146話

第146話:魔物


先程の三人組に追いつけないのはわかっていた。
少し走って、茂みを抜けたところでデールは一旦立ち止まった。
心臓が早鐘を打っている。なんだろう、この興奮は……。
ふと右手を見ると、森で枝か何かで斬ったのだろう、一筋の切り傷が出来ていた。
マシンガンも悪くはないが、ナイフの方が楽しそうだ。
うっとりと見つめていると、手首に血液が一筋つたった。
デールはそれを、舌で舐めとった。
どんよりと塩辛く、そして鉄がさびたような匂いが口の中に広がる。
飲み込むと陶酔感がじわりと広がっていき、麻酔のように全身を痺れさせた。
「壊したい」
そう呟いた瞬間、デールの中で何かが弾けた。
腹の底から押し寄せてきた衝動をはき出すように、デールは笑った。大声をあげ笑った。
彼を支配したのは壊れない物を壊してしまう快感かもしれない。
「さあ、誰が一番頑丈だ?」
鋼の肉体も鉄腕も、全て壊してやる。デールの目が燃えていた。
彼はもう、狂った人間でさえなかった。
それであるならば正常な、ごくごく普通の、「魔物」になっていた。


(笑い声……?)
エドガーは顔を上げて、上を向いた。
(……気のせいか)
エドガーとデッシュは首輪の解析に没頭しており、周りへの注意力が散漫になっていた。
それ故、背後に魔物が迫っていることなど、全く気づいていなかった。

【デール 所持品:マシンガン、アラームピアス(対人)
 行動方針:皆殺し】

【エドガー 所持品:バスタードソード 天空の鎧 ひそひ草 ラミアの竪琴 イエローメガホン 首輪×1 紙や鉛筆など
【デッシュ 所持品:ウインチェスター+マテリア(みやぶる)(あやつる) 首輪×1 紙や鉛筆など
 第一行動方針:首輪の研究 最終行動方針:ゲームの脱出】

【現在位置:アリアハン北の森】

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最終更新:2008年02月05日 05:18
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