FFDQバトルロワイアル3rd資料編@wiki 367話


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第367話:Wrath again


唸る拳、放たれる斬撃、人を護り続ける盾。
そしてそれらを打ち倒すために起こる拳と、もう一つ……突風。

それら全てがカズスの街を支配していた。

「ッッらああぁぁあぁああぁぁぁあああぁぁぁあぁ!!」

相変わらずフルートは拳をサラマンダーに叩き込もうとする。
だがそれはイクサスの風に邪魔され、成功させることは出来ない。
また同じようにサラマンダーも、フルートに上手く攻撃をすることが出来ない。サックスの盾に塞がれ、思うように動けないのだ。
また、イクサスもラケットの突風で援護をするのだが、ロランの攻撃が自分に向かってくるが故に集中出来ない。
そしてロランも、その風によってイクサスへの攻撃が思うように出来ない。
そういう泥沼の状況だった。
しかしロランは、先程から言いたかったことをフルートに話す事にした。

「さっきはありがとう。僕たちを仲間だと言ってくれて」
「……言ったか?ンな事。覚えてねーよ、あたしは。いいから戦え!」
「そうか……覚えてない、か」

でも、否定はしないんだ。そうくすりと微笑んで思う。
嬉しかった。あの人格の彼女が自分たちを「仲間」だと言ってくれたあの瞬間が嬉しかった。
だからサックスとともに、絶対にフルートを護って戦いを無事に終わらせよう、そう思っていた。

だが。

フルートが、急に膝をついた。
そして唐突に息を切らし、苦しみ始めたのだ。肩で息をし、汗も沢山吹き出ている。

ロランとサックスは、ようやくそれを見て、彼女の力の秘密に気付く事となった。
そう、あの彼女の「限界を超えた力」の裏に。脳が彼女に許可を出した「全力」のデメリットに。

そして心配そうに、サックスがフルートへ近づこうとしたその刹那――――

「隙だらけだ!」

イクサスの放った風の塊が、フルートの身を襲った。
そして吹き飛ばされた彼女の体は、宙を舞いそのまま後方にある民家の壁へと叩きつけられた。

「かは……っ!…ぁぅ…ぐ……」

言葉にならない叫びにも似た声を上げると、フルートはそのまま前に倒れた。
ロランはそれを見て、あの光景を思い出した。

そう、あのアリアハンの彼女の痛々しい姿。
今にも倒れそうに青白い顔をしていた、彼女の姿。

「ははっ!ははは!ははははは!!どうだ見たか!正義は勝つんだよ!!」

浮かれ、体で喜びを表すイクサス。
それを見て唇を噛み締めるサックス。そこからは血が滲んでいた。
そしてロランは、今度はサラマンダーとの一進一退の攻防を続けている。暇は無いが、振り返ってしまいたい。

だがサックスとロランの心配を余所に、フルートはすぐに立ち上がった。
しかし足取りは覚束ない。今にも倒れそうだ。攻撃を喰らった分があるとは言え、ここまでの反動なのか。
だが良く考えてみれば彼女は、竜の腕を吹き飛ばし、数十分も疾走し、そして先程は鉄の塊を持ち上げているのだ。
ここまで反動が無いとおかしい。否、これ以上の反動があったとしても何の違和感も無く自然だ。

「くっそ…あの餓鬼……あぐ……ッ!」

そう、そしてやはり彼女は痛みに耐えていた。
壊れそうな体を、未だ怒りに任せて動かそうとする。

「フルートさん……!動かないでください!危険すぎます」
「うるせぇ!」

駆け寄るサックスに怒りを込めて叫び、彼女は自分自身に向けて回復呪文を使い出した。
しかしこのゲームの状況下では、たとえベホマといえども彼女の体を完全に回復させるには至らない。
だが彼女は呪文を1回唱えただけで、すぐに中断させて歩き出した。

