脱出】
【現在地:カズス北西の森の巨木の根元】