FFDQバトルロワイアル3rd資料編@wiki 85話

※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

第85話:ハンデ戦


助かったと思った。
怖くて怖くてどうしようもなくて、岩陰に隠れて震えてた俺にリチャードは優しく声をかけてくれた。
一緒にいようって、守ってやるからって言ってくれた。
そして、俺が怖くないように、たくさんのことを話してくれた。
故郷にいた、子供の父親になってあげたいとか、お母さんを大事にしろとか…いろいろ。
俺もたくさん話した。キーファのこと、キャラバンのこと、サマルトリアのこと、医療のこと。
リチャードはどんな話も、楽しそうに聞いててくれた。
嬉しかった。ずっと話してると、首が飛んだのを見たときの恐ろしさは、だんだんなくなってきた。

なのに。
いきなりリチャードの表情が変わった。中腰になって、元々は俺の支給品だった剣をしっかりと握って、辺りを見渡す。
それで、俺も気がついた。すごい嫌な感じの視線がある…一人、いや二人?…まさか。
俺は怖くて、リチャードにしがみついた。リチャードは俺の頭をポンポンと叩きながら「大丈夫だ」って、
…言った。いや、言い終わらないうちに、俺はリチャードに突き飛ばされていた。
それを何で?と思う間もなく。緑の髪の女の人が、大きな剣でリチャードに斬りかかって―――そして?

「イクサス、逃げろ!」

リチャードの声を聞いた瞬間、イクサスは何も考えず、靴に装着した加速装置のスイッチを入れた。
―――加速装置は、元々リチャードの支給品だ。なんで自分に預けたのか、今になってわかった。
勢い良く靴が滑り、否応なしに足が動き始める。イクサスは走った、今にも転びそうに、がむしゃらに。

イクサスにはわかっていた。あの二人は強い。リチャードは…死ぬ。もちろんリチャードも強い、けど二対一だ。
そう、死ぬ、リチャードが、それでも、自分は死にたくない、今、ただ、逃げている!
(リチャード、リチャード…ごめん!俺、俺―――)
イクサスは、幼い顔を涙でぐしゃぐしゃにしながら、森を目指し山脈を駆け続けた。
罪悪感を感じながら。



「あの子、追わなくていいの~?」
アーヴァインは少年の背中が消えていった北の方角を見ながら、男のザックを調べていたティナに訊く。
相変わらずの軽い調子に、ティナはやや嫌悪感を覚えながら顔を上げた。
「…そう言うのなら、あなたが追ったらどう?」
「何かあの子速いし、めんどくさそうだからヤダ」
「……」
ティナは溜息をつくと、あとは無言で、黙々とザックの中身を移し変える。
アーヴァインもその後ろで男の剣を拾い上げ―――そして、眉をひそめた。
「…ねえ、この剣どうする?何かさあ、すごい重いんだけど」
「…どれ?」
「はい、持ってみて」
剣をアーヴァインに手渡されたティナも、意外そうな顔をする。
見た目よりもはるかに重い。これではまともに戦えない…だろう。
「ふ~ん、子連れに、使えない剣…か。すっごいハンデ戦だったってことだね?」
「そんなの今更…」
ティナは吐き捨てるように言うと、その剣を投げ捨てた。…使えない剣など、戦場にはいらない。
その様子を見たアーヴァインが、肩をすくめる。
「あれ、もしかして、なんか後味悪い?」
「今更だって言ってるでしょ」
これから見知った仲間をアーヴァインに殺されることになるのに…見知らぬ人間を殺したことに後味悪いも無い。
ティナは、アーヴァインの顔を見ないように歩き始めた。
…ただ、何となくだけれど。

【イクサス 所持品:加速装置
 行動方針:逃げる(錯乱状態】
【現在位置:ほこら西の山岳地帯から森へ】

【アーヴァイン 所持品:キラーボウ 竜騎士の靴 G.F.ディアボロス(召喚不能) エアナイフ
 行動方針:ゲームに乗る(ティナの仲間を殺す)】
【ティナ 所持品:グレートソード ちょこソナー&ちょこザイナ ミスリルの小手 
 行動方針:ゲームに乗る(アーヴァインの仲間を殺す)】
【現在位置:ほこら近くの山岳地帯】

【リチャード 死亡】
【残り 114名】