「そら治った治った!…もう、大丈夫だ……ッ」
「嘘でしょう!?良いから大人しくしてください!!」
「うるせぇ!あたしはあの餓鬼をぶっ飛ばすんだよ!!」

そう言ってフルートは痛む体に鞭を打ち、イクサスの元へと走っていく。
それを見てイクサスは、彼女を煽る様に走り出した。その先にあるのは、鉱山。
イクサスが鉱山に入ったのを見て、フルートは更に急いで追いかける。
しかしサラマンダーはそれが気に入らなかった。ロランから目標を変え、フルートに狙いを定める。

だが、それを一つの盾がその攻撃を止めた。
それはサックスの持つ水鏡の盾だった。

「ロランさん、任せました!僕はフルートさんを追います!!」
「わかった!!」

そうしている内に鉱山へと入っていったフルートを追いかけるため、
サラマンダーから急いで距離を取り、そして自分も鉱山へ走り出すサックス。

それを見てロランは微笑み、サラマンダーに問う。

「任されて、1対1になってしまった。折角だしこのまま僕の相手になってもいいんじゃないか?」

サラマンダーの答えは、意外に早く返ってきた。「無言でロランに剣を構える姿」が、答えの代わりだった。



一方サックスが鉱山に入ると………フルートは先程のように倒れていた。
しかもこれまた先程のように壁沿いに。
そして砂埃が全てフルートの倒れている場所に集中している。それを見てサックスは確信した。

そう。あの子どもが、またも彼女を傷つけた。

過去の映像がフラッシュバックする。
家族を殺した魔物。妹を見殺しにした自分。護れなかった自分。

今の映像が脳を支配する。
仲間を襲った敵。フルートに牙を剥いた敵。護れなかった自分。

それが重なり、サックスに怒りが芽生えた瞬間。
その瞬間にイクサスが姿を現した。どうやら息を潜めて待っていたらしい。

「よぉ、人殺し」
「やぁ、人殺し」

彼らの皮肉に満ちた挨拶が重なり合った。
そしてその刹那イクサスがまたも風を起こした。今度の目標は、サックス。

だが今度はサックスはそれを避け、そして急いでフルートに近づいた。
彼女の生死を確認する。意識を失ってはいるみたいだが、息はしている。
そして急いでフルートの体を背負い、彼はすぐに鉱山の奥へと走っていった
それを見て、イクサスはラケットを構えながら彼らを追い始めた。

「大切な人を護るためにナイトになった……そうだろサックス!絶対護るんだ……絶対!」

そう言いながら、彼はイクサスを奥へ奥へと誘い込むために走る。走り続ける。


そしてサックスは、奥にある小部屋の一つに身を潜めた。
苦しそうに息をするフルートに「少しだけ…待っていてください」と告げ、イクサスの到着を待つ。

そして、目当ての人物は現れた。目当ての人物――イクサスはサックスを殺すためにラケットを握り、明らかに怒りを抱いている。
だがそれも気にせず、サックスは突然イクサスに肉薄した。それを見てイクサスは焦りを感じる。
そうだ、さっきまで自分の攻撃を容易く受けるか、盾で人を護りながらこそこそ動く事しか出来なかった(様に見えた)彼が、突然大胆な行動に出たのだ。

そしてそのまま、サックスはイクサスの右肩に向けて斬撃を放った。
イクサスは避けられなかった。彼の斬撃を喰らった右肩が激しく損傷する。

「ぐ……痛い…痛いっ!くそぉ!ぐぅぅぅぅうぅぅ!!」

痛みを感じるがままに叫ぶイクサス。それを見てサックスは怒りを込め、叫ぶ。

「これが、僕の仲間を…フルートさんを……そして、ギルダーを傷付けた罰だ!」

そう叫ぶサックスの目は確かに、魔王を倒した光の戦士の……正義に満ちた目だった。
そしてその目でイクサスを睨む。睨み続ける。
そうしていると、またもラケットから風が巻き起こった。
今度こそサックスは吹き飛ばされてしまったが、手負いの人間の攻撃の所為か威力が些か低い。

