FFDQバトルロワイアル3rd資料編@wiki 88話


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第88話:希望はきっと


アリアハン大陸の人達はどこにいったんだろう?
母さんは無事なんだろうか…いや、それは大丈夫だろう。
なんといっても父さんの妻、僕を勇者に育てあげた人だ。殺しても死なない…きっと。
そう、それよりも―――人がいないのだ。人っ子一人、猫の子一人見ない。

空けた平原を進んでいるのにも関わらず、アルスは参加者にも未だ遭遇していなかった。
それが幸か不幸かはわからないが。
(何か、変な感じだ)
故郷、アリアハンの大地。懐かしいと言えば懐かしいのだが、どうもしっくりこない。
のどかな平原を吹く風もどこか寂しいのだ。例えるなら、この大地に自分一人…もしくは、人形のないドールハウス。
…腹が立つ。
自分の故郷はのどかな田舎国であって、それ以外の何者でもない。ましてや戦場だなんて。
何故、平和なはずの故郷で血が流れるのか―――アルスはまた拳を握り締め、足を速めた。


(やっぱり、最低だ)
森林に隣接する山脈地帯までやって来たアルスの瞳に映ったものは、いびつな形の土の山二つと、それを見つめる男だった。
数時間歩き続け、ようやく人間を見ることが出来た。しかし、その人間は悲痛な表情でぼんやりと立っていて…
そして目の前には、人工的に作られた山。おそらくあの土の下には「犠牲者」が眠っているのだろう。
「………」
アルスは目を細め、黙って男の横に並んだ。
このゲームで、見知らぬ他人に不用意に近づくのは危険極まりない。
しかし、アルスは思った。この男は襲ってきたりしないだろうと。
(僕と同じように、やり場の無い漠然とした怒りを感じている)
男のほうもアルスのことを同じように思ったのだろうか、何も言わなかった。

二人はしばらく、そのいびつな墓を眺めていた。

「……おい、ガキ」
不意に、男が口を開く。視線は墓に向けたままだが、アルスに呼びかけているのだろう。
ガキ、という言葉にアルスは少しだけむっとなった(何となく、子供扱いされるのは嫌いだった)が―――
「おっさん、僕はガキじゃない。アルスだ」
「ってコラ、ガキ。俺はおっさんじゃねえ!シド・ハイウインドってんだ」
先程までの暗さはどこへやら、今度はこっちを向いて勢い込んでくるシド。
何だろう、この人はおっさん扱いされるのが嫌いなんだろうか…。
「……。わかったから…シド、何だ?」
「アルス。…お前はどうも俺様を殺すつもりはねえみたいだから訊くけどよ、
 このゲーム、いやクソゲームか。どう思う?」

シドの問いに、アルスは少々沈黙した。
どう思うと言われても、漠然とした怒りばかりで答えを定めにくい。

「……上手くいえないけど…最高に腹が立つ。
 まず、殺しをゲームと称すること自体腹が立つ。
 次に、僕の故郷を舞台にしているのも腹が立つ。
 それと、小さな子供まで巻き込んでいるのも腹が立つ。あと」
「ようするにだな、このふざけたゲームをぶっ壊したいってとこか?」
「…ん。まあ、そうだね。少なくとも、人は殺したくないと思う」
ふーん、とシドは空を見上げる。何を見ているのかは、アルスにはわからないが―――

「俺様の知り合いが一人早速死んじまってなあ、どうしようもないバカ野郎だったがしかし―――悪い奴じゃなかった」
「…そうか」
「誰が殺したかなんざどうでもいいんだ。死んじまったらそこで終わりなんだ、どうしようもねえ」
「………」
「本当にふざけてやがる…あの女、なーにが目的だかしらねえけどよ、最悪の過程でまともな人生が終わってくんだ」
シドは空を見上げ―――アルスは、何も言わなかった。
慰めの言葉なんてこの男には必要ない。それよりも、燃え滾る闘志を感じる、自分と同じ。
―――信頼できるだろうか。

「おい、アルス」
突然、声をかけられて…ひょい、と何かを投げてよこされた。
アルスはそれをしっかりと受け取る…ドラゴンシールド。
「知り合いのザックから借りた。お前が持っとけ。俺様は盾は使わねえ」
「は?」
「は?って何だ、間が抜けてやがるな。
 …お前と俺様の目的は同じなんだろ?だったら一緒にいかなきゃソンってもんだ」
「……」
やっぱり、考えてることは同じか。
「ただ、お前さっき言ってたよな?人殺したくないってよ。
 そりゃー俺様も殺すなんてアレだけどよ、クソッタレ野郎なら容赦しないつもりだからな」
「つまり、プレイヤーキラーキラーってことか?」
「だあっ…微妙な言葉使うんじゃねえ!とにかく、俺様はお前と行くが、クソッタレ野郎は容赦しねえ。
 お前はどんな相手でも殺したくないってんなら別に無理しなくてもいい。俺様の希望だ」

アルスはシドから視線を外し、両手で受け取ったドラゴンキラーを眺める。
どんな相手でも―――それは、もちろん。殺したくはないけど…やむを得ない場合だってあるだろう。
―――そんな時は、僕はどうすればいいんだろう。

「まっ…あんまり深く考えんなよ。お前みたいなガキは助かることだけ考えてりゃいいんだ」
「…おい、何かすごいバカにしてないか?」

とにかく、アルスは少し安心した。
セージ達以外にだって、信頼できる人間はいる―――。希望はきっとあるんだ。

【アルス 所持品:ドラゴンテイル ドラゴンシールド 番傘 ダーツの矢(いくつか)
 第一行動方針:信頼できる人間を探す 最終行動方針:仲間と共にゲームを抜ける】
【シド 所持品:ビーナスゴスペル+マテリア(スピード)(ミンウから回収) ロープ
 第一行動方針:アルスについていく 第二行動方針:PKを減らす 最終行動方針:ゲームの破壊】
【現在位置:レーベ南西の山脈地帯】