サックスは立ち上がると、またイクサスへと走る。
多少のフェイントも入れ攪乱する様に近づき……そして見事に、草薙の剣の刃をイクサスの首に突きつけた。

「………ッ!あああああああああああッ!!」

しかしそれにも関わらず……恐怖心に侵されたイクサスは左腕で支給品袋を掴み、それをサックスの肩へとぶつけた。
だが当然そんな攻撃が効果的なはずも無い。叩いた拍子にバラバラと支給品が落ちていくだけだった。

「効かない。そんな下らない事、効かない」

サックスはそう言って、落ちた支給品のいくつかに目を通す。
見ると薬の様なものがいくつか落ちている。フルートに飲ませれば……容態はどうなるだろうか。
頭にそんな考えが浮かんだが、それはやめた。不確定要素が多すぎる。

「僕が怪我した時、一生懸命傷を癒そうと頑張ってくれた彼女を傷付けるのは許さない。
 僕の事を信じて一緒に行動してくれたあの大切な仲間を傷付けるのは許さない。
 そして……僕の兄弟の様な、僕の最高の親友の名を人を傷付ける口実に使う君を許さない!!」

サックスの剣を握る力が強くなる。
そして逆に、イクサスのラケットを握る力は皆無に等しかった。
だがイクサスは未だに怒りを持ち続け、サックスに叫ぶ。

「煩い……煩い煩い煩い!俺は!俺は裁くんだ!!お前が何を言おうが……俺は仲間を殺した人殺しを―――――」
「そうか。じゃあ、さよなら」

イクサスの首に突きつけられた刃は一度退き、
そして次の瞬間には彼の左胸を一直線に貫き……彼の最期の言葉と、息の根を止めた。

「…痛……っ……サックス……お前……」

そして、フルートが目覚めた。どうやらあの人格のままのようだ。
随分と苦しそうだが……命に別状はなさそうだ。

「すみません……気分が悪くなりそうなので、別の小部屋に移動しましょう。そこで、話します」

薬の様な物以外を拾い集めながらそう言うサックスに、フルートは何も言わなかった。
そしてまた文句を言ったにもかかわらず背中に乗せられ、別の小部屋へと移動していった。

そしてそこには……サックス達とは形こそ違えど、正義を愛していたのかもしれない少年の遺体が残されていた。



一方、サラマンダーはイクサスの身を案じていた。
バーバラは目の届く範囲で避難している。大丈夫だろう。だがあの少年は……果たして感情的なあの性格が災いしていないだろうか。

まぁ、まずはこの目の前の男を片付けなければならない。

そしてサラマンダーは、ロランを静かに見据えた。

【サックス
 所持品:水鏡の盾 草薙の剣 チョコボの怒り 加速装置 ドラゴンオーブ シルバートレイ ねこの手ラケット 拡声器
 第一行動方針:別の小部屋で休憩 第二行動方針:なるべく仲間を集める
 最終行動方針:ゲームから抜ける。アルティミシアを倒す】
【フルート(重傷) 所持品:スノーマフラー 裁きの杖 魔法の法衣
 第一行動方針:同上 第二行動方針:同上 最終行動方針:同上】
【現在地:ミスリル鉱山内部・1F小部屋】

【ロラン 所持品:ガイアの剣 ミンクのコート
 第一行動方針:サラマンダーを倒す
 最終行動方針:ゲームから抜ける。アルティミシアを倒す】
【サラマンダー(疲労) 所持品:ジ・アベンジャー(爪) ラミアスの剣
 第一行動方針:ロランを殺す 第二行動方針:アーヴァインを探して殺す
 基本行動方針:参加者を殺して勝ち残る(ジタンたちも?) 】
【バーバラ 所持品:ひそひ草、様々な種類の草たくさん(説明書付き・残り1/4) エアナイフ
 第一行動方針:避難 第二行動方針:自分をハメたアーヴァインに復讐する
【現在地:カズスの村・ミスリル鉱山入り口】

【イクサス 死亡】
【残り 72